PR戦略を考える際に覚えておきたい10手段
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(本記事は、アイヴァン・マイズナー、マイク・マセドニオ、大野真徳(著者)の『リファーラルマーケティング』=アチーブメント出版、2015年6月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

アイヴァン・マイズナー
著:アイヴァン・マイズナー
世界最大級のビジネスリファーラル組織であるBNIの創立者兼CVO(チーフ・ビジョナリー・オフィサー)。1985年にBNIを創立。BNIは、現在、全世界に数千のチャプターを有し、毎年メンバー間で何百万ものリファーラルが交わされ、約1兆円ものビジネスがメンーにもたらされている。アメリカのニュース専門放送局(CNN)から「現代ネットワーキングの父」との異名を取り、「ネットワーキングの権威」とも呼ばれている。

ビジネスのPRにつながる10の方法

以下のリストは、PR戦略を立てるに当たって役立つ一覧性に優れたツールです。

1. 記事を書く

顧客にしたい相手が関心をもっている問題に取り組むことで、あなたのアイデンティティーと信頼性を向上させることができます。それには、その問題について記事を書くのも有効な方法です。執筆のスキルに自信がないなら、プロのライターに依頼して、あなたのアイデアを出版に適した文章にまとめてもらうのもよいでしょう。

出版物に名前を載せるだけで、あなたの信頼性は向上し、認知度も高まります。一度の努力で、何千もの見込み客に影響することができるわけです。出版物を見た人は、評判あるメディアがあなたのことを十分に評価していて、その上であなたのメッセージを掲載しているのだと推測します。これにより、あなたの知識の専門性を暗示することができます。

書いた記事を掲載してもらえる機会を見つけるには、図書館に置いてある『Writer'sMarket』という本を見てみましょう。これは、あらゆる種類の定期刊行物について、どこに対して、どのように記事を売り込んだらよいのかを解説している著名な本です。

あらかじめ理解しておく必要があるのは、記事を書いたこと自体に対しては、報酬が支払われないこともあるということです。編集者は、記事が印刷されたことにより、あなたの露出度が向上すれば、それで十分な報酬になっていると考える場合もあります。時には、執筆の見返りとして、広告スペースを提供してくれることもあります。もう1つ重要な点は、執筆料をもらった場合には記事は出版社のものになるということです。もし、マーケティング資料として再利用を考えているなら、なんらかの取り決めをしておきたいところです。

もし出版社に記事を受け入れてもらえなくても、その記事をマーケティング資料として活用することができます。

2. コラムを書く

『You Can Be a Columnist』の著者であるシャーロット・ディグレゴリオは次のように述べています。「名声を得ることも、プロとして成長することも、難しいことではありません。コラムを書くだけで、地元、地域、さらには、全国レベルで露出度を高めることができます」。地域での企業イメージ構築につながるコンテンツを考え、地元で定期刊行物を出している出版社に連絡を取り、アイデアを売り込みましょう。

コラムを書くことができる機会は意外にも数多く存在します。米国には、およそ1400の新聞があります。ニューヨークタイムズのコラムを書くのは難しいとしても、地域や地元の新聞で、あなたの専門的知識が読者の役に立ちそうなところを見つけて説得することならできるかもしれません。まずは、町に出て、あらゆる無料のコミュニティー新聞、季節報、定期刊行物を集め、内容をチェックしてみましょう。あなたがターゲットにするマーケットと読者層が一致するものを数個選びます。次に、編集者に電話をして、コラムのアイデアを売り込みます。もし、機会を提供してもらえたら、『You Can Be a Columnist』を1冊購入し、仕事に取りかかりましょう。

3. ニュースレターを発行する

ニュースレターの発行は、知名度やブランドの認知度を上げる効果的な方法です。ニュースレターを発行することで、あなたのビジネスや、あなたが提供している商品・サービスについて人に伝えることができます。同時にマーケットにおける認知度を高め、信頼できるエキスパートとしての評判を高めるのに役立ちます。コストを抑えるには、メールで発行するのも効果的です。

ニュースレターにはさまざまな種類があります。デザインや文面の長さは、どれくらい時間をかけるのか、どれくらいの頻度で出すのか、どれくらいの費用をかけるのかによって違ってきます。

ニュースレターの発行には多くの時間を必要とします。月に1回発行するためには、リサーチを行い、記事を書き、編集し、レイアウトを整え、印刷し、配布またはメール送信という作業を4週間ごとに繰り返すことになります。なかには、プロのライターに依頼してニュースレターを書いてもらう人もいます。また、ニュースレターの制作会社も存在していて、あなたの分野に適したフォーマットや、ひな形を使ってニュースレターを作成してくれます。競合しないほかの業者や小売店と提携してニュースレターを発行する方法もあります(リレーションシップ・マーケティング)。費用を折半すれば、コストを抑えることができます。

ニュースレターを書くに当たり、把握しておくべきポイントはたくさんあります。

  • どのような人が読み手になるのか
  • 読み手は何を知りたがっているのか
  • ニュースレターを発行する目的は何か
  • どのような種類の情報を含めるのか
  • 何色刷りにするのか、紙の質はどうするのか(どれくらい費用をかけられるのか)
  • どれくらいの頻度で発行するのか
  • どのような方法で発行するのか(第8章で触れたように、メールで送る場合は、スパムと受け止められないように、受信者がオプトインおよびオプトアウトできるようにしておく)

ニュースレターは、リファーラルマーケティングを補完するには最適な方法です。なぜなら、ほかの人の宣伝をする機会になるからです。リファーラル提供者や彼らのビジネスについて、ニュースレターの中で簡単に触れることで、信頼関係をぐっと深めることができるだけでなく、読者に対しても役立つ情報を提供することができます。

4. 講師を務める

大学や短大で、社会人向けの授業(対面、電話またはオンライン)を担当することは、あなた自身を宣伝し、専門分野における評判を構築するには絶好の機会です。このアプローチの最大のメリットは、地元で名前が売れることです。無料で注目と信頼を獲得できます。また、講演料をもらえる場合もあります。

実際の受講者だけでなく、大学が郵送で配布する授業カタログによって、何千人もの人があなたとあなたのビジネスについて知ることになります。事実上、これは無料でダイレクト・メール・マーケティングを行っているのと同じであり、大学のデータベースにある人たちに対して露出度を向上させることができます。

講師を務めることには、そのほかにも利点があります。

  • 商品・サービスを販売できる(注意:適切かつ許可がある場合のみ)
  • 人前で話をすることで自信につながる
  • パブリックスピーカーとして自分を宣伝できる
  • 講師を担当した機関の研究者とのあいだで価値ある人脈をつくれる

電話帳を使って、地域で社会人向けの授業を行っている教育機関をチェックしてみましょう。社会人向けの授業を管轄する部署に電話をかけ、彼らのプログラムに関する情報と、あなたの授業をカリキュラムに追加してもうらための要件に関する情報を提供してもらいましょう。

5. スピーチをする

地域には数多くの団体があり、メンバーのためにスピーカーを招待して講演を行っているところもあります。ロータリー、キワニス、オプティミスト、ライオンズクラブは、毎週のように会合を行っており、ゲストのスピーカーがさまざまなトピックについて講演を行います。専門職団体、同 窓会、協同組合などの会合でもスピーカーを招いています。

地元の商工会議所を訪問するか、市のホームページを見て、地域の団体のリストを入手しましょう。次に、代表者、またはスピーカーのスケジュールやプログラムを管理している人物に連絡を取ります。あなたの略歴と、スピーチできるトピックの例を送ることを提案してみてください。

通常、これらのスピーチの機会では報酬の支払いはありませんが(食事が無料で支給されることはあります)、企業イメージの構築と、ビジネスのコミュニティーを動かしている人たちとのコンタクトをつくるうえでは絶好の機会となります。名刺をたくさん持参しましょう。名前、住所、電話番号が載っている配布資料も用意しましょう。ただし、スピーチのあいだに聴き手に何かを販売しようとしてはいけません。まずは、エキスパートとしての地位を確立し、その信頼を売上につなげましょう。

これらの団体でスピーチをするに当たり、パブリックスピーキングのスキルに自信がない場合は、トーストマスターズ・インターナショナルへの加入をおすすめします。各地に支部をもっており、社交的な雰囲気のなかで、楽しくパブリックスピーキングの基本スキルを学ぶことができます。パブリックスピーキングについては、地元の大学や短大でも社会人向けの授業が提供されていることがありますので、調べてみましょう。

6. 推薦状を書いてもらう

推薦状は、あなたの商品・サービスを購入または利用した人からの書面による推薦の言葉です。過去の顧客からの称賛は、極めて効果的なマーケティング手法です。

そこで、満足した顧客に推薦状を書いてもらうことを習慣化しましょう。あなたの商品やサービスについて、感想や意見を書いてもらいます。やってみればわかりますが、通常、満足した顧客は快く応じてくれます。宣伝資料の中で彼らのコメントを使用してもよいか必ず確認しましょう。最後に、法人顧客の場合は、相手の会社のレターヘッドが入った推薦状にしてもらえるか聞いてみましょう。

7. プレスリリースを送る

プレスリリースは、PR戦略の要です。日々、ニュースの編集者は、広報の専門家、企業や非営利団体の広報担当者、あるいは個人から、大量のプレスリリースを受け取っています。もちろん、そのうち実際に使用されるものはごく一部です。しかし、意外にも日々のニュース記事の多くが、プレスリリースをきっかけにして作成されています。

プレスリリースを読んでもらうためには、読んでもらいたい編集者、出版社、コンテンツの責任者などに、個人的に紹介してもらうことをおすすめします。とりわけ、マーケットが大きい場合にはプレスリリースの山から探して読んでもらわないかぎり、あなたの記事はどこかに埋もれてしまうのがおちです。プレスリリースをメールで送信する場合は、ロゴの画像を送ります。プレスリリースの内容に関連した写真がある場合は、一つひとつキャプションを付けて説明するのを忘れないようにしましょう。

8. ヒント、トレンド、統計を提供する

ヒント、トレンド、統計は、しばしば、マーケティングの「三銃士」と呼ばれます。同時に編集者のお気に入りでもあります。なぜなら、簡潔かつ有益で、理解しやすく、面白いからです。

ヒントというのは、役に立つ実践的な情報を簡潔にまとめたものです。あなたの商品やサービスに関して人に知ってもらいたいことを、5項目〜10項目リストアップしてください。たとえば、あなたが会計士なら、「よくある税金の落とし穴トップ5とその回避法」といったリストをつくるのもよいでしょう。もしあなたが不動産業者なら、「家を買う前に聞いておきたいQ&A」をつくるといったことが考えられます。

トレンドとは、未来の予想図となるような兆候のことです。トレンドは、変化の先端に立つ人々の態度と考え方を反映しています。トレンドは、「何が最先端で、何が最先端でないのか」を教えてくれます。あなたが業界の新しいトレンドを発見したら、メディアもそれについて聞きたがるはずです。既存の顧客について考えてみましょう。彼らのバックグラウンドや購買傾向に何か共通点を見いだすことはできないでしょうか? あなたの業界の最近の変化について考えてみましょう。その傾向は今後も続きそうですか? 将来的にビジネスの仕方に影響を及ぼすでしょうか? もしそうなら、それはトレンドかもしれません。

統計は、人々の意識を調査するより科学的な方法です。あなたが設定した特定の質問に対する答えを数量的に測定します。統計は、非常に面白いものになるか、とてつもなくつまらないものになるか、どちらかです。すべてはあなたが設定する質問にかかっています。あなた自身やあなたの知り合いにとって、役に立つあるいは面白い統計にしましょう。報道価値があるものにするためには、有意義な規模で統計を行う必要があります。より多くの回答を得れば、それだけ結果の信頼性は高くなります。統計はあなたのビジネスと関係があるものにしましょう。そうすることで、統計結果があなたの商品・サービスとどのように関連するのか筋道立てて示すことができます。

1週間続けてUSAトゥデイを読んでみてください。全国紙で、ヒント、トレンド、統計が満載です。また、「CNN Headline News」を視聴してみてください。ニュースとニュースのあいだに、Fact Checkという見出しの統計をやっています。また、その他の定期刊行物についても、地元の図書館を利用して目を通しておきましょう。この種の情報を提供している囲み記事や側面記事を探してください。そして、あなた自身のヒント、トレンド、統計をまとめたら、それをニュースリリースの形にしてメディアに報告します。ブログがあれば、ブログで情報を公開する方法もあります。その他、ソーシャルメディアで公開することもできます(以下を参照)。

9. ソーシャルメディアでの存在感

誰かがあなたが望まないような仕方で、あなたの写真を投稿したら、あなたのイメージはダメージを受けることになります。定期的にインターネットで自分や自分の会社を検索し、自分のイメージが維持されているかチェックしましょう。

10. 記者にとっての専門知識の情報源になる

地域での信頼性を高めるには、新聞で専門家として取り上げられるのが一番です。あるテーマに関する信頼できる情報源となるためには、メディアにあなたの存在を知ってもらい、記者に対して、継続的にあなたの経歴や専門性を伝えていくのがカギです。

アクションアイテム
1. 強力なミッションとビジョンを考えましょう。

2. 以下の点について自己評価してみましょう。

・ロゴ
・電話戦略
・施設
・メールアドレス
・資料
・ウェブサイト
・あなたとスタッフの身だしなみ
・業務用車両
・ソーシャルメディア

3. 上で確認した点について、あなたのミッションやビジョンに適合しないものについては、必要なステップを踏んで是正しましょう。

4. あなたの会社にとってPRの機会となるものを特定し、プレスリリースを発行するための予定表をつくりましょう。
リファーラルマーケティング
【著者】アイヴァン・マイズナー、マイク・マセドニオ、大野真徳 【訳】小川維
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