企業のポジティブイメージを維持するための10原則
(画像=WrightStudio/stock.adobe.com)

(本記事は、アイヴァン・マイズナー、マイク・マセドニオ、大野真徳(著者)の『リファーラルマーケティング』=アチーブメント出版、2015年6月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

アイヴァン・マイズナー
著:アイヴァン・マイズナー
世界最大級のビジネスリファーラル組織であるBNIの創立者兼CVO(チーフ・ビジョナリー・オフィサー)。1985年にBNIを創立。BNIは、現在、全世界に数千のチャプターを有し、毎年メンバー間で何百万ものリファーラルが交わされ、約1兆円ものビジネスがメンーにもたらされている。アメリカのニュース専門放送局(CNN)から「現代ネットワーキングの父」との異名を取り、「ネットワーキングの権威」とも呼ばれている。

イメージ

ポジティブなメッセージを生み出し、それを効果的に伝達するには、ビジネスの方向性や、提供する商品・サービス、そして、見込み客を明確にする必要があります。以下では、効果的なイメージを構築する方法についてお話します。

『Marketing on a Shoestring』の著者である、ジェフ・デビッドソン(Jeff Davidson)は次のように述べています。「イメージの時代がやってきた。企業から個人に至るまで、誰もがイメージの影響を受けることは疑いようのない事実だ」。このことは、私たちが、あれこれとイメージの向上に躍起になっていることからもうかがい知ることができます。たとえばセミナーです。身だしなみや話し方に関するものから、コミュニケーションや交渉スキルに関するもの、テレビ映りをよくする方法や、ワードローブマネージメントに関するものまで、どれも人気を集めています。

なぜ、私たちはこれほどまでにイメージの影響を受けるのでしょうか。それは、私たちが、仕事中も、移動中も、テレビを見ているときも、つねに大量の情報とイメージによる集中砲火を浴びせられていることが理由です。私たちの頭脳は、これらの刺激を素早く吸収することをおぼえたのです。瞬時に物事を評価し、次に進む。それが正しくても、正しくなくてもです。だとすれば、ここでもジェフ・デビッドソンの言葉を借りれば、「事業規模にかかわらず、ビジネスの成功は、あなたが自分自身をどのように位置づけ、人に対して何を伝えるかにかかっている」といってよいでしょう。

イメージを向上させるには?

この章を執筆するに当たっては、リファーラルインスティテュートの共同経営者である、ニューオーリンズのエディー・エスポジトの協力を得ました。エディーは、ベテランのビジネスコーチで、リファーラルマーケティングのエキスパートです。これまで、数多くの事業者や経営者のために、効果的なリファーラルマーケティング・プランの作成を支援してきました。エディーは、「いかなるマーケティングプランにおいても重要なことは、自分の行動のすべてを通じて企業イメージを伝達し、それを維持することだ」と述べています。

Entrepreneur.comのオンライン用語集では、「企業イメージ」を次のように定義しています。

一般の人があなたの会社の名前を聞いたときにもつ印象のこと。あらゆる、事実や出来事、個人の経歴、宣伝や目標、これらが一緒になって作用することで、一般の人がもつ印象が形成されます。

よく定義を見ていただければすぐにわかることですが、ここでは「あらゆる」出来事や個人の経歴が問題になっています。したがって、あなたのすることのすべてが、企業イメージにプラスまたはマイナスに働くということです。そう聞くと脅かされているような気がするかもしれませんが、じつのところ、これが企業イメージにふさわしい行動をつねに心掛けるための指針にもなるのです。企業イメージを維持するには、あなたの活動のすべて、提供する商品のすべて、あなたの身の回りにいる人物のすべてが、それにふさわしいものでなければいけません。

イメージは重要です。なぜなら、しばしばイメージこそが人の決定を左右するからです。その決定とは、あなたの商品やサービスを購入するかどうかの決定、あなたに融資をするかどうかの決定、または、あなたとリファーラルパートナーになるかどうかの決定かもしれません。たとえば、次のような経験をした人も多いのではないでしょうか。買い物をする際、色々な店を調べた結果、より安い店があるにもかかわらず、最も安心感のある店(印象が自分の期待に合っている店)から購入したという経験です。

企業イメージを考えるうえでは「関係者」のことを考慮に入れる必要があります。ここでいう関係者とは、あなたのビジネスの活動によって影響を受ける個人または組織のことです。利害関係は直接的である場合も、間接的である場合もあります。接触頻度も毎日という場合もあれば、ごくたまにしか接触しない場合もあります。

原則として、誰もがあなたに対して共通のイメージを抱くようになることが望ましいといえます。これには、家族、友人、近所、銀行、ターゲットのマーケット、仕入先、その他、あなたが接触するすべての人が含まれます。ターゲットのマーケットだけに話を集中させたいと思うかもしれませんが、忘れてはいけないのは、私たちはネットワーキングやリファーラルマーケティング・プランについて考えているのだという点です。前述の人たちは、全員あなたのネットワークにいる人たちです。あなたのイメージは、ネットワーク全体を通じて一貫している必要があります。

あなた個人やあなたの会社が一貫性のあるイメージを伝えるには何が重要なのか、これについてエディーは以下の10項目を挙げています。これは、エディー自身のリサーチ、そして、ニューオーリンズのPRエキスパートであるジェニファー・ケリーとのコラボレーションの成果です。あらゆる事業者や経営者が、ポジティブな企業イメージを伝え、維持するための原則を10項目にまとめました。

1. ミッションとビジョン

ポジティブなメッセージを生み出すに当たって、まずやるべきことは、ビジネスの方向性や、提供する商品・サービス、そして、見込み客を明確にすることです。まずは、入念に考えられたミッションとビジョンをもつことから始めましょう。企業イメージの形成は、社是から始まります。社是は、その会社がどのようになるのか、その価値に基づいて、どのように振る舞うのか、そして、何をめざしているのかといったことを定めます。たとえば、もしあなたの会社が「運動と食生活を重視する一流のフィットネス会社になること」をミッションまたはビジョンとして掲げていたとします。この場合、人はあなたの会社にどのようなことを期待し、どのような想像をするでしょうか。おそらく、コンディション良好のトレーナーや最先端のトレーニング機材、そして、レストランでは健康的なメニューが用意されているのを想像するはずです。

2. 適切な外見(ロゴ)

会社の外見はロゴから始まります。これについては、プロに依頼することを強く検討してください。ポジティブな企業イメージを生み出すためには、プロがデザインしたロゴを使い、あなたの思い描くイメージを関係者に伝えることが出発点となります。会社のロゴは、名刺から、パンフレット、レターヘッド、ウェブサイトに至るまで、あらゆる場所に載ることになります。したがって、ロゴは、会社のエッセンスを捉え、会社のミッションとビジョンとを象徴するものであることが重要です。スタイルや色も、あなたが関係者(顧客、見込み客、リファーラルパートナーなど)に伝えたいイメージに合ったものを選ぶ必要があります。

3. 電話戦略

ビジネス専用の電話回線を用意し、迅速で適切な電話対応を行うことは、ポジティブな企業イメージを構築するうえで、非常に重要です。電話に関して、企業イメージを維持するうえで考慮すべきこととしては、このほかに次の点が挙げられます。

  • 誰が電話に出るか?  オペレーターなのか、自動応答なのか?
  • 電話が保留のあいだはどうなっているか?  顧客にメッセージを聞かせるチャンスとして活用しているか、それとも、ただ沈黙のなかで待たせているだけか?
  • 電話番号は、電話帳やインターネットで簡単に見つけられるか?

電話環境を整えることは、れっきとした会社であるという印象を与える効果があります。

4. 施設

電話やメール、ブログは、企業イメージを伝える方法として一般化していますが、これらはある意味では「不透明」だといえます。具体例を挙げれば、電話対応もブログの執筆も、じつは風呂に入りながらやっていたということも無いとはいえません。一方、実際に店舗やオフィスを構え、そこで来客対応をすれば、すべてがオープンになっていて、透明性があります。そこで、次の点が重要になります。

  • 施設は自分が伝えたいイメージにふさわしいか?
  • 働いている人、壁にかけてあるもの、組織、スタイル、色など、すべて伝えたいイメージに適合しているか?
  • 設備は適切か?

会計士のオフィスに期待することと、グラフィックデザイナーのオフィスに期待することの違いを考えてみましょう。きちんと整頓され、設備が整っていることは、どちらの場合も期待してよさそうですが、グラフィックデザイナーのオフィスは、ちょっと風変わりで、カラフルで、面白いものが色々と置いてあっても不思議ではありません。一方、会計士のオフィスには、もう少し堅い雰囲気を期待するのではないでしょうか。

5. 電子メール

メールはビジネスにおける主要なコミュニケーション手段となったことから、メールが企業イメージにもたらす影響について考えることが重要になっています。まず、会社のドメイン名やメールアドレスをもっているでしょうか? メールアドレスが会社のドメイン名のものでないと、はじめからよくない印象を与えてしまいます。たとえば、「rod55@freemail.com」というアドレスからメールが届いたら、どういう印象をもちますか? 次に、イメージの一貫性を保つうえではメールテンプレートが効果的です。簡単に用意できて、写真やロゴを入れることもできます。最後に、送信するメールの内容や言葉遣いには注意を払いましょう。メールは簡単に人に転送できますので、巡り巡って誰が読むことになるかわかったものじゃありません。そのため、電子メールにおいても、書面によるやり取りと同じような注意を払う必要があります。完成度が高く、的を射た内容で、誤字脱字が無いようにしましょう!

6. 資料

資料を用意する際は、まず名刺から始めます。プロにデザインしてもらいましょう。名刺は、ミッションとビジョン、そして企業イメージと直結しています。そこで次の点に注意が必要です。

  • 渡す名刺が、折れていたり、汚れていたりしていないか
  • 文房具や封筒、感謝状は、企業のイメージと一貫性があるか
  • 色やロゴ、質感のコーディネートができているか
  • パンフレットの内容は有益なものか、デザインはプロに依頼したか
  • これらの資料は企業イメージの維持向上につながるものか
  • 印刷や製本はプロに依頼したか

7. ウェブサイト

今日のビジネスにおいては、ウェブサイトをもつことは単なる選択肢の1つではなく、必須になっています。顧客、仕入先、将来のリファーラルパートナー、その他の関係者は、あなたに電話をしたり、直接会ったりする以前に、ウェブサイトを訪問する可能性が高いといえます。また、あなたのことを紹介された人が、あなたについて調べようと思った際、最初に見る可能性が高いのがウェブサイトです。今日、ウェブサイトに求められているのは、有益な情報が掲載されていること、わかりやすいこと、そして、見つけやすいことです。ウェブサイトのデザインは必ずプロに依頼しましょう。企業イメージに合致していて、検索エンジン対策もできたウェブサイトにします。その他、必要な情報に簡単に辿り着けるようなウェブサイトにすることも重要です。デザイナーやウェブマスターと協力して、重要なコンテンツには2クリック~3クリックで到達できるようにしましょう。また、ソーシャルメディアも忘れてはいけません。たとえば、ビジネス用のフェイスブックやツイッターアカウントをもっている場合は、ロゴを使用します。イラストや写真、文章は、自社のブランディングに合致するものである必要があります。

8. 制服や備品

関係者があなたやあなたの職業に求めているプロとしてのスタンダードについて考えてみましょう。あなた自身や、あなたのスタッフはつねにそのスタンダードに従っている必要があります。企業イメージを維持向上するには、組織の全員が適切な身だしなみと行動とを心掛ける必要があります。もちろん、ケータリング会社の宅配ドライバーがスーツを着る必要はありませんが、会社のイメージに合致した適切な服装をすることで、イメージの維持向上につながります。色やロゴ、スタイルなども考慮する必要があります。何が企業イメージを維持向上させるのか、その判断をスタッフ任せにしてはいけません。身だしなみについては、一貫性のある決定を行う必要があります。ロゴ入りのアイテムやユニフォームの活用を検討し、イメージの強化を図りましょう。

9. 業務用車両

顧客や見込み客が、あなたやあなたのスタッフが乗り物を運転しているのを目にする場合、どのような車両を使っているかは重要です。新車でなくてもいいのですが、つねに清潔で整備された車両である必要があります。たとえば、有能なビジネスアドバイザーというイメージを伝えたいとします。それなのにクライアントの目の前にポンコツで乗り付けたらどうでしょうか。当然イメージダウンです。同様に、宅配に使う車が、へこみだらけの汚い車両だったら、ケータリング会社としてのイメージにとって決してプラスにはなりません。エディーが旅行帰りに空港からタクシーを拾ったときのことです。そのタクシーはピカピカで、客席にはその日の新聞が用意されていました。ドライバーは小さな保冷庫から飲み物を取り出して、エディーに提供してくれたそうです。新車でこそなかったものの、タクシーのドライバーだけあって、よいイメージ伝達する「道」をよく知っていたのです。

10. ソーシャルメディア

7にも挙げたように、今日ではソーシャル・メディア・サイトは非常に人気です。同時に便利なツールでもあります。とはいえ、インターネットに投稿するすべてが、あなたの会社のイメージに直結しています。これはいくら強調しても足りないくらいです。賢い選択が必要であり、もしスタッフを雇っているなら、ソーシャル・メディア・サイトに関するポリシーの策定を検討しましょう。ソーシャル・メディア・サイトが苦手という人は、マーケティングやPRの専門家の手を借りる方法もあります。

あなたのつくるもの、売るもの、配るもの、そして、書くこと、言うことのすべてが、関係者の抱くあなたの会社に対するイメージの形成に影響を及ぼします。イメージに細心の注意を払いましょう。そして、確実に一貫性のある資料をつくりたいなら、躊躇せずプロに依頼しましょう。

リファーラルマーケティング
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『こころのチキンスープ』著者 ジャック・キャンフィールド

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