(本記事は、椢原 浩一氏の著書『今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本』=あさ出版、2021年6月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
経営戦略とその活用 AMTULの法則
AMTULは、購買意思決定プロセスを表したものとして知られています。
消費者向けのビジネスでよく使われると思われていますが、企業を対象とするビジネスでも、顧客構造の改善や販売活動の改善にその効果は絶大です。
このAMTULを私が初めて知ったのは、キーエンス在職中でした。当時、キーエンスは大証二部で、東証一部を目指していたときです。
「継続的売上という結果を得るためには、むやみやたらに営業をするのではなく、顧客(見込客)をいくつかに分類し、その分類された顧客を、いかに増やしていくかが営業活動だ」
こういうことを指導されました。
この考えに基づいて毎日の営業活動をするように指導され、毎日ミーティングを行っていました。当時、あまりこの理論を理解していたわけではなく、とにかく言われた通りしないと〝恐怖の営業会議〟が待っていたので、できるだけ素直にやっていたことを覚えています。
いつも素直にやっていたわけではありませんでしたが、このAMTULのおかげで、常に営業成績は上位にあり、事業部ではたしか2度のトップ、2位や3位でも数回表彰されました。
その後、大手経営コンサルティング会社においても、AMTULの活用を学びました。今でもコンサルティングの現場で活用するだけでなく、当社でも活用しています。
この活用方法はとても簡単です。
自社のA・M・T・U・L、それぞれの件数を把握し、それを当てはめることで、現在の顧客構造がわかります。
どれだけの販売活動をすれば、ユーザー(使用客)と愛用客を増やすことができるかを予測し、効果的・効率的な販売活動を行うことができます。
A・Mは把握するのは難しいと思いますので、自社サイトへの訪問者数、DMなどの発送者数、展示会などへの来場者数など自社の販売活動の最もベースになっている活動をMとします。そこからどれだけの人が試用客になっているか、ユーザーになっているか、愛用客になっているかを測定します。
これがステップアップ確率になり、この確率をツールやトークなど営業活動の標準化などで上げることに取り組みます。
また、商品価値の向上も重要な検討課題です。
試用客が多いのに、ユーザーになる数が少ないという場合、フォローが不十分というだけでなく、商品価値が低いことも考えられます。
このような課題を一つひとつ改善してください。
AMTULは「法則」です。三角形の下側より上側が多くなることは絶対にありません。
いかにコストを抑えて、効果的に三角形の下側を増やしていくか。
同時に、ステップアップ確率をいかにして上げるか。
この2つがAMTULを使った顧客構造変革による売上最大化戦略です。
認定事業再生士(CTP)。黒字メソッド® 実践会主宰。
1964 年大阪生まれ。
指導社数1019 件、相談件数3575 件、再生件数352 件、一年黒字改善率91.3%の実績を持つ。(2021 年1 月現在)
なかでも、「黒字化」「リスケからの再建」「第二会社による事業再生・事業承継」に関しては、日本屈指のスペシャリスト。
「黒字化」は、一年で黒字にする「黒字メソッド®」を確立し、9割を超える。
「リスケからの再建」については、黒字メソッド® によるBS、PLの改善、金融機関との信頼構築を指導し、数多くのリスケ脱却を実現。
「第二会社による事業再生・事業承継」は、100%の成功率を誇り、債務ゼロ化の再生社数は、日本トップクラス。
さらに、黒字メソッド® と世界最高の経営理論を基に作り出す経営戦略は、資金繰りで悩む企業はもとより、環境変化に適応する黒字成長企業を輩出している。
著書に『会社にお金を残す経営の話』(あさ出版)他多数。
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