(本記事は、宗次 德二氏の著書『独断 宗次流商いの基本』=プレジデント社、2020年10月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「万人向けの味」だからこそ飽きずに何度も食べたくなる
シンプルに「食べておいしい」ことが何よりも大事
いいものを提供すればお客様は満足してくれる。では、いいものとは何か。お客様の様子を見ているとわかるが、ココイチは食事の楽しさを提供しているのである。ただお腹を満たすだけではなくて、カレーの辛さもライスの量もトッピングもお客様の好みに合わせて選べるから繰り返し訪れる楽しみがある。また、一人ひとりに気配りした接客を心がけているので、ファミリーでもカップルやグループでも単身でも、気持ちよく過ごしていただける。
そして何よりも大切なのは、飽きない味のカレーだということ。社長であった頃、私は各店舗を巡回して1日平均して5、6食は食べていたけれど全く飽きなかった。「お母さんの味」と言われることもあるが、家庭的な味であることが飽きない最大の理由だと自負している。
他のカレーチェーン店はプロの味にこだわり、様々なスパイスを効かせたカレーを作ろうとする。しかし、個性が強すぎるカレーは多くの人には何度も食べたくなるものではないし、コストがかかるから価格も高くなる。ココイチで提供するカレーは自己満足のこだわりの強いカレーではなく、「食べておいしい」というシンプルな発想で作られた。飽きない味だから何度でも足を運びたくなり、身近な人に教えたくなる店なのだ。だから、カレー専門店としてカレー単品でも勝負できるのである。