(本記事は、遠越 段氏の著書『時代を超える!スラムダンク論語』=総合法令出版、2023年3月10日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
SLAM DUNK
立てた志は、断固たる意志を持ち続けて成し遂げる
全国制覇
を
成
し
遂
げたいのなら
もはや
何
が
起
きようと
揺
らぐことのないーー
断固
たる
決意
が
必要
なんだ!!
(第16巻)
The Analects of Confucius
曾子 曰 わく、 士 は 以 って 弘毅 ならざる 可 からず。 任 重 くして 道 遠 し。 仁 以 って 己 が 任 と 為 す。 亦 た 重 からずや。 死 して 而 して 後已 む。 亦 た 遠 からずや。
「 曾子 曰 く、志を立てた士は、広い包容力と強い意志を持たなくてはならない。その任務は重く、道は遠いのである。最高の徳である仁を身につけ実践するという任務である。何と重いことだろうか。この重い任務は死ぬまで続くのである。何と遠いことだろうか」
(泰伯第八)
解説
インターハイの一回戦を勝利した湘北高校の次なる対戦相手は、日本の高校バスケット界の頂点に君臨し続けている山王工業高校であった。昨年の先発メンバー5人のうち3人の主力が残り、しかも史上最強との評価もあるチームだ。
全国制覇を目標にしてきた初出場の湘北高校は、早くも二回戦で最大の強敵と戦わなければならなくなったのである。
昨年の大会での山王工業戦のビデオを観る選手たち。自分たちが県予選で惜敗した海南大附属高校を相手にして圧勝した昨年の試合を観て、さすがの湘北メンバーも息をのんだ。
監督の安西は言った。
全国制覇するためには、そして王者山王工業を倒すには、相手の優勝し続けてきた経験、そして何よりも山王工業が勝利することを信じて疑わない会場の雰囲気、空気、流れといった目に見えないものを含めたすべてに勝つだけの、〝断固たる決意〟が必要なんだ、と。
そして、不安に思って夜風にあたりに行った赤木と三井に、木暮は言った。
「今まで残ったのはあの時本気で全国制覇を信じた奴だけだぜ」
論語で 曾子 は、志を立てた士、すなわち立派な男子というものは、何が起きようともそれに対処し、どんな難題からも逃げずに打ち勝ち、乗り越え続ける強い意志がなければならない。そして、それを生涯続けなければいけないと言う。その任務は重く道は遠い、のである。
戦国の覇者徳川家康も、この論語の教えから学んだことを遺訓のひとつにしている。
「 人 の 一生 は 重 き 荷 を 負 ひて 遠 き 道 を 行 くが 如 し。 急 ぐべからず」
人の一生とは、思い荷物を背負って遠い道のりを行くようなものだ。急がずに行くのがよい(東照公御遺訓)
決してあきらめない、何があってもくじけず死んでもやり抜くぞという〝断固たる決意〟なくして、大成、全国制覇はないのである。