社長のための経営戦略の本
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(本記事は、椢原 浩一氏の著書『今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本』=あさ出版、2021年6月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

最小の労力で短期間に利益を増やす

黒字化率9割の秘密

私は、今までたくさんの会社の黒字化や会社再建、事業再生をコンサルティングしてきました。

その経験でわかったことは、利益増や黒字化を短期間で実現できる会社には、いくつもの黒字メソッドⓇとも言える共通点があることでした。

この共通点を知ってから、コンサルティングの際にこの共通点に取り組むようにしていったところ、赤字企業の黒字化率は9割を超え、黒字企業においては、経常利益率が10%を超える会社も珍しくなく、お金を残す会社が増え始めてきたのです。

長く赤字を続けてきた会社。
大きな赤字を生んでいる会社。
資金繰りが苦しい会社。
売上が減ってしまった会社。

このような会社であっても、ある一つのことにしっかりと取り組んでいけば、短期間で利益を増やすことができるのです。

これは、とても簡単な取り組みです。

業種や規模、地域、ビジネスモデルを問わず、どのような会社でもできることです。

「これだけのことで、そう簡単に会社の利益は増えるのだろうか」

私自身、クライアントが取り組んでいる状況を傍で見ていても、最初は疑心暗鬼でした。

しかし、クライアントの利益が少しずつ増えていく事実を目の当たりにし、改めてシンプルでどの会社でも取り組める、この方法の効果を実感しました。

その方法は、どういうものなのか。

多くの企業で10%という経常利益が実現され、お金に困らなくなり、赤字企業においては、その黒字化率が9割になる会社が取り組んでいることは何なのか。

それは、次のことです。

「どこで、どれだけの利益が生まれているのか、どこで、どれだけの利益を失っているのかを把握すること」

この言葉はすでに本書でもご紹介しています。

どの顧客でどれだけの利益を生み出し、どの顧客でどれだけの利益を失っているのかを把握するということです。

顧客だけでなく、商品、事業単位でも把握できるようにします。

ここまで、売上の分解やコストの分解、限界利益と貢献利益、顧客別や商品別・事業別のことを伝えてきたのは、すべて、「どこで、どれだけの利益が生まれているか」を把握するための重要な要素だったからです。

会社全体の数値を把握することももちろん大事ですが、それでは短期間で利益を増やす会社を作ることはできません。

会社再建や事業再生において、1年で会社を建て直すということに私が取り組んでいるのは、再建や再生に時間がかかっていると会社の再建や再生の可能性が低くなるからです。

管理対象単位を会社全体ではなく、事業や顧客、商品という単位まで落とし込み、その単位での収益を把握することで、会社の収益性は驚くほど改善されます。

あなたは、あなたの会社の利益がどこで、どれだけ生まれ、どこで、どれだけの利益を失っているのかを把握できていますか。

利益を増やすカギを見つけろ

顧客別貢献PLを見てわかると思いますが、固定費Cは顧客には振り分けていません。

一番左にある顧客別の合計貢献利益(本社と書いている箇所)から固定費Cを差し引きして、営業利益を算出しています。

商品別、事業部門別の場合も同様の考え方です。

この表をどのように使って利益を増やすのかについてお話ししたいと思います。

作表のポイントは、次の3つです。

・顧客別貢献PLにあるように、実績だけでなく、計画も立案する
・単月だけでなく、累計も把握する
・前年同月対比、前年同月累計対比、計画対比で分析する

作表後にすることは、どの顧客、どの商品、どの事業部門を改善すると利益が最も増えるのかを見つけることです。

検討しても利益が大して増えない顧客や商品に議論の時間を費やしても時間のムダです。

効果的に利益を改善するために、以下の2つの視点を参考に、どの顧客や商品、事業が、あなたの会社の利益を増やすカギを握っているかを特定してください。

① 顧客、商品、事業の中で、限界利益が赤字、あるいは貢献利益が赤字で、その赤字を黒字にできる可能性のある顧客や商品、事業
② 顧客、商品、事業で赤字がないときは、黒字の中で最も利益の多い、あるいは最も利益が少ない顧客や商品、事業

今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本
著者:椢原浩一(くにはら・こういち)
経営コンサルタント。KRB コンサルタンツ株式会社代表取締役社長。
認定事業再生士(CTP)。黒字メソッド® 実践会主宰。
1964 年大阪生まれ。
指導社数1019 件、相談件数3575 件、再生件数352 件、一年黒字改善率91.3%の実績を持つ。(2021 年1 月現在)
なかでも、「黒字化」「リスケからの再建」「第二会社による事業再生・事業承継」に関しては、日本屈指のスペシャリスト。
「黒字化」は、一年で黒字にする「黒字メソッド®」を確立し、9割を超える。
「リスケからの再建」については、黒字メソッド® によるBS、PLの改善、金融機関との信頼構築を指導し、数多くのリスケ脱却を実現。
「第二会社による事業再生・事業承継」は、100%の成功率を誇り、債務ゼロ化の再生社数は、日本トップクラス。
さらに、黒字メソッド® と世界最高の経営理論を基に作り出す経営戦略は、資金繰りで悩む企業はもとより、環境変化に適応する黒字成長企業を輩出している。
著書に『会社にお金を残す経営の話』(あさ出版)他多数。


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