(本記事は、遠越 段氏の著書『時代を超える!スラムダンク論語』=総合法令出版、2023年3月10日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
SLAM DUNK
他人の評価を気にせず自分を信じる
試合
前
に
君達
にいったことを
覚おぼえていますか?
もちろんです!!
「オレたちは
強
い」!!
よろしい
(第7巻)
The Analects of Confucius
子 曰 わく、 人 の 己 を 知 らざるを 患 えず。 其 の 不能 を 患 うるなり。
「孔子曰く、人が自分のことを知らず評価してくれないことを心配することはない。自分の力が十分備わっているかどうかを心配し、力が備わるように励んでいればよいのだ」
(憲問第十四)
解説
人は社会的動物であるがゆえに、常に、他人の目や他人の評価を気にしてしまうものだ。自分がどれだけがんばっても正当に評価されていないと感じると、不満が溜まっていく。どこか組織に属し、結果を出さなければいけない環境にいる限り、それは仕方のないことだ。
しかし、人からの評価にとらわれすぎると、自分の力を発揮できなくなるし、日ごろの鍛錬までもが、気が散り不十分となりかねない。
だから孔子は、自分の他人による評価をいちいち気にするのは、自己の成長にとってマイナスに働くだけで、よいことは何もないと言う。そしてそれよりも、ただ自分の実力が本当に備わっているのか、日々成長できているのかに気持ちを集中させよと言う。それが、真の力となり、いざという勝負どころでも、人に負けない心がまえになると教える。
湘北高校バスケット部は、神奈川県予選一回戦負けの常連校だったが、初めて決勝リーグに進めるベスト4を賭けて、 翔陽 高校と対戦した。翔陽はインターハイの常連校であり、前年度も神奈川県の準優勝校で、温存していたエースの 藤真健司 も交代により出場した。
無名と言ってよい湘北が、翔陽の名前に負けて、実力を発揮できずに終わってしまう恐れも十分にある。そこを監督の安西もよくわかっていて、選手たちに「オレたちは強い」と言わせることで、その心配をぬぐい去ったのだ。そして主将の赤木剛憲も、チームを鼓舞して言うのである。
「いいか!!ここまできたら去年までの成績なんか関係ねえ!! 目の前の敵がだれだろうとそいつらを倒すのみだ!!」と。
本当に成長したいと思うのならば、気にするべきは他人からの評価ではない。今の時点で自分に必要な力が本当に備わっているかどうかだ。そして、その力がつくように日々練習や学びに励んでいよう。
自分の成長に大切なのは、他人ではなく真に自分と向き合うことなのだから。