銀座ママ
日髙利美(ひだか・としみ)
銀座ルナピエーナ オーナーママ/作家・講演 研修講師/やまとなでしこ協会代表理事

1975年生まれ。品川女子学院中退。多くの一流ビジネスマンへの接客から銀座流のおもてなしを身につけ、26歳で銀座ルナピエーナをオープン。一見のお客様が足を踏み入れることのできない銀座のクラブの経営や一流の男性へのおもてなし、女性の世界での上手な人付き合いから「コミュニケーションのプロフェッショナル」として書籍や雑誌、TVなどのメディアでも活躍。米国 ロサンゼルスやシリコンバレー、シンガポールでの海外講演をはじめ、国内の様々な業界の管理職、社員向けの研修、また、経営者団体での講演やセミナー講師としても活動。コンサルティングも行っている。日本の文化の一つである大人の社交場としての夜の銀座のおもてなしの心や、日本人の相手を思いやる美しい心の伝承のために、夜の銀座の世界を飛び出し、日本だけにとどまらず、世界中に「恩送り」していくことを使命に活動している。

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人に好かれようとしない

私が夜の銀座で出会った一流の方々には、「人に好かれようとしない」という共通点があります。

大抵の人は、人から嫌われるよりも、できれば好かれたいと望んでいますよね。ですが、一流の方々は、基本的に人からの評価を気にされない方ばかりです。むしろ人から嫌われても気にしない、そんな方々です。

もちろん、自ら進んで嫌われるような行動をされるわけではありません。人から好かれることを目的に行動をしていないので、人の評価を気にすることなく、ご自身がやりたいことや貫きたいことをなさっています。

人からの評価を気にしないことで、周りの目を気にすることなく、信念を持って生きることが出来るのだと思います。

誰からも好かれたいとか好意を持って欲しいという気持ちが強すぎると、人付き合いが上手くいかなくなることがあります。自分に意識が向き過ぎて、目の前にいる相手に興味が湧いていないからかもしれません。

人に好かれようとすると、行動や言動が制限されてしまいます。自分の本当の感情を押し殺し、発言や態度が控えめになったり、時には、好かれたいという思いから何かしらの決定権を相手に譲ってしまうこともあるかもしれません。

「自分は周りからどう思われているんだろう……」と他人の評価を気にすると、周りの人が望むであろう人物像を演じてしまい、気がつくと自分を見失ってしまうものです。それに人に好かれようとし続けると心が疲れます。

また、人は見たり聞いたりしている言葉がその人の本心かどうかわかるものです。違和感があると心に壁のようなものを感じさせてしまいます。人から好かれようとすればするほど、その人の本来の魅力がなくなります。人から好かれようと努力するより、その労力を他のことに向ける方がきっとより良い状況をつくり出せるはずです。

そのためにも、自分の心の声を聞き、感じることが大切なのです。

「人から好かれようが嫌われようがどちらでも構わない」。そういう覚悟を持つと心が自由になります。

人それぞれ育った環境が違うし、考え方や価値観も違う。すべての人に好かれるなんて所詮ムリなこと。そう思えるようになると人の本音を聞くことが出来るし、自分の本音を言うことが出来るようになります。

自分の本音を言ったら人間関係が上手くいかなくなってしまうのでは、と心配になる方もいるかもしれません。ですが、結果的に自分にとって望ましい人間関係を築けるようになり、自分の成長を妨げるかもしれない人間関係を手放せるようになります。そして、その時に大切なことは、仲間がいなくなることを必要以上に恐れないこと。

人生の転機と言われるような時には、付き合う人たちが変わることがあります。付き合う人たちが変わることで、自分の考え方が変わり行動が変わることがあります。ですから、変化を恐れないで自分自身を信じて行動してみて下さい。

成功している方々が「人に好かれようとしない」のは、人に好かれようとしないことで、人付き合いがスムーズになるということをご存じだからだと思います。無理をせず、自分らしく付き合える人間関係を築く方法を実践されています。

「返報性」という言葉をご存じでしょうか? 人間が持つ心理の一つで、他人から何らかの施しを受けた時にお返しをしなければならないという感情を抱く心理のことを言います。返報性には「好意の返報性」と言うものもあります。人は自分に好意を持ち好意的に対応してくれる人に対して、好意で返そうとする心理のことです。

成功している方々は、人の良いところを見つけるのが得意な方ばかりです。

「相手から好かれる」より「相手を好きになる」。だからこそ、良い人間関係をつくれるのだと思います。