銀座ママ
日髙利美(ひだか・としみ)
銀座ルナピエーナ オーナーママ/作家・講演 研修講師/やまとなでしこ協会代表理事

1975年生まれ。品川女子学院中退。多くの一流ビジネスマンへの接客から銀座流のおもてなしを身につけ、26歳で銀座ルナピエーナをオープン。一見のお客様が足を踏み入れることのできない銀座のクラブの経営や一流の男性へのおもてなし、女性の世界での上手な人付き合いから「コミュニケーションのプロフェッショナル」として書籍や雑誌、TVなどのメディアでも活躍。米国 ロサンゼルスやシリコンバレー、シンガポールでの海外講演をはじめ、国内の様々な業界の管理職、社員向けの研修、また、経営者団体での講演やセミナー講師としても活動。コンサルティングも行っている。日本の文化の一つである大人の社交場としての夜の銀座のおもてなしの心や、日本人の相手を思いやる美しい心の伝承のために、夜の銀座の世界を飛び出し、日本だけにとどまらず、世界中に「恩送り」していくことを使命に活動している。

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良いパートナーがいる

私が夜の銀座で出会った一流の方々には、「良いパートナーがいる」という共通点があります。

ここで言う良いパートナーとは、結婚相手やお付き合いしている相手のことを意味します。私が存じ上げている一流の男性のパートナーは、相手をそのまま受け入れるという能力に長けていらっしゃいます。より良くなるためのサポートをしたりアドバイスを伝えたりしても、相手を変えようとは決してなさいません。

時々、奥様や彼女が極度のヤキモチ焼きで旦那様や彼氏の行動を監視なさるような行動を取られることがあります。帰りが遅いと電話やメールを山のようにしたり、キツイ言葉や被害妄想が入った内容の文章を送ったり、携帯電話を勝手に見たり、GPS機能を勝手に起動させたり、相手を大切に思い、好きだからそういうことをしてしまうと言うよりは、相手に依存していたり執着していてそういう行動をしてしまうようです。

もし、ご自身のパートナーがそういうタイプの人だったらどうでしょうか? そのようなパートナーと日常的にやり取りしていたら、気持ちが安らぐことがなく疲れてしまうのではないかと思います。

一流の方々のパートナーは、心が広く寛大な女性ばかりです。

私が20代の頃、お店に通って下さっていたある経営者の方が部下の方を数人連れていらっしゃったことがありました。その時に奥様から電話があり、その会話が聞くともなしに聞こえてきました。

「おう、どうした? いま部下と銀座で飲んでるよ」「今日はルナピエーナの利美ママのところだよ」と仰ったかと思うと……「ちょっと代わるよ」と電話を渡され、「えっ!?」と固まる私。その方の息子さんとはお目にかかる機会はありましたが、いままで奥様とはお会いしたこともお電話でお話ししたこともありません。何をお話ししたら良いんだろうと戸惑いながらも、「こんばんは、日髙利美と申します。今日は旦那様や会社の方にお越しいただき有り難うございます」とお伝えしました。

すると、「いつも主人がお世話になっています。男性が銀座で飲むのは仕事の時もあると思いますが、日頃の疲れを癒すためにも行っているのだと思うのでよろしくお願いします。楽しませてあげて下さい」と優しい声でおっしゃいました。

電話を切った後は、「なんてステキな奥様なの」と奥様の話で持ち切りに。

パートナーの理解と心の広さ、相手をそのまま受け入れる寛大さは、成功している一流の男性の仕事の効率や業績を上げることにつながります。何より、あるがままを受け入れてもらえている安心感は、自信や心の余裕にもつながるはずです。

私が10代の頃、母にした質問があります。

「どうしてケンカをした次の日に何もなかったように普通に接することができるの?」。

私の母は私と言い合いをした次の朝、「おはよう」と笑顔で何もなかったように接してきます。それは、私に対してだけでなく父に対してもそうでした。子供の前で言い合いやケンカをするわけではないのですが、子供心になんだか今夜は父と母との間の空気が重いな、と感じた次の日の朝には普段通りなのです。そのことが当時の私には不思議で仕方がありませんでした。

その時の母の返答は、「お父さんは自分で運転して仕事に行くのに、ケンカした嫌な気分のままだと運転も荒くなってしまうかもしれないし危ないでしょ? だから、寝て起きたら気持ちを切り替えるようにしているの」と言っていました。その返答を聞いて母の寛大さと愛情の深さを感じて感動したのを今でもはっきりと覚えています。

私の父は決して成功者ではありませんが、母と出会えて幸せなのではないかと思います。成功している方々には、良いパートナーがいて、尊敬し尊重し合っています。大切に思い合っている相手がいることが今という瞬間を充実したものにしながらも、より良い未来、成功へと導いているのかもしれません。