ミニ鑑評会の様子
(画像=ミニ鑑評会の様子)

全国納豆協同組合連合会(納豆連)はこのほど、都内で青年同友会研修会を実施し、納豆の輸出に関する講演会などを実施したほか、ミニ鑑評会も行った。ミニ鑑評会では43アイテムが出品され、見た目や香り、味、食感などの観点から5点満点で参加者が採点した。せんだいの「国産大粒3P」が1位に輝いた。

講演会に先立ち、野呂剛弘会長があいさつし、「納豆の輸出に一歩を踏み出すには良いタイミングだ。現在、納豆連では、納豆も輸出重点品目の認定を受けられるよう、農水省の指導を受け、前向きに進めているところだ」と明かした。「若い世代の人には、自由な発想と、柔軟な感性をフルに使い、新時代の変化に挑んでほしい」と締めくくった。

野呂剛弘会長
(画像=野呂剛弘会長)

講演会では、「農林水産物・食品の輸出促進の取り組みについて」を、関東農政局経営・事業支援部が説明した。農林水産物・食品の輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円にする目標を達成するための取り組みを紹介した。

納豆は過去最高の輸出金額となっている。健康をキーワードに発酵食品が世界で注目されているため、需要が伸びているという。同じく発酵食品であるしょうゆや味噌は、2024年1~7月の農林水産物・食品輸出額によると、しょうゆは前年同期比21.6%増の68億5,300万円、味噌は同23.1%増の36億2,000万円となり、「過去に例を見ないほど伸びている」という。

各社、輸入に力を入れているのは、日本の人口減少が理由だ。2050年には、2020年比で20%減の1億190万人になると推測されており、高齢化も進むため国内の市場規模が縮小する可能性がある。一方、2020年時点で78億人いた世界人口は、2050年には30%増の98億人になる見込みとなり、市場の拡大が期待できる。

〈加工食品クラスター輸出緊急対策事業や「GFPコミュニティサイト」で輸出サポート〉
輸出を促進するために、2019年11月には「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」が成立し、2020年12月には「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を決定している。そのひとつとして輸出重点品目29品を定めた。選定基準は、海外で評価される日本の強みを有し、輸出拡大余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的な品目だ。この重点品目に納豆を加えることを目指す場合、まずは輸出実績をある程度築くことが重要だとした。加えて、輸出事業計画の認定制度を受けることで、さまざまな補助や事業を受けやすくなることを紹介した。

また、輸出に向けサポートを行う制度について触れた。「加工食品クラスター輸出緊急対策事業」では、中小企業に対し、食品製造事業者などが連携して海外市場を開拓する取り組みを支援する。これにより、中小企業では困難な、海外でのマーケティング、展示会などにおけるプロモーション、ブランドの確立、物流コストの削減などのサポートを受けられる。

さらに、農林水産物・食品の輸出に取り組もうとする生産者や事業者などのサポートと連携を図る「GFPコミュニティサイト」では、例えば、基礎的な海外のマーケティング関連情報を品目別に調査したレポートが閲覧できるほか、海外コーディネーターによる輸出相談サービス、輸出専門家(プロモータ)による個別支援サービス、展示会や商談会の出展支援などを受けられる。

そのほか、「エクオール」を測定できるバイオセンサーを開発した京セラも講演を行った。エクオールとは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されることで生まれる成分だ。更年期症状やPMSの緩和、骨粗鬆症の予防など、さまざまな健康効果が期待できる。大豆食品の摂取頻度が高いほど産生率が高いことが分かっているという。一回の摂食量ではなく、摂食頻度が重要だとした。

〈大豆油糧日報2024年10月21日付〉