ポッカサッポロフード&ビバレッジ(以下、ポッカサッポロ)は7月25日、「広島県大崎上島町におけるレモンに関する研究報告発表会」を広島県民文化センター(広島県広島市)で開催し、レモン果汁の日常的な摂取による血圧の上昇を抑える効果が認められたと発表した。今回の研究は、大崎上島町民541人を対象に2018年から2023年の長期間にわたって行われたもの。
ポッカサッポロは研究にあたって、まず参加者を2つのグループに分けた。日常的な食生活に加え、1日にレモン青果1個分(果汁として約30ml)を摂取する「レモン介入群」と、日常的な食生活を継続する「レモン非介入群」に分け、両群の対象者に対し年に1度健康指標に関する検査を実施した。参加者のレモンの使用方法は、全体の約54%が主に飲用、約29%が主に料理、約16%が料理と飲用の半々で、研究への参加によって半数以上の参加者が塩分を控えるようになったと回答したという。
今回の研究対象者の中で3年以上レモンを摂取した人(平均4.2年)の検査結果を、県立広島大学の飯田忠行教授が解析し発表した。飯田教授の解析によると、レモン非介入群を基準(1.0)として、レモン介入群は非介入群と比較して収縮期血圧(心臓が収縮した時に血管壁にかかる圧力)、拡張期血圧(心臓が拡張したときに血管壁にかかる圧力)の両方に高くなることを抑制する効果が認められた。血圧の上昇を抑えることで、動脈硬化や脳血管障害などの病気の予防に繋がる可能性が期待できるという。
飯田教授は今回の研究の意義について、「これまでの食品等の介入研究では半年や1年以内の研究が多い。今回の研究は5年という長い期間に加え、日常の食生活にレモン青果1個分(果汁として約30ml)を添加するだけという試験方法であり、“普通の生活にレモンを添加することによる効果”を示す意味合いが強い」とする。
大崎上島町の谷川正芳町長は、「町民も研究の成果を毎年楽しみにしており、レモンの価値をより認識することにつながった。大崎上島町というフィールドを使い、レモンの島づくりに力を入れていきたい」と話した。
ポッカサッポロ原料ビジネス推進部の土屋淳一部長は、「町民の皆さんの協力により、5年間しっかりと研究できた。我々と大崎上島町が地域共創という点で一体となり、レモンを通じて社会の幸せに資する事業として取り組んだ」と語った。