プロ投資家の先の先を読む思考法
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(本記事は、藤野 英人氏の著書『プロ投資家の先の先を読む思考法』=クロスメディア・パブリッシング、2022年5月2日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

みなさんが株式投資に挑戦した場合、どんなに学歴が高くても、どれほど素晴らしい家に生まれたとしても、どんなに美しい容姿を持っていたとしても、投資の成功にはなにも関係ありません。

結果は「どのような会社に投資したか」だけで決まります。

そして、株式市場では原則として、誰でもいつでも株を売買することができ、買った株が3割値上がりすれば、買った人の属性などは一切関係なく3割のリターンを得ることができるのです。

未来に向かってのみ開いていて、差別がない。だから私は、株式市場が好きなのです。

シンプルで公平なのになぜ投資で勝てないのか?

投資で成功する秘訣を知りたいという皆さんのために、ここでとっておきの話をしましょう。

「株式市場で絶対に勝つ法則」が、たった一つだけあるのです。プロ投資家として32年を超える運用歴を持つ私が考える、非常に大事な法則です。

それは、「安く買って、高く売ること」です。

そう、安く買って高く売ることができれば、誰でも必ず儲けることができます。

「当たり前じゃないか」と思ったでしょうか?

ところが人間の心理というのは面白いもので、株式投資をしていると、多くの人は「高く買って、安く売る」ことをしてしまいがちなのです。

勝つためには「安く買って、高く売る」ことが必要だとわかっているなら、株価が下がったときほど強気になって株を買うべきであり、株価が上がったときほど弱気になって売るべきだということになります。

しかし株価が上がると「もっと上がるのではないか」と思って買いたくなり、自分が買った株が値下がりすればするほど、「もっと下がるのではないか」と不安になって売りたくなるのが人間というものなのです。

この人間の心理を逆手にとるなら、おすすめなのは、本屋さんに毎日通って並んでいる本をチェックすることです。

「主婦の私でもできた100万円を1億円にする株式投資」「自動投資でラクラク稼ぐ」といったタイトルの本がズラッと並んでいるときは、株を買わない方がよいでしょう。

そのような本が姿を消し、「ヒーリングのすすめ」「自分を許す生き方」といったテーマの本が並び始めたら、それはだいたい「株の買い時」です。

このルールで株式投資をすれば、日経平均株価や経済の動向などを知らなくても、そこそこ成功できるのではないかと思います。

しかし実際には、これがなかなかできません。

かつてアメリカで、「私は親や学校の先生、友人などの言うことをよく聞き、学校では優秀な成績を収めてきた。ところが株式投資では失敗してばかり。これはどうしてだろう」と問う本が出版されたことがあるのですが、この問いへの答えは「だからです」ということになります。

株式投資というのは、誰も投資をしたくなくなったときに買い、みんながこぞって株を買うときに売ることが長期的に大事なポイントです。

みんなが言うことを素直に信じて行動する人、「みんなが買っているから買う、売っているから売る」という人は、株式市場では儲けられないのです。

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藤野 英人
投資家・ひふみシリーズ最高投資責任者。レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長。1966年富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授。一般社団法人投資信託協会理事。主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)。

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