新橋の女性居酒屋店主が提言 飲みニケーションは本当に悪しき習慣なのか?
(画像=ryanking999/stock.adobe.com)

(本記事は、藤嶋 由香氏の著書『一緒に飲みたくない客は断れ!』=ポプラ社、2021年10月6日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

飲みニケーションがないと〝犯罪〟が増える!?

朝日新聞社の世論調査によると、新型コロナウイルス感染拡大後の生活の変化において、ストレスが「増えた」と回答した人は53%にのぼるそうです。

無論、コロナ禍以前でさえも、人間みな何かしらのストレスを日々抱えているもの。それが、コロナ禍による生活の変化によって、さらに増長したとしても不思議ではありません。

その大きな要因とされているのが、人とのコミュニケーション不足です。

以前であれば、お酒を酌み交わしながらできたストレス解消も、このコロナ禍においてはできません。

特に女性は、悩みや不安を言葉にして、共感してもらうことでストレスを解消することが多いですから、いかに居酒屋が健全な心を取り戻せる場所として機能していたかがわかります。

緊急事態ですし、命には代えられませんから、多少の規制は仕方ありません。

けれど、一方的に「飲みに行ってはダメ」、「外出はダメ」と規制されることが、犯罪につながるという見解を示す有識者の方もいます。

加えて、世代間の交流も、このコロナ禍で大幅に減少したのではないでしょうか。

昨今では、「飲みニケーションは悪しき習慣」と言われていましたが、なくなってみると、飲みの場だから上司、部下、関係なく交流が持てたという良さを実感している人もいます。

新橋という土地柄、これまで何万人という方々の飲みニケーションを拝見してきましたが、普段語れないようなことをお酒を飲み語らう、人間性を分かち合う、居酒屋とは、いわば「格好つけない自己紹介の場」だと感じます。

会社ではそうはいきませんが、お酒を酌み交わしながら、人間性を伝え合う貴重な場です。それも、居酒屋だからそうしたコミュニケーションが実現するのです。

なくなってみて気づかれたという方はお客様にも多く、飲みニケーションが復活した暁には、部下から「飲みに行きたい」と思われる上司を目指したいとお話しされていました。

私自身、アルバイトの子から飲みに誘われると嬉しいですし、お酒を飲み語り合った翌日は、結束感が強まりチームワークが強くなっていると実感します。

人との心の距離を縮める最適な場所、居酒屋は、絶対に廃れてはいけない場所なのです。

わずか3000円でその後のコミュニケーションが円滑になりますし、心のつながり感はプライスレスで一生の宝物です。私は、居酒屋での飲み代は、本当にリターンの大きい投資だと考えています。ぜひ、もっと仲良くなりたい職場のメンバーや友人と居酒屋で語らってくださいね。

一緒に飲みたくない客は断れ!
藤嶋 由香(ふじしま ゆか)
新橋のもつ焼き居酒屋「やきとんユカちゃん」店主。居酒屋経営コンサルタント・居酒屋コメンテーター。1976年、北海道室蘭市生まれ。短大時代、モデル・歌手の道を目指し、20代の頃、クラウンレコードからジャズシンガーとしてデビューし、アルバム2枚をリリース。モデル、歌手、ホステス、エステスクール講師、エステ店経営者を経て結婚、夫が経営していた串焼屋の女将となる。「居酒屋文化の推進」をライフワークとし、多方面にて活動中。YouTube チャンネル「やきとんユカちゃんねる」を運営。コロナ禍による営業自粛要請と戦う「新橋一揆」や権力に対する歯に衣着せぬ発言で注目を集め、これまで100を超えるメディアから取材を受けている。

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