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最長4時間待ち、苦肉の策ではじめた整理券配布
全国ネットのテレビ番組でも紹介してもらうようになり、番組が放映されるたびに、佰食屋の行列はどんどん長くなっていきました。
2014年4月28日、前日のゴールデンタイムに全国放送された番組がきっかけで、その日は朝の時点でたくさんのお客様がいらっしゃいました。その数のべ100名以上。たった14席のお店に、キャパシティの10倍を超えるお客様がいっぺんに来てしまったのです。
当然、近隣からクレームがあり、警察の方が来られました。「人が歩道を占拠して、歩けなくなっている。なんとかしなさい!」とおかんむり。でも、なんとかしてほしいのはこっちのほうです。「助けてください!」と叫びたいくらいでした。
ずらっと並んでいるお客様に、とりあえずどこか別の場所で待機してもらわなければいけない……そう考えて、苦肉の策でメモ紙に番号を振り、「○時にお越しください」と、整理券をお渡ししたのです。
結局、その日13時に整理券をお渡しした最後のお客様にステーキ丼を食べていただけたのは、17時のこと。最長4時間もの間、お待ちいただくことになりました。翌日も同じように長蛇の列。その日から、整理券配布を正式に佰食屋の制度として取り入れたのです。
結果として、これが大正解でした。
朝9時半から整理券の配布をはじめ、11時から順次お越しいただくようご案内します。お店にわざわざ2回来ていただく形になるため、お客様にはご面倒をお願いすることになります。けれどもそのぶん、ずっと列に並んで暇を持て余してしまうことなく、好きなように時間を使っていただけます。
佰食屋のある西院という町は、京都でも繁華街ではなく、観光地から少し離れた住宅街で、暇をつぶせるようなところはあまりありません。にもかかわらず、いまや全体で50%が観光で来られたお客様であり、日本中、そして世界中から、わざわざ佰食屋へ足を運んでくださいます。「待っている間に着物を着付けてもらって、ごはんを食べた後に町歩きをする」「金閣寺まで足を伸ばすので、13時にまた戻ってきたい」など、来店時間を相談されることもあります。