ザ コカ・コーラカンパニーの慈善団体である米国The Coca Cola Foundation(TCCF)は17日、日本国内でグリーンインフラ活動を行う3団体に、合計46万ドル(約5,300万円)の助成金を提供したと発表した。
助成金の内訳は、特定非営利活動法人とくしまコウノトリ基金に17万ドル(約2,000万円)、特定非営利活動法人雨水まちづくりサポートに15万ドル(約1,700万円)、特定非営利活動法人雨水市民の会に14万ドル(約1,600万円)。
グリーンインフラとは、米国で発案された社会資本整備手法の一つ。自然環境が有する多様な機能を様々な課題解決に活用するという考え方だ。近年、米国や欧州を中心に取り組みが進んでおり、日本でも「国土の適切な管理」「人口減少・高齢化に対応した持続可能な社会の形成」といった課題への対応の一つとして、グリーンインフラが国土形成計画などに盛り込まれている。
今回のTCCFによるグリーンインフラ活動の助成では、地域社会とのさらなる強固なパートナーシップを通じ、大雨や豪雨による被害の防災・減災や、バリューチェーン全体における水資源の持続可能な利用、生物多様性の保全といった、水にまつわるより広範囲な課題解決への貢献を目指している。
助成対象となった3団体が取り組む活動は次の通り。3団体はそれぞれ異なる地域で異なる手法を用いてグリーンインフラ活動とその効果検証に取り組み、成功事例を全国へ発信する。
とくしまコウノトリ基金は、「徳島県内の耕作放棄農地を活用した水環境の創造」がテーマ。助成金は、農地を活用した水環境の創造に使用される。全国で問題になっている耕作放棄地、主に水田を豊かな水環境に再生し、活用することにより、地域活性化の一つでもある農業と人の賑わいづくりや水辺の生物の多様性にも貢献することができるとする。
雨水まちづくりサポートは、「東京都郊外の武蔵野台地における“雨にわ”づくり」がテーマ。東京都郊外の武蔵野台地の雨水を活用する「雨にわ」づくりの活動に使用される。「雨にわ」とは、屋根や敷地に降った雨水を直接下水道に流さず、集めて一時的に貯留し、ゆっくりと地中に浸透させる庭(植栽帯も含む)のことで、生物多様性が育まれるとともに、水質を浄化する効果も期待できるもの。「雨にわ」によるグリーンインフラが広がることで、水循環の健全化に寄与しつつ、地域の防災力の向上にもつながるとする。
雨水市民の会は、「東京都墨田区における都市型洪水への対策」に取り組む。助成金は、小規模グリーンインフラの先進地域とも言える東京都墨田区で、市民にできる気候変動対策として、長屋規模の住宅(既存または改修物件)における雨水貯留に加えて、外構部分のレインガーデン、屋根・壁面緑化などを取り入れた雨水・緑・防災の機能を備えた拠点づくりと、隣接した建物同士の隙間や路地の一部を活かした雨水活用緑化等の活動に使用されるという。
コカ・コーラシステムは、水資源保護をサスティナビリティー戦略における優先事項の一つとして捉え、製品製造過程における水使用量の削減、工場排水の管理、水源域における涵養活動などを通じ、持続可能な水資源の利用に取り組んでいる。ただ、すでに涵養活動できる森林などは自然豊かな地域などに限られているため、各地で休耕田などを活用した新たな形での涵養、つまりグリーンインフラの重要性はますます高まっていきそうだ。