(本記事は、近藤 淳子氏(著)、葉石 かおり氏(監修)の著書『人生を豊かにしたい人のための日本酒』=マイナビ出版、2022年9月26日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
2024年のユネスコ無形文化遺産の登録を目指している日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」。日本酒への注目も高まる中、酒造数や国内生産量をデータ分析します。
日本酒の国内出荷量は、ピーク時の1973(昭和48)年には170万キロリットルを超えていました。しかしその後は、少子高齢化、高度経済成長後における消費の低価格志向、ライフスタイルの変化、他のアルコール飲料との競合などにより、減少傾向となっています。2018(平成30)年以降は国内出荷量の減少幅が大きくなり、これまで順調に増加してきた特定名称酒についても減少に転じています。
2020(令和2)年には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も受け、業務用の日本酒を中心に国内出荷量は、対前年比マイナス10パーセントと減少。さらに特定名称酒は、対前年比マイナス14パーセントと大幅に減少しています。2021(令和3)年(1~7月)も、国内出荷量は前年同期比マイナス3パーセント、特定名称酒は同マイナス4パーセントとなっています(農林水産省農産局2022年「日本酒をめぐる状況」より)。新型コロナウイルスによる打撃が数字に如実に表れた結果に愕然としたのは、私だけではないはずです。
次に、都道府県別に酒造数や製造量を見ていきましょう。
日本酒造組合中央会によりますと、現在の日本酒の酒造場数は、1394蔵(日本酒造組合会員数)あります。県別ランキング(2021年3月時点)では、1位新潟(88蔵)、2位長野(79蔵)、3位兵庫(69蔵)、4位福島(60蔵)、5位福岡(59蔵)となります。
日本酒の製造量(アルコール分20度換算)については、全国合計34万496キロリットル(2019年)。県別ランキングは、1位兵庫、2位京都、3位新潟、4位埼玉、5位秋田という結果です。
酒造数3位の兵庫が製造量では断トツの1位、酒造数1位の新潟は製造量3位と逆転しています。長野、福島、福岡の酒造数は上位にランキングされていますが、製造量では5位以下という結果です。これは、大手の酒造会社が集まっている兵庫(「白鶴」「菊正宗」「剣菱」など)や京都(「月桂冠」「黄桜」「松竹梅」など)が、他の中小の酒造を抑えて製造量を押し上げているためです。
日本酒の一大生産地であり、現在も製造量ナンバー1である兵庫(灘の酒)には、播磨、灘五郷、伊丹、丹波、但馬などに9つの酒造組合があり、それぞれに特色があります。ここから生まれた丹波杜氏や但馬杜氏は全国で活躍。また、酒米の王者である兵庫県産山田錦をはじめ、五百万石、兵庫北錦などの生産地であることも、兵庫(灘の酒)が押しも押されもせぬ酒どころとして君臨している理由です。
TBS系列北陸放送のアナウンサーを経て、現在はホリプロアナウンス室所属のフリーアナウンサーとして、日本酒イベントの司会などに携わる。また、日本酒関連のセミナーの開催、コラム執筆・監修、飲食店のコンサルティングなど各方面で活躍。2009年から女性限定の日本酒会「ぽん女会」主宰。国際NGO、海外ラグジュアリーブランド、地方自治体との日本酒コラボレーション企画を行う。著書に『現役アナウンサーが教えるあなたが輝く話し方入門』(シンコーミュージック・エンタテイメント)ほか。
酒と料理のペアリング、酒と健康を核に執筆、講演活動を行う。2015 年一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。
国内外で日本酒の伝道師・SAKE EXPERT を育成する。
『名医が教える飲酒の科学』(日経BP)がシリーズ累計17万部のベストセラーに。近著に『おうちで簡単 日本酒×おつまみ極上ペアリング』(マイナビ出版)がある。
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