大富豪と呼ばれる人は何をしている人なのか。本記事では、米誌フォーブスの「2023年版 世界長者番付」からベスト3の人物を紹介。また、日本から大富豪を輩出するためには何が必要なのかを検証していく。
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目次
3位はジェフ・ベゾス
ジェフ・ベゾスは、1994年にAmazonを設立し、小さなオンライン書店から世界最大のEコマース企業へと成長させた。その後、AmazonはクラウドサービスやAI技術にも進出。特にAmazon Web Services (AWS)は、クラウド市場でのリーダーとして位置づけられている。
2023年、ベゾスは宇宙開発事業「Blue Origin」に注力中だ。Blue Originによる宇宙観光の商業化が進行中で、新たな収益源として注目されている。2023年9月には、Amazonの幹部をCEOに迎え、さらなるテコ入れを図った。またAmazonのサプライチェーンの最適化や新たな海外市場への進出も進行中である。
2位はイーロン・マスク
イーロン・マスクは、PayPalの共同創設者として知られるようになり、その後、テスラやSpaceX、Neuralinkなど、数々の技術革命をけん引する企業を立ち上げた。特にテスラは、電気車の普及をけん引し、SpaceXは再利用可能なロケットを実現している。
テスラは、新型車のリリースやバッテリー技術の進化に焦点を当てている。またSpaceXの「Starlink」プロジェクトによる全地球規模の高速インターネットサービスの提供が始まる予定だ。
また2023年7月には、買収したTwitterを「X」と名称変更し、青い鳥のロゴも廃止してリブランドを図ったことも話題となった。
そんなマスク氏は、2022年の長者番付で首位だったが、2023年はツイッターの買収やテスラ株の下落などの影響で資産を390億米ドル減少させた。その結果、1,800億米ドルとなり2位に甘んじる結果となった。
1位はベルナール・アルノー
推定保有資産額2,110億米ドル(約31兆6,500億円)で初めて首位に躍り出たのは、ベルナール・アルノーだ。フォーブスの世界長者番付でフランス人が首位に立ったのは、これが初めての快挙である。
ベルナール・アルノーは、LVMHグループの取締役会長兼最高経営責任者として、ファッション、化粧品、アルコール飲料などのラグジュアリーブランドを統括している。ディオールやルイ・ヴィトンといえば、日本でも多くの人が知るトップブランドだ。
LVMHは、アルノー氏のリーダーシップの下、多数のブランドを合併・買収し、グローバルなラグジュアリーマーケットでのリーダーとしての地位を確立した。
2023年の上昇・下降トレンド
フォーブスの世界長者番付から見ると2023年の大富豪には、どのような上昇・下降トレンドがあったのだろうか。ここでは、3つのポイントを確認していこう。
フランス人が初の1位に
ベルナール・アルノーは、ラグジュアリーブランドを統括していることから「フランス・ファッション界の帝王」などとも称される。新型コロナウイルス騒動が落ち着きを見せてきたころより、ハイブランド業界の復調が見られたこともアルノー氏の順調な資産増加に貢献していると見られる。
大富豪たちの資産総額は減少傾向に
2023年のランキングは、保有資産額10億米ドル以上の「ビリオネア」が前年比で28人減少し、2,640人となるなど特筆すべき動きが見られた。またフォーブスの上級編集者、チェイス・ピーターソン・ウィソーンは「世界の大富豪にとって、珍しく低調の1年となった」とコメントしている。
資産総額の全体的な減少も注目され、2022年の12兆7,000億米ドルから12兆2,000億米ドルへと4,000億米ドルもの減少が見られた。
国別では3位にインドがランクイン
国別では、米国のビリオネアが735人と最も多く、総資産は4兆5,000億米ドルに達した。次いで中国(香港とマカオを含む)が562人で2位、総資産2兆米ドル。そして3位には、インドが169人でランクインし、資産総額は6,750億米ドルだった。新興国の経済成長とともに、新たな富裕層が現れていることが確認された結果といえるだろう。
2023年の日本長者番付は?
日本経済が2023年第1四半期に回復の兆しを見せるなか、日本の長者番付に大きな変動はあったのだろうか。こちらもフォーブスが毎年発表する「日本長者番付」を見ていこう。
トップ5は昨年と変わらず
「日本長者番付」のトップ5は、2022年と同じ顔ぶれとなった。ユニクロを運営するファーストリテイリングの会長兼社長、柳井正氏が再び首位を維持し資産額は、前年比で50%増の354億米ドル(約5兆3,100億円)と、大きく増加している。
全体として経済は上向きで資産総額も増加の傾向
日本国内の消費も、海外と同様に上向き始めた。また外国人観光客の増加もあり、日本長者番付にランクインする富豪50人の合計資産額も2022年から大きく増加した点は注目に値するだろう。キーエンスの創業者、滝崎武光氏は10億米ドル増の約226億米ドル(約3兆3,900億円)で2位を維持。
3位は、2022年と同じくソフトバンクグループの孫正義氏で資産はわずかに減少し、209億米ドル(約3兆1,350億円)となった。
楽天グループの三木谷氏はモバイル事業で苦戦
一方、明暗を分けたのは楽天グループの三木谷浩史氏だ。三木谷氏は、2022年よりも順位を大きく下げ13位となった。楽天銀行の株式上場は成功を収めたものの、モバイル事業での損失が続くなか資産は18%減少し、36億米ドル(約5,400億円)となったことが大きく響いた。
2023年の注目は、カプコンの創業者である辻󠄀本憲三氏など新たにランクインした大富豪たちだ。彼らの活躍が今後の日本経済にどのような影響をもたらすのだろうか。
日本で大富豪になりやすい業種は?
Wealth-Xによると、超富裕層人口のトップ5の第一次産業は、以下の通りだ。
またdodaの調査によると、日本で稼ぎやすい業種は1位が金融、2位がメーカー(製造業)、3位が総合商社となっている。ただ大富豪になるには、稼げる業種でしばらく実績を積み、起業するという道筋もあるだろう。
大富豪になるには業種を選ぶことも重要
大富豪となるための道筋としては、業種選びが重要だ。金融業は、世界でも日本でも大富豪を目指せる業種だという結果がはっきりと出ている。大富豪となるためには、業種選びや適切な時期での起業など戦略的なキャリアプランニングが不可欠なことがうかがえる。
これから新しい分野へ事業展開を検討している場合は、自社の強みに加えて稼ぎやすい業種への事業拡大を検討するのもポイントとなるのではないだろうか。