世界の大富豪ランキングトップ3を紹介、日本から大富豪を輩出するためには?
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

大富豪と呼ばれる人は何をしている人なのか。本記事では、米誌フォーブスの「2022年版 世界長者番付」からベスト3の人物を紹介。また、日本から大富豪を輩出するためには何が必要なのかを検証していく。

3位はベルナール・アルノー

フォーブス誌「2022年版 世界長者番付」の第3位は、ベルナール・アルノー。フランスにあるファッション業界の最大手企業・「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」の取締役会長兼最高経営責任者(CEO)だ。「ルイ・ヴィトン」「ディオール」などのファッション関連以外にも化粧品、時計、宝石、化粧品など数多くの世界的有名ブランドを傘下に持つグループである。

LVMHは、有名ブランドを合併・買収(M&A)し、傘下に入れることで拡大してきた。例えば米国の宝飾品メーカー「ティファニー」は、2021年にLVMHに買収されている。同社は、世界的なコロナ禍の中でも業績が急拡大しており、2022年1~3月期の売上高は、前年同期比29%増の約180億ユーロ(約2兆4,000億円)だった。

LVMHの売上拡大を受け、大株主であるアルノーの資産も増加。2005年時点では130億米ドル、2019年には760億米ドルだったアルノーの資産は2021年5月に推定1,863億米ドルに達した。2022年度版世界長者番付発表時の資産は1,580億米ドルとなっている。

2位はジェフ・ベゾス

第2位は、1,710億米ドルのジェフ・ベゾスだ。Amazon.com(アマゾン)の共同創設者である元CEOで、今後は宇宙開発事業に力を入れることも報道されている。ベゾスの資産は、Amazonの急成長からもたらされたものだ。同氏は、Amazonの株式の11.1%を保有しており、Amazonの株価上昇がベゾスの資産拡大につながっている。

同社の株価はコロナ禍の影響を受けて一時的に下落したものの、以降は急上昇している。コロナ禍で行動を制限された人たちが外出してのショッピングを避け、Eコマースにシフトしてきたことが急成長の要因だろう。ベゾスは、2019年に離婚しておりAmazonの持ち株の4分の1を元妻に渡している。もし4分の1の株式をベゾスが保有していたとすれば世界一の大富豪だったかもしれない。

なお元妻のマッケンジー・スコットも30位にランクインしている。

1位はイーロン・マスク

第1位は、2,190億米ドルのテスラCEOイーロン・マスクだった。テスラのCEOや宇宙開発企業「スペースX」CEOとして有名な人物で、インターネット決済サービス「PayPal(ペイパル)」社も設立(その後、売却)した。

2022年4月には、ソーシャルメディア大手・ツイッターの買収を提案、ツイッター側が受け入れに合意したことがニュースとなった。一時ツイッター側は買収意向に対し対抗措置としてポイズンピルを検討したが、資金のめどがつかず断念した。

イーロン・マスクは、「言論の自由」を強調。ツイッター買収により、ドナルド・トランプ前米大統領のアカウントを復活させるなどの様々な憶測が流れている。

日本人最高位はファーストリテイリングの柳井正

日本人最高位は「ユニクロ」で有名なファーストリテイリング会長兼社長の柳井正だ。資産額は261億米ドルで54位にランクイン。次いで239億米ドル(61位)のキーエンス名誉会長・滝崎武光、213億米ドル(74位)のソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義がランクインした。

なお世界長者番付自体には40人の日本人がランクインしているが、100位以内に入ったのは前述の3人のみ。以降は398位のユニ・チャーム代表取締役の高原豪久、490位の日本電産創業者の永守重信、536位の楽天創業者の三木谷浩史と続く。

日本には大富豪が少ない?

日本人も長者番付に数多くランクインしているが、海外の富豪と順位を比較するとやや差があるように見える。その理由はどこにあるのだろうか。

1. 大きなスケールで展開する世界的な企業の創業者がいない
大富豪が少ない理由の一つは、「Amazon」のジェフ・ベゾスのように世界トップクラスの企業の創業者が日本には少ないことが挙げられる。創業者が大株主である場合、業績が急拡大して株価が上がるとそれだけ創業者の資産も拡大する。しかし積極的に世界展開し、世界中の誰もが知っているような企業でないとAmazonほどは株価も上昇しないため、創業者の資産もそのレベルまでは達しない。

2. 日本人の横並び意識が強い
海外の大企業の場合、トップの報酬と平均的な従業員の収入の差が数百倍ということも珍しくない。「格差や貧富の差の拡大」として批判される原因にもなっているが、従業員やこれから起業を考える人たちのモチベーションアップにつながる部分もあるだろう。しかし日本の場合、トップと平均的な従業員の報酬は数十倍程度の差となっている。

これは「報酬を使いきれないほど多く得ることは、あまり褒められたことではない」「お金のことで目立つのはあまり良くない」とする、日本の「横並び意識」の風潮が強いことが原因かもしれない。

3. 景気や株価が上がらない
海外の大富豪の場合、持ち株の株価が上昇して資産が増えた人も少なくない。Amazonのジェフ・ベゾスやLVMHのベルナール・アルノーがこのパターンに当てはまる。しかし今の日本は、景気が良くなっているとは言えないため、国内の事業だけで利益を出すことが困難な状況だ。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、海外での事業展開が難しい面もある。

また、事業で多少儲かったとしても日本全体の株価が高水準ではないため、株式の含み益で大きく還元されるわけでもない。そのため大株主である創業者であっても大富豪になりにくいのだ。

海外の大富豪に追いつくには覚悟が必要

「有名ブランドを相次いで買収しグループを拡大」「数多くの新規事業を立ちあげ、世界的なサービスや商品を生みだす」など海外で大富豪と呼ばれる人たちは、多額の資金を使い事業を拡大している。立ちあげた事業が利益を出し、株価の上昇でさらに利益を得たらその資金をまた次の事業につなげ、より多くの利益を生みだすサイクルができている。

停滞傾向にある日本の企業がすぐに海外の富豪の真似ができるとは限らないが、「リスクを取らない」という意識を捨てることは重要かもしれない。また同時に「皆が同じくらいの報酬がいい」という横並び意識を捨てる覚悟も必要だろう。

文・田尻宏子

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