2018年6月に公布された改正食品衛生法は2021年6月1日に完全施行となる。HACCPに沿った衛生管理の義務化については1年の経過措置が終わり、さらに営業許可制度の見直し・届出制度創設と食品リコール情報の報告制度が施行される。
冷食業界に関連して、営業許可制度の見直しにおいては、従来の「食品の冷凍又は冷蔵業」が「冷凍食品製造業」と「冷凍・冷蔵倉庫業」に再編され、後者は届出の対象に変わった。さらに製造業にはHACCPに基づく衛生管理を条件に「複合型冷凍食品製造業」という業種が新設された。
営業許可制度は昭和47年以降見直しが行われていなかったため、今回、実態に合わせた再編を行う。漬物製造業、水産製品製造業、液卵製造業、食品の小分け業を新たな許可業種として設定し、現行の許可業種のうち、食品衛生上のリスクが低いと考えられる一部の許可業種(乳類販売業、氷雪販売業、食肉販売業・魚介類販売業の一部)は新たに創設した届出の対象になった。これにより営業許可業種は従来の34から32に整理された。
届出制度はHACCPに沿った衛生管理の義務化に伴い、食品衛生監視員が対象事業者を把握できるよう、営業許可の対象となっていない業種の営業者を把握するのが目的だ。そのため今回、「冷凍・冷蔵倉庫業」は許可ではなく届出の対象に変更されたが、すでに保健所が情報を把握しているため、改めて届出の手続きをする必要はない。なお常温品の倉庫業は食品衛生上のリスクが低いことから届出も不要とされている。
営業許可の業種見直しは原則「一施設一許可」となるよう、一つの許可業種で取り扱える食品の範囲を拡大し、「みそ又はしょうゆ製造業」など原材料や製造工程が共通する業種を統合した。
冷食製造業は従来、「食品の冷凍・冷蔵業」と「そうざい製造業」など複数の営業許可を求められていたが、今後は「冷凍食品製造業」だけで済むようになる。
さらに新設された「複合型冷凍食品製造業」ではHACCPに基づく衛生管理を前提として、菓子・麺類・魚肉練り製品を除く水産製品の冷凍品の製造と、食肉の処理に当たって追加の許可が不要となる。
なお、冷凍農産品のリパックのみを行い、急速凍結機をもたない施設について、業界団体幹部によれば、次の更新時には新設された「食品の小分け業」に分類される可能性があるという。
〈冷食日報2021年4月16日付〉