売上を減らそう
中村 朱美(なかむら・あけみ)
1984年生まれ、京都府出身。専門学校の職員として勤務後、2012年に「1日100食限定」をコンセプトに「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」を開業。その後、「すき焼き」と「肉寿司」の専門店をオープン。連日行列のできる超・人気店となったにもかかわらず「残業ゼロ」を実現した飲食店として注目を集める。また、シングルマザーや高齢者をはじめ多様な人材の雇用を促進する取り組みが評価され、2017年に「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選出。2019年には日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」大賞(最優秀賞)を受賞。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます

最長4時間待ち、苦肉の策ではじめた整理券配布

全国ネットのテレビ番組でも紹介してもらうようになり、番組が放映されるたびに、佰食屋の行列はどんどん長くなっていきました。

2014年4月28日、前日のゴールデンタイムに全国放送された番組がきっかけで、その日は朝の時点でたくさんのお客様がいらっしゃいました。その数のべ100名以上。たった14席のお店に、キャパシティの10倍を超えるお客様がいっぺんに来てしまったのです。

当然、近隣からクレームがあり、警察の方が来られました。「人が歩道を占拠して、歩けなくなっている。なんとかしなさい!」とおかんむり。でも、なんとかしてほしいのはこっちのほうです。「助けてください!」と叫びたいくらいでした。

ずらっと並んでいるお客様に、とりあえずどこか別の場所で待機してもらわなければいけない……そう考えて、苦肉の策でメモ紙に番号を振り、「○時にお越しください」と、整理券をお渡ししたのです。

結局、その日13時に整理券をお渡しした最後のお客様にステーキ丼を食べていただけたのは、17時のこと。最長4時間もの間、お待ちいただくことになりました。翌日も同じように長蛇の列。その日から、整理券配布を正式に佰食屋の制度として取り入れたのです。

結果として、これが大正解でした。

朝9時半から整理券の配布をはじめ、11時から順次お越しいただくようご案内します。お店にわざわざ2回来ていただく形になるため、お客様にはご面倒をお願いすることになります。けれどもそのぶん、ずっと列に並んで暇を持て余してしまうことなく、好きなように時間を使っていただけます。

佰食屋のある西院という町は、京都でも繁華街ではなく、観光地から少し離れた住宅街で、暇をつぶせるようなところはあまりありません。にもかかわらず、いまや全体で50%が観光で来られたお客様であり、日本中、そして世界中から、わざわざ佰食屋へ足を運んでくださいます。「待っている間に着物を着付けてもらって、ごはんを食べた後に町歩きをする」「金閣寺まで足を伸ばすので、13時にまた戻ってきたい」など、来店時間を相談されることもあります。