旭酒造は1月15日、東京千代田区の帝国ホテルで「最高を超える山田錦プロジェクト2021」の表彰式を開催した。
同プロジェクトは同社と契約する全国の山田錦農家に今までの山田錦を超えるものに挑戦してもらうもので、「グランプリ」を獲得した山田錦は60俵3000万円という市場価格の約25倍の賞金が贈られる(準グランプリは1000万円)。
2019年から始まり3回目となる今回は、全国11以上の県から出品され39点が審査された。なお、今回「グランプリ」を獲得したのは岡山県岡山市の高田農産、「準グランプリ」は兵庫県加東市の菅野泰彰氏。
主催者を代表してあいさつした旭酒造の桜井一宏社長は「今回はこれまでと審査基準を変更して実施した」と切り出し、その理由について「2020年のグランプリ米で造ったお酒の品質は非常に高かったものの、当社が目指す“最高の獺祭”のレベルには至っていないと判断し世に送り出していなかった。心白があまりに大きく、精米していくにつれ割れやすくなり、“獺祭 磨き その先へ”以上の酒造りには向いていないことに気が付いた。これまでの基準と我々が求める“最高”の基準が異なっていた」と説明。
その上で「高精白にも耐えうる」という点を今回追加したという。「基準を変えた中でも審査員の方に審査してもらい、素晴らしい山田錦を選ばせてもらった」(桜井社長)。
また、プロジェクトの意義を「世界中で通じる最高のものを造りたいということで実施している。世界に出ていくためには酒蔵も、農家も最高のものを出していかなければならない」「補助金などでサポートする方法もあるのではないかと言われることもあるが、我々としてはそのやり方では長く続いていかないと考えており、こうした取り組みを行っている」と述べた。
2019年のグランプリ米で造られた「獺祭」は、香港のサザビーズオークションで最高84万円の値が付いたことで話題となったが、今回のグランプリ米については「今のところどのようにするかは決まっていないが、世界に対して日本酒をアピールするものにしていく」と答えた。
また、グランプリを獲得した高田農産の高田正人氏は「受賞できると思っていなかったので驚いたが嬉しい。収穫の頃が暑く気を揉んだがこれからもますます励みたい。賞金は農業機械の購入に充てたい」と話した。また、準グランプリの菅野氏は「特A地区ではないが受賞できたことが誇り。コロナの影響などで落ち込んでいるまわりの生産者への励みにもなると思う」と受賞の喜びを語った。
〈酒類飲料日報2022年1月18日付〉