(本記事は、宗次 德二氏の著書『独断 宗次流商いの基本』=プレジデント社、2020年10月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「こだわり」を持てば中身は後からついてくる
絶対の自信を持てるものがあるか、やり続ける覚悟はあるか
行き当たりばったりの経営が一番いいと私は常々言っているが、中身は超が付くほどのこだわりを持って経営に当たってきた。現場主義、お客様第一主義、率先垂範――私はこの3つに頑なにこだわり続けた。これを続けようとすると本当に疲れ果てるのだが、半面そこが面白い。この3つを徹底すると、会社も社員もお客様もみんながよくなるのだ。
一般論で言えば、行き当たりばったりはよくないと言われる。とりわけ経営となると、昔も今も、行き当たりばったりを肯定する人はあまりいないだろう。しかし、現実を見れば、どれほど綿密に計画を練って実行しても、その通りに行くことは少ないのではないだろうか。要は、身を粉(こ)にして心を込めて頑張ればよい。お客様第一の現場主義を貫けば必ずうまくいく。
だから、自分に何か1つでも絶対の自信を持てるものがあって、それをやり続ける覚悟があるのならば、すぐに始めればいい。逆に、それがなければ新たなことにチャレンジするのは諦めたほうがいい。たとえ起業しても、中途半端な気持ちなら皆を不幸にするだけだからだ。
人生、チャンスはそう何度もやってくるわけではない。だから、その気になった今、パンの耳を食べる生活が続いてもかまわないという、本気でやり続ける情熱があるのだったら、徹底的にこだわって明日にもチャレンジしてみることだと思う。