銀座ママ
日髙利美(ひだか・としみ)
銀座ルナピエーナ オーナーママ/作家・講演 研修講師/やまとなでしこ協会代表理事

1975年生まれ。品川女子学院中退。多くの一流ビジネスマンへの接客から銀座流のおもてなしを身につけ、26歳で銀座ルナピエーナをオープン。一見のお客様が足を踏み入れることのできない銀座のクラブの経営や一流の男性へのおもてなし、女性の世界での上手な人付き合いから「コミュニケーションのプロフェッショナル」として書籍や雑誌、TVなどのメディアでも活躍。米国 ロサンゼルスやシリコンバレー、シンガポールでの海外講演をはじめ、国内の様々な業界の管理職、社員向けの研修、また、経営者団体での講演やセミナー講師としても活動。コンサルティングも行っている。日本の文化の一つである大人の社交場としての夜の銀座のおもてなしの心や、日本人の相手を思いやる美しい心の伝承のために、夜の銀座の世界を飛び出し、日本だけにとどまらず、世界中に「恩送り」していくことを使命に活動している。

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名刺の交換

仕事で打ち合わせをする時に、初めてお会いする人がいる場合、名刺の交換をされると思います。

名刺の交換をした後、いただいた名刺はどうなさっていますか?

いただいた名刺をあまり見ずに名刺入れにサッとしまってしまうと、なんだか素っ気ない感じに受け取られてしまいます。

名刺をじっくり見て書いてある情報から自分との共通点や何か雑談の話題になりそうなことを見つけて伝えることでその場の雰囲気が和みます。

個人的には、名前を覚え、名刺から読み取れた情報で会話をした後、名刺入れに名刺をしまうのがスマートではないかと思っています。

テーブルの上に置いた名刺入れの上にいただいた名刺を出したままにしたり、何人かの人と名刺交換をして、テーブルの上に座っている席の通りに名刺を並べる方がいます。

ビジネスマナーとして教えられたのかもしれませんし、初めて会った人の名前を間違えないようにするためだと思うのですが、名刺を出したままにすることを個人的にはお勧めしません。

夜の銀座の世界で四半世紀働かせていただいていて、ママさんやホステスさん、黒服の男性がお客様からいただいたお名刺をテーブルに置いているのを一度も見たことがありません。

私たちは、お客様からいただいたお名刺が他のお席のお客様の目に触れないように常に気を配っています。ですので、名刺入れの中にある名刺も基本的に、毎日、整理している人が殆どで、名刺入れが名刺でパンパンになることもありません。

もし、相手の名刺を名前を覚えるまで出しておかないと不安だと思う方は、相手のお顔とお名前を一致させて覚えられるまで出しておくことも仕方がないのかもしれませんが、覚えたら名刺はすぐに名刺入れにしまいましょう。

会話に夢中になり、名刺を名刺入れにしまい忘れて、打ち合わせが終わるまで出しっぱなしということが一番良くないと思います。

私の場合は、名刺を交換した時に名刺をしっかり見る。そして、その方の目を見て、お名前を口にすると覚えられます。

更に、名前もイメージで覚えると覚えやすく記憶に留まりやすいです。

樋口一幸さんという方のお名前を覚えたことがあるのですが、「樋口」で私が思い浮かんだのが五千円札にもなっている小説家の樋口一葉。一幸さんは、一番幸せとイメージし、名前を覚えたい樋口さんが樋口一葉が印刷された大きな五千円札を持って一番幸せと言っているイメージをして覚えました。

名字だけでなく下の名前まで記憶し、しかも、フルネームを漢字で覚えるだけでなく長く記憶に留めることができる方法の一つです。

他にも、私が人の名前を覚える時にしていることがあります。

それは「空書」。

空書、ご存じですか?

紙やペンを使わずに自分の人差し指で空中に文字を書くことを言います。

誰かの名前を覚える時、書道をする時の空書のようには出来ないので、テーブルの下の自分のももに人差し指で覚えたい方の名前を書きます。

相手の名前を自分から進んで覚えることで、相手も覚えようとしてくれます。

まずは、コミュニケーションを始める時、特にビジネスシーンでは名前を覚えることが信頼関係を築くために大切な一歩だと思います。