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(写真=PIXTA)

経営者の高齢化が進む中、多くの中小企業はさまざまな事業承継問題に直面している。廃業に追い込まれないためには、自社の現状やリスクを把握し、正しい解決策を考えることが重要だ。経営者はこれを機に、事業承継に関する正しい知識を身につけていこう。

目次

  1. 事業承継に取り組む中小企業の現状
  2. 中小企業の事業承継を阻む5つの問題点
    1. 1. 適した後継者の不在
    2. 2. 後継者の育成不足
    3. 3. ワンマン経営による意思決定の遅さ
    4. 4. 相談者の不在
    5. 5. 承継時の経営状態や先行きの不安
  3. まずは事業承継に潜むリスクの理解を
    1. 1. 負債や個人保証も引き継ぐことになる
    2. 2. 後継者と従業員の対立
    3. 3. 相続では遺留分を主張されることも
  4. 中小企業が取り組んでおきたい、事業承継問題の解決策
    1. 複数の選択肢を用意しておく
    2. 早めに準備にとりかかる
    3. どんな状況でも客観的に判断し、従業員や相続人にも配慮する
    4. 経営状態や財務状態を明確にしておく
  5. 国や自治体が実施する、事業承継をサポートする制度にも目を向けよう
    1. 納税猶予を受けられる「事業承継税制」
    2. 情報提供やマッチング支援を行う「公的相談窓口」
  6. 事業承継でM&Aを選択するメリットは?
    1. 最大のメリット
  7. 事業承継問題の相談先は?
    1. 1.商工会議所
    2. 2.弁護士や行政書士などの士業
    3. 3.中小企業庁が設置する公的機関
    4. 4.銀行などの金融機関
    5. 5.M&A仲介会社
  8. 対応が遅れないように、適切かつ迅速に行動を

事業承継に取り組む中小企業の現状

企業全体のうち大企業が1%に満たない日本では、中小企業が経済を支える存在だ。しかし中小企業庁がまとめたデータによると以下のデータからわかるように、中小企業では経営者の高齢化が深刻化してきている。

〇経営者年齢の分布

60~64歳 65~69歳 70~74歳
1995年 約14万8,000人 約9万6,000人 約5万人
2005年 約20万6,000人 約13万9,000人 約8万5,000人
2015年 約19万7,000人 約21万7,000人 約12万8,000人

1990年代に比べると経営者の高齢化は急速に進んでおり、現代では70~80代の経営者も珍しくない。では、なぜこのような状況が引き起こされているのだろうか?いくつかの要因が考えられるが、なかでも大きい要因は「後継者不足」といわれている。例えば後継者が見つからない中小企業では、会社を存続させるために現経営者がそのまま経営を続けているのだ。

その状態が10~20年ほど続けば、当時50歳であった経営者は60~70代に突入していく。つまり後継者不足によって事業承継を進められないことが、経営者の高齢化につながっているのだ。帝国データバンクの「2017年 後継者問題に関する企業の実態調査」によると経営者が60代で53.1%、70代は42.3%、80歳以上で34.2%という割合で後継者不在に直面している。

経営者の高齢化が進むと積極的に事業承継を進めることも難しくなってしまうだろう。そのため中小経営者は問題点をいち早く察知し、事業承継をスムーズに進められる環境を整えておくことが重要だ。

中小企業の事業承継を阻む5つの問題点

事業承継が思うように進まない中小企業には、具体的にどのような問題が潜んでいるのだろうか?実際に抱えている問題は企業によって異なるが、以下では特に直面しやすい問題をチェックしていこう。

1. 適した後継者の不在

前述でも触れたが、やはり後継者の不在に悩んでいる中小企業は多い。身内や社内に適任の後継者がいなければ、外部から次期後継者を連れてくる必要があるため、事業承継をスムーズに進めることは難しいだろう。経営者に子どもがいたとしても、その人物が必ずしも後継者として適任であるとは限らない。

仮に経営能力の低い人物を後継者にすると「承継後の経営が傾く」「従業員から不満が出る」など、ほかの問題が発生してしまう。このような状況が続くと現経営者が高齢になり事業承継の機会を失ってしまう恐れもあるので中小企業にとって後継者の不在は死活問題といえる。

2. 後継者の育成不足

後継者の不在に関連する問題として「後継者の育成不足」も挙げられる。事業承継をスムーズに進め、かつ経営面での問題を生じさせないためには、さまざまな知識・スキルを後継者に伝達しなければならない。したがって後継者の育成にはある程度の時間を要するが、その育成が追い付いていないケースも多く見られるのだ。

一般的な中小企業では、後継者の育成にかかる期間は5~10年程度とされている。特に高齢にさしかかっている経営者は、いつ体調を崩してしまうかわからない。健康であるうちは育成にあたれるが、育成が不十分なまま事業承継の必要性に迫られると先行きの不安から実行をためらってしまう可能性もあるだろう。つまり事業承継をスムーズに進めるには適任の後継者を見つけたうえで、その後継者を十分に育成しておくことが必要だ。

3. ワンマン経営による意思決定の遅さ

人材が限られている中小企業では、経営者のワンマン経営になるケースも珍しくない。ワンマン経営を成功させた経営者には強いリーダーシップがあるものの、問題となるのはその経営者が倒れてしまったときだ。ワンマン経営の企業では、周りの従業員がイエスマンだらけになってしまい、各従業員の自主性が失われるような状況が起こりかねない。

仮にこのような状態で経営者が倒れると積極的に意見を述べる従業員がいない影響で、会社の意思決定が大幅に遅れてしまう。前述でも触れた通り、一般的な事業承継では数年単位の準備が必要になるため、意思決定の遅れは深刻な問題だ。事業承継を進められないまま経営者が亡くなってしまえば、その企業は窮地に立たされてしまう。

4. 相談者の不在

より綿密な事業承継計画を立てるためにコンサルタント会社などに相談をする中小企業も見られる。しかし企業が本拠地を構えるエリアによっては、近くに適した相談者がいるとは限らない。割合としてはそこまで多くはないが、近くに相談者が見つからなかったために泣く泣く廃業を選んだ企業も存在する。

事業承継に関する知識を持たない経営者は、近くに相談者やアドバイザーなどを見つけないと計画を立てることさえ難しい。ちなみに「相談しても解決するとは思えなかった」「相談しなくても何とかできると思った」と考える経営者も見られるが、専門家の力が予想以上に大きいこともある。例えば相談先によってはM&Aの相手探しをサポートしてくれるケースもあるため、一気に事業承継問題が解決する可能性も考えられるだろう。

5. 承継時の経営状態や先行きの不安

適任の後継者が見つかったとしても、その後継者自身が決断しない限り事業承継はスムーズに進まない。例えば経営面で何かしらの問題を抱えている場合や先行きに不安を感じる状況の場合は、後継者が承継を拒絶する可能性も考えられるだろう。また後継者は会社や事業、資産などを引き継ぐことになるが、その影響で発生するリスクがあることも理解しておくべきだ。

例えば状況次第では金融機関の個人保証や負債も引き継がれるため、後継者のリスクが増大する恐れがある。その点を警戒して後継者側が事業承継を諦めるケースも多く存在する。「社長になる」といえば聞こえはいいが、マイナスの要素も引き継がれる点はしっかりと理解しておこう。

まずは事業承継に潜むリスクの理解を

近いうちに事業承継の必要性に迫られる中小企業は、上記の問題点への対策を考える前にリスクを理解しておくことが必要だ。事業承継にはさまざまなリスクがあるが、なかでも後継者に関わるリスクはしっかりと理解しておかなくてはならない。そこで以下では、特に押さえておきたい事業承継のリスクを3つまとめてみた。自社の状況に当てはめながら具体的なリスクをしっかりと理解しておこう。

1. 負債や個人保証も引き継ぐことになる

前述でも触れたが、事業承継で後継者が引き継ぐのは会社や事業、資産だけではない。例えば設備投資などによる借金を抱えている場合には、その負債も引き継ぐことになる。特に負債が多額にのぼるようなケースでは、承継後も後継者は返済に追われてしまうだろう。また金融機関から借り入れをしている場合は、経営者の「個人保証」が引き継がれる点にも注意しておきたい。

個人保証とは、法人の信用力を補完する目的で経営者本人を人的担保に設定することだ。近年では、金融機関が後継者に対して個人保証をつけない動きも見られるが、個人保証がつくかどうかは経営状況によって異なる。仮に赤字が長年続いているような企業では、金融機関側もリスクを抑えるために個人保証を求めてくるだろう。

負債や個人保証は、後継者にとって深刻なリスクとなり得る。そのため特に多額の負債を抱えている中小企業は、後継者の負担を少しでも減らす工夫が必要だ。

2. 後継者と従業員の対立

親族内承継で自身の子どもを後継者にするようなケースでは、経営者の年齢が一気に若返る。このような場合、世代間の認識の違いによって後継者・従業員が対立する恐れがあるため要注意だ。例えば現経営者と一緒に会社を長年支えてきた、50代の従業員が中心の企業があったとしよう。この会社では事業承継によって現経営者から30代前半の後継者に会社が引き継がれた。

新たな経営者は会社を立て直すために、これまでとは違う流行をとりいれた事業を進めようとしたが古くからの顧客を大切にする従業員からは、この大きな方針転換に対して不満の声があがったという具合だ。このような構図で後継者・従業員が対立する光景は、決して珍しいものではない。仮に後継者の考え方が間違ってなかったとしても、世代間の違いによって従業員から受け入れてもらえない可能性もあるのだ。このような状況が続けば、その会社は自然と空中分解してしまうだろう。

3. 相続では遺留分を主張されることも

相続による事業承継では、遺書などを用意しておくことで事業用資産を特定の人物(後継者)に相続できる。ただし複数の相続人が存在するようなケースでは、後継者以外の相続人から「遺留分」を求められる可能性があるため注意しておきたい。遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利のことだ。例えば被相続人(経営者)が資産の相続先をすべて後継者に指定していたとしても、そのほかの相続人は資産を受け取る権利を主張できる。

したがって何の対策もせずに相続で事業承継を進めると家族間でのトラブルに発展してしまう恐れがあるのだ。状況次第では、相続人が後継者に対して高額な金銭を要求し、結果として経営資金が不足することにつながりかねない。

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中小企業が取り組んでおきたい、事業承継問題の解決策

事業承継問題の解決策について見ていこう。企業によって抱えている問題は異なるため、「どのリスクを抑えるために、どういった対策を講じるか?」を考えることが重要だ。その点をしっかりと意識して具体的な解決策に目を通していこう。

複数の選択肢を用意しておく

事業承継にはさまざまな形があり、大きくわけても以下の4つの方法がある。

事業承継の方法 概要
・親族内承継 経営者の子どもなどの親族に、相続や贈与で承継をする方法
・親族外承継 役員や従業員などに、株式を買い取ってもらう形で承継をする方法
・M&A ほかの企業に、会社や事業そのものを売却する方法
・株式上場 自社株式を上場し、不特定多数の株主に株式を保有してもらうことで、経営と資本を分離させる方法

一般的なケースでは親族内承継だけに目がいきがちだが、複数の選択肢を用意しておくことで、多くの問題を解決できる可能性がある。例えば身内に後継者が見つからない場合は、親族外承継やM&Aに目を向けることで簡単に解決できるかもしれない。実際にM&Aで買い手企業が見つかり、会社や雇用を守れるようになったケースは多く見られる。

仮に後継者がいたとしても複数のプランを用意しておくことは重要だ。後継者にとっても選択肢が増えることになるので会社・事業を引き継いでもらえる可能性が高まるだろう。なかでもM&Aは、かつては「大企業が実施するもの」として認識されていた。しかし現在では後継者不足を解決する目的で積極的に計画を立てる中小企業も存在する。族内承継だけに目を向けずに視野を広げてさまざまな選択肢を考えておこう。

早めに準備にとりかかる

これは当然の対策ともいえるが、事業承継では早めに準備にとりかかることが非常に重要だ。現時点で後継者不足に悩んでいなくても数年後には死活問題になっているかもしれない。前述でも触れた通り、事業承継の準備には数年単位の時間がかかる。後継者不足などの問題に気づくタイミングが遅れれば、準備が間に合わずに廃業といったことも考えられるのだ。

早めに準備にとりかかれば、後継者探しや育成はもちろんのこと、事業承継に向けた会社の体制も整えられる。例えば早めに従業員に周知をしておけば、ワンマン経営による弊害も解消できるだろう。

どんな状況でも客観的に判断し、従業員や相続人にも配慮する

従業員とのトラブルを防ぐには、後継者を客観的に判断することが必要だ。時には第三者の意見もとりいれながら経営者としての資質や能力、現時点でのスキルなどを見極める必要があるだろう。また仮に適切な後継者がいたとしても従業員や相続人への配慮を忘れてはいけない。なかでも遺留分はデリケートな問題だ。

そのため後継者だけではなく各相続人にもきちんと納得してもらえるよう、しっかりと計画を立てておく必要がある。特に子どもを後継者として選ぶ場合には、思わぬ対人トラブルが生じる恐れがあるので、その点は現経営者がきちんとカバーしておこう。

経営状態や財務状態を明確にしておく

後継者の不安を少しでも解消するために、経営状態・財務状態を明確にする準備も必要だ。財務諸表などを作成して会社の現状が目に見える形でわかれば、後継者に無駄な不安を与えずに済む。また資金繰り表などの作成は、金融機関との良好な関係づくりにも役に立つ。財務諸表を定期的に提出し、金融機関を信用させることができれば、個人保証の引き継ぎを要求されない可能性が高まるだろう。

国や自治体が実施する、事業承継をサポートする制度にも目を向けよう

事業承継問題への対策としては、国・自治体が実施する制度の利用も効果的だ。近年では、中小企業の事業承継をサポートする動きが活発であり、スムーズに事業承継を進められる環境が整いつつある。では、具体的にどのような制度が実施されているのかについて、簡単に紹介していこう。

納税猶予を受けられる「事業承継税制

国が実施する事業承継税制は、中小経営者であれば確実に押さえておきたいポイントだ。この制度は、事業承継時に発生する相続税・贈与税について、一定期間の納税猶予を受けられるものである。要件は設けられているものの、2018年度には特例措置が新たに実施され、納税猶予割合の引き上げや要件緩和が実現された。

特例措置の納税猶予割合は相続税・贈与税ともに100%であり、すべての相続税・贈与税に対して納税猶予を受けられる。事業承継では資金不足に悩まされる企業も多いため、納税猶予を受けられるメリットは予想以上に大きいだろう。

情報提供やマッチング支援を行う「公的相談窓口」

国や自治体が設置している、事業承継に関する「公的な相談窓口」もぜひチェックしておきたい。例えば中小企業庁は「事業引継ぎ相談窓口」「事業引継ぎ支援センター」の2つを設置しており、事業承継に悩む企業に対して情報提供やマッチング支援を行っている。こういった相談窓口は日本全国に存在するので、近くで利用できる窓口を探しておけば、相談者が見つからない問題を簡単に解決できるだろう。無料で相談できる窓口もあるため、コスト面を心配する必要もない。

事業承継でM&Aを選択するメリットは?

中小企業が事業承継を進める方法はいくつかあるが、その中でも近年では「M&Aによる承継」が注目されている。では、ほかの事業承継手段と比べて、M&Aによる承継にはどのようなメリットがあるのだろうか。

最大のメリット

最も大きなメリットとしては、後継者問題をスムーズに解決しやすい点が挙げられる。後継者が親族や従業員に限定される承継方法とは違い、M&Aでは社外の人物を次期経営者にすることが可能となるため、後継者の選択肢がぐっと広がるのだ。M&Aによって次期経営者がスムーズに見つかれば、会社をそのまま存続できるだけではなく、後継者探しの手間も大きく抑えられる。

そのほか、M&Aによる事業承継には以下のようなメリットもある。

  • 株主が売却益を手に入れられる
  • 譲渡先の企業によっては、承継後の事業拡大も考えられる
  • 譲渡先を慎重に選べば、従業員の雇用を守れる
  • 経営者が個人保証や担保提供から解放される

上記のメリットから、M&Aによる事業承継は経営者がハッピーリタイアを目指しやすい手段と言える。また、近年ではM&Aを専門的に取り扱う業者も増えてきているので、以前に比べて「相談しやすい環境が整っている」点も、M&Aならではのメリットと言えるだろう。

事業承継問題の相談先は?

事業承継問題には複雑な要素が絡み合うので、経営者の力だけでは解決しきれない場合がある。そのため、事業承継問題に悩まされている中小経営者は「困ったときの相談先」についても理解しておきたい。

実は、事業承継問題の相談先にはさまざまな選択肢がある。相談先によって特徴は大きく異なるので、以下では各相談先の概要と、主な強み* 弱みを紹介していこう。

1.商工会議所

商工業者によって組織される商工会議所は、中小事業者に向けてさまざまなサポートを提供している。後継者不足などを解決に導く「事業承継支援」も、中小企業にとっては心強いサポートだ。

たとえば、東京商工会議所では23区内の小規模事業者に対して、事業承継の相談拠点を設けている。大阪府でも経営指導員による訪問相談を受け付けるなど、いまでは多くの商工会議所で事業承継支援が実施されている。

商工会議所ではこれらのサービスを無料で利用できるものの、売却候補先を先立って探してくれるわけではない。つまり、タイミング次第ではスムーズな事業承継を実現することは難しいので、利用するのであれば早めに申し込む必要がある。

2.弁護士や行政書士などの士業

法律や契約の専門家である士業も、事業承継問題の相談先のひとつ。たとえば、弁護士であれば相続や遺言状などの法的な問題、行政書士であれば専門的な書類や契約書の作成などをサポートしてくれる。

ただし、弁護士などの士業に関しては、すべての事務所がM&Aの専門家であるとは限らない。専門分野では大きな力になってくれるが、場合によってはM&Aの特定の工程しかサポートを受けられないこともあるだろう。

また、最初から弁護士などの士業に相談をすると、結局そのほかの専門家の力が必要になることで、M&A全体の費用が増えやすくなる点にも注意が必要だ。

3.中小企業庁が設置する公的機関

事業承継問題が深刻視された影響で、いまでは中小企業庁も以下のような相談窓口を設けている。

  • 事業引継ぎ相談窓口…日本全国に設置されている、事業承継に関する情報提供やアドバイスを受けられる窓口
  • 事業引継ぎ支援センター…専門的な支援を受けられる、大都市を中心に展開されている窓口

いずれも無料で利用できるサービスではあるものの、M&Aの仲介実績については民間業者に劣っている。特に事業引継ぎ相談窓口は初歩的なサポートであるため、この窓口だけでM&Aのすべてを完遂することは難しいだろう。

4.銀行などの金融機関

銀行をはじめとした金融機関も、近年では事業承継に関するサービスを展開している。たとえば、日本銀行では「事業承継5カ年計画」として、2017年度から事業承継ネットワークを積極的に構築してきた。

金融機関は信頼できる相談先となるが、結局はその後に専門家を紹介される形となるため、二度手間になってしまう可能性が高い。また、普段から取引をしておかないと、そもそも気軽に相談できる関係性を構築できないので、緊急性の高い相談先としては適していないだろう。

5.M&A仲介会社

M&A仲介会社とは、M&Aの買い手と売り手の間に入り、さまざまな角度から両者をうまくサポートする専門業者のことだ。仲介会社にはいくつかの種類があり、たとえばM&Aのアドバイスに加えてコンサルティングも行う業者は「M&Aコンサルティング会社」と呼ばれている。

M&A仲介会社のメリットは、とにかくM&Aの実績が豊富な点にある。豊富な経験により、独自のノウハウやネットワークを築いている業者が多いため、どのような中小企業でも気軽に相談できるだろう。弁護士や税理士をはじめ、そのほかの専門家と連携している業者が多い点も、M&A仲介会社ならではの心強いポイントだ。

一方で、デメリットとしては料金体系が業者ごとに異なる点が挙げられる。会社規模によっては、非常に高額な成功報酬が発生することもあるので、各社の料金体系は細かくチェックしておきたい。

上記では5つの相談先を紹介したが、より良い形でスムーズに事業承継を進めたいのであれば「M&A仲介会社」に相談をする方法がおすすめだ。さまざまな要素が複雑に絡み合うM&Aでは、やはり実績が豊富な専門家に相談をすることが望ましい。

費用は発生するものの、仲介会社によっては無料で相談を受け付けているケースも多く見受けられるので、少しでもコストを抑えたい経営者はそのような相談先を探してみよう。

対応が遅れないように、適切かつ迅速に行動を

今回解説したように、事業承継問題は簡単に解決するものではない。企業によっては死活問題となり、対応が遅れると廃業に追い込まれることもある。そのため現時点で自社が抱えている問題・リスクをしっかりと把握し適切かつ迅速に対策を進めるべきだろう。具体的な対策を立てることが難しければ早めに公的相談窓口や専門家を頼ることが重要だ。抱えている問題を先延ばしにせずに早めに行動に移すことを意識しておこう。

文・THE OWNER編集部

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