(本記事は、藤嶋 由香氏の著書『一緒に飲みたくない客は断れ!』=ポプラ社、2021年10月6日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
その閑古鳥、「コロナのせい」だと思ってない?
時折、経営者の方から、こんな愚痴を聞くことがあります。
「コロナのせいでお客さんが全く入らないよ」
「従業員は言うこときかないし不満ばかりですぐ辞める」
「場所が悪いから客が入らないんだ」
など、私からすれば、店が繁盛しないのも、従業員の教育が行き届かないのも、全て経営者のせい。他のもののせいにするなんて愚かさも甚だしいと、内心毒づいています。
お話ししていて感じるのは、その手の経営者には、「お客様を幸せにしたい」という気持ちがないということ。だからお店のことも、お客様の立場で客観的に見つめられないのです。経営者という立場や名前に胡坐をかいて、従業員任せにしていて結果が出ないと文句を言う。そんな経営者に従業員がついてこないのは当然です。
私は今でも、客席に座り、お客様の目線でお店を見渡します。
そうすると、メニューの位置が高いな、醤油さしが汚れているな、など気づくことが沢山ありますし、トイレ掃除に関しても、従業員よりも率先して行い、気持ち良く使っていただけるよう心掛けています。
お食事にしても、「うちは味にこだわっているからその分、料金を高くしているんだ」と自慢気に言われる経営者がいますが、味にこだわるのは当然で、いいものを使っているから高い値段を付けるというのは自己満足と同じ。本当にお客様の幸せを願うなら、お客様の立場になって、その価値に見合う金額で提供するべきなのです。
また、味が良ければ料金を高くしていいという話でもありません。
高くても、お店がきれいでトイレも清潔、店員が笑顔で気持ちの良い接客があれば納得できますが、お店は汚い、接客はなっていないでは、いくら美味しくても「またあのお店に行きたい」と思われることはないでしょう。
「味良し」「サービス良し」「価格良し」この3つの良しが揃ってはじめてお客様は幸せな気持ちになれるのです。
手前味噌にはなりますが、当店では、営業時間短縮期間でさえも、たくさんのお客様が通ってくださいます。
コロナだから。座席数が減ったから。そんな理由でお店が傾くことはありません。
私たちはいつでも「味」と「サービス」と「適正な価格」を守り、「お客様を幸せにする」という気持ちで営業を続けてきました。
また、これはあらゆる業界でも参考になると思っています。
やはり「お客様を幸せにする」という気持ちがすべての原点。私のようにお客様の席に座ると、現状で足りない点や改善点がどんどん出てくるはずです。
本書では、その秘密をあますことなくお伝えし、良いと思うところはどんどん盗み、活用していただければと思います。
共に居酒屋業界を盛り上げ、居酒屋文化を継承する、同じ志を持つ人に1人でも多く本書の内容が届くよう、これまで培ったノウハウを第2章から存分にお伝えしていきます。
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