法人税,中間申告,予定納税
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鈴木 まゆ子
鈴木まゆ子(すずき・まゆこ)
税理士・税務ライター。2000年中央大学法学部卒業後、㈱ドン.キホーテに入社。会計事務所勤務後、2009年税理士試験官報合格、2012年税理士登録。在日外国人の起業・経営支援に従事。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。東京税理士会王子支部所属。

法人を設立した社長が2期目以降に驚くのが、法人税の中間申告(予定納税)かもしれない。税務署から中間申告の申告書が手元に届き「今期の決算期はまだ半年近く先なのに申告ってどういうこと?」と感じる人も少なからずいるはずだ。今回は、法人税の中間申告について解説する。

法人税の予定納税(中間申告)とは?

法人税の中間申告とは、法人に対して課せられた事業年度の中間点における法人税の申告・納付手続きをいう。後ほど説明するが、事業年度が6ヵ月以上となる法人は、ほぼすべてが中間申告の対象となる。なお中間申告は一般名称で「予定納税」「予定申告」とも呼ばれている。決算期を迎えていないのに、なぜ途中で申告・納税をしなくてはならないのだろうか。これには2つの理由がある。

一つは、法人側の理由だ。法人の場合、個人以上に資金繰りで悩むことが多い。また日常の取引で扱う金額も個人よりも多額なのが一般的だ。こういった法人の状況を考えると1年の事業年度の経過を待ってまとめて法人税を納付する仕組みだけでは、資金繰りの都合上から納税できない法人が出てくる可能性もある。そこで中間申告という「事業年度途中でいったん申告・納付する仕組み」を実施することで、法人側の納税にかかる資金繰りのリスクを減らしているのだ。

もう一つには国側の事情がある。法人だけでなく国としても中間申告は都合がいい。なぜなら1年の事業年度の経過を待ってから法人税を納付してもらう仕組みだけでは、法人側の滞納や事業年度途中の倒産などで納税が見込めなくなるリスクを防げないからだ。回収リスクの高い税収では、予算を立てるのが難しくなる。しかし中間申告の仕組みを採用すれば、滞納や徴収漏れを防いで税収を安定化させ、予算を組みやすくすることができるのだ。

法人税の中間申告の方法は2種類 予定申告と仮決算

法人税の中間申告の方法は2種類ある。一つは予定納税、もう一つは仮決算だ。原則としては予定納税が適用される。仮決算は、後述する一定の事情があるときに法人が自主的に行うものだ。

予定申告の場合

予定申告では、前年度実績、つまり前事業年度の決算時に納付した法人税額をベースに計算した中間納付額を申告・納付する。

仮決算の場合

前事業年度は利益がかなり出たけれども当事業年度になってから業績が悪化し利益がガクンと下がった場合、予定申告での納税額が法人の負担になることがある。このとき仮決算を行うことで中間申告の納税額の負担を減らすことができるのだ。仮決算は「通常の本決算の短期間版」と考えてよい。通常の決算の対象期間が事業年度開始の日以後12ヵ月間である。

一方で仮決算の対象期間は事業年度開始の日以後6ヵ月間だ。なお仮決算は「どんな状況でも使える制度」ではない。仮決算の結果、算出された中間納付税額が前事業年度の確定法人税額の半分を上回るようならば、仮決算はできないとされている。これは、2011年度税制改正で決まったルールだ。法人の中には、当事業年度の上半期に売上が集中することを予測してあえて仮決算を行い、半年後の決算で還付申告を行おうとするところもある。

なぜなら還付申告を行えば、法人税だけでなく利息的な性格を持つ還付加算金も合わせて受け取ることができるからだ。資金繰りの負担を減らす仮決算だが、後述するように通常の決算と同様の書類提出が求められるため、予定申告ほど簡単ではない。仮決算を行う場合には、資金繰りの負担と事務手続きの煩雑さを天秤にかけて検討するとよいだろう。

法人税の中間申告の対象となる場合とならない場合の違いは?

法人税の中間申告は、いついかなる場合であっても行わなくてはならないのだろうか。実際には、中間申告の対象となる場合と、ならない場合がある。

前事業年度の確定法人税額が20万円を超えるなら中間申告の対象に

まず、前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合、つまり中間申告での納税額が10万円超になる場合は、法人税の中間申告を行わなくてはならない。言い換えると前事業年度が赤字だった法人や納付した確定法人税額が20万円以下だった法人は、中間申告をしなくてもよいということだ。

中間申告の対象にならない法人は?

「前事業年度の法人税額が20万円以下」という要件に該当しないにしても、次のいずれかに該当するならば、中間申告を行わなくてもよい。

・設立1年目の法人
新規設立された法人の第1事業年度は、そもそも「前事業年度」が存在しない。そのため中間申告の義務が存在しないのだ。後述するが、合併によって設立された法人は合併前の法人の事業年度が基準となるため、中間申告の義務が発生する。

・NPO法人
中間申告の対象となるのは普通法人、つまり株式会社や合同会社などである。そのため、公益性のあるNPO法人などの公益法人等は中間申告の義務を負わない。

合併した法人は第1事業年度であっても中間申告がある

先ほど「法人の第1事業年度は中間申告の義務がない」と伝えたが、これは「法人の設立第1期だから」ではなく「基準となるべき前事業年度が存在しないから」だ。言い換えると、新設法人であっても前事業年度が存在し、かつ要件を満たすならば、たとえ第1事業年度であっても中間納付の義務は発生することになる。

その典型例が合併により設立された法人だ。合併により新設された法人については、合併法人の前事業年度での確定法人税額に被合併法人の前事業年度の確定法人税額を加味して判断し、中間納付額を計算することとなる。具体的には「合併の時期がいつだったか」により次のように分け、それぞれの計算式で算出された金額が20万円を超えるならば、中間申告の義務が発生することとなる。

  • 当事業年度開始の日から6ヵ月以内に合併した場合
    計算式:①+②
    ① =合併法人の前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6
    ② =被合併法人の確定法人税額÷確定法人税額の基礎となった事業年度の月数×合併後の期間の月数

  • 前事業年度に合併した場合
    計算式:③+④
    ③ =合併法人の前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6
    ④ =被合併法人の確定法人税額÷前事業年度の月数×前事業年度開始の日から合併の日までの月数÷確定法人税額の基礎となった事業年度の月数×6

中間申告はいつまでに行えばよい?事業開始年度の半年後から2ヵ月以内に

では、中間申告はいつまでに行えばよいのだろうか。

法人税法第71条では「法人はその事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に中間申告書を所轄の税務署に提出し、納税しなくてはならない」とされている。これだけだと分かりにくいので、以下、事例を挙げて説明する。

事例:12月末決算の法人における中間申告の期限

この法人の場合、日付は次のように考える。

 事業年度開始の日:1月1日
 その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日:7月1日

この法人は中間申告と納税を7月1日から2ヵ月以内、つまり9月30日までに行わなければいけないのだ。なお法律の解釈上「6ヵ月を経過『する』日」と「6ヵ月を経過『した』日」は異なる。この事例でいうならば、前者は6月30日、後者は7月1日となる。

中間申告する法人税額の計算方法は?

中間申告をする場合の法人税額の計算は、その中間申告の方法により次のように分かれる。

予定申告の場合

中間申告の対象となる法人税額(中間納付額)は次の算式で計算する。

・前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6=中間(予定)納税額

ここで計算ミスが生じやすい。なぜなら多くの中間申告において前事業年度の月数は1ヵ月なので、ほとんどの人は「前事業年度の確定法人税額÷2(=12ヵ月÷6)」と考えてしまうからだ。ここでの計算は「算式の通りに前から順番に」行わなくてはならない。仮に前事業年度の決算・申告により納付した確定法人税額が50万円であったとしよう。

きちんと法人税法の計算式を理解していない場合、予定申告での中間納付額をうっかり「50万円÷2=25万円」としてしまいがちだ。しかしきちんと法人税法に則って計算するならば、計算の流れと納付すべき税額は次のようになる。

 前事業年度の確定法人税額50万円÷前事業年度の月数12ヵ月≒4万1,666円
    ↓
 4万1,666円×6=24万9,996円→24万9,900円(百円未満切捨)

よって中間申告で納付すべき法人税額は、24万9,900円となる。

仮決算の場合

仮決算の場合は、その事業年度開始の日以後6ヵ月間を1事業年度とみなし、納付すべき法人税額を計算する。つまり通常の決算と同じように益金の額や損金の額を計算し、決算書や法人税の申告書を作成することとなる。

中間申告の手続きはどうする?

具体的な中間申告の手続きは次のようになる。

予定申告の場合

予定申告は前事業年度の確定法人税額が先述の要件を満たしている場合に、所轄の税務署から自動的に送られてくることが多い傾向だ。これに則って申告書を作成するわけだが、仮に提出がなかったとしてもペナルティがあるわけではない。ただ納付だけは別だ。予定申告の申告期限、つまり「その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内」に、税務署から送られてきた納付書を持って金融機関や税務署で納付しなくてはならない。

なお電子申告(e-tax)をした場合、翌事業年度以後は予定申告書が送付されなくなる。代わりに、e-taxソフトのメッセージボックスに「法人税予定申告のお知らせ」が表示されるようになるのだ。「申告書が送付されない=中間申告をしなくていい」というわけではないので、期限に遅れたりしないよう注意したい。

仮決算の場合

仮決算は「通常の本決算の短期間版」だ。そのため、通常の決算とほぼ同じ書類を作成し、その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に所轄の税務署に提出しなくてはならない。具体的には次の書類を作成することになる。

  • 上期6ヵ月分に関する法人税の申告書
  • 上期6ヵ月分の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)
  • 上期6ヵ月分の勘定科目内訳明細書
  • 上期6ヵ月分の株主資本等変動計算書または社員資本等変動計算書

なお通常の決算の際、税務申告書に添付する法人事業概況説明書は仮決算に添付しなくてよい。さらに仮決算の結果、算出された法人税額がある場合には仮決算に関する法人税の申告書の提出期限までに金融機関や税務署で納付しなくてはならない。

中間申告をしないとどうなるのか

ここまで中間申告の仕組みについて見てきた。では中間申告を行わなかった場合、取り扱いはどうなるのだろうか。

予定申告では申告書の提出がなくても「あったもの」として扱われる

中間申告を行うべき法人が中間申告を期限までに行わなかった場合には、申告期限において中間申告書の提出があったものとみなされる。これを「みなし申告」というが、要は「申告書の提出がなくても申告書が提出されたものとみなされる」ということだ。ただしこれは前年度実績をベースに納税額を計算する予定申告についてのみの取り扱いだ。仮決算にはこのような措置はない。

申告書を提出しなくても納税は期限内に行うべき

「中間申告をしなくても『申告があった』とみなされるなら、中間申告の制度はあってもなくても同じでは?」と思うかもしれない。ただ省略してもよいのは申告だけだ。中間申告分の法人税は「申告期限まで」、つまり「当事業年度開始の日から6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内」に納付しなくてはならない。

仮決算の場合は中間納付額が0円となっても申告書を提出すべき

仮決算は「前事業年度より格段に利益が下がった場合、資金繰りの救済措置として使える」と紹介した。法人によっては計算した結果、納付額が0円となることもある。ただこの場合でも仮決算に関する申告書などは提出しなくてはならない。提出しなければ「みなし申告」の対象として前事業年度における確定法人税額の約半分の納税を迫られることになるし、納付が納期限より遅れれば延滞税をも納めなくてはならない。

法人税の申告・納付の遅れや虚偽申告にはペナルティあり

中間申告分の法人税の納付が遅れた場合や仮決算による申告が期限に間に合わなかったり、申告内容に虚偽があったりする場合には、本来納付すべき税額(中間申告の法人税額)だけでなく以下のペナルティもあわせて納付することとなる。

・延滞税(予定申告または仮決算の場合)

延滞税は、法定納期限までに本税を納めない場合に課される追徴課税だ。中間申告については、次の計算式で算出された金額を納付することとなる。

本来納付すべき法人税額×延滞税の割合(※)×法定納期限の翌日から完納する日までの日数÷365日

※延滞税の割合は「いつ完納するか」によって、次のように適用する割合が異なる。
・納期限の翌日から2ヵ月以内については「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低いほうの割合
・納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後については「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほうの割合

・無申告加算税(仮決算の場合)

無申告加算税は、申告が期限より遅くなった場合における追徴課税だ。税務調査を受ける前に自主的に修正申告をした場合には、無申告加算税の額は本税の5%で済む。ただし税務調査で発覚した場合には、本税の50万円までの部分については本税の15%、50万円超の部分については本税の20%を納付しなくてはならない。

・過少申告加算税(仮決算の場合)

過少申告加算税は、仮決算で中間申告を行ったものの、そこで計算された税額が本来の納税額より少ない場合における追徴課税だ。こちらは自主的に修正申告を行えば課税なしで済むが、そもそもの申告が期限を過ぎてからのものだと本税の10~15%を納付しなくてはならない。さらに「申告内容の虚偽が仮装または隠ぺいに基づく」など悪質であるとみられる場合には、35~40%の重加算税が課される可能性がある。

確定申告時の手続き

中間申告を行った場合の法人税の確定申告、つまり決算時の法人税の申告業務はどのようになるのだろうか。予定申告も仮決算も、位置づけとしては「法人税の前払い」という性格を持つ。そのため決算時、実際に支払う法人税額は「確定法人税額-中間申告によりすでに納付した法人税額」となる。なお中間申告で納付した法人税額が決算時の確定法人税額よりも多い場合には、多い分だけ還付されることとなる。

他の税金はどうなる?

ここまで法人税の中間申告について述べてきた。では法人に課せられる他の税目でも似たような制度はあるのだろうか。

法人住民税、法人事業税

国税である法人税とともに決算期に申告・納付するのが、法人住民税・法人事業税といった地方税だ。これらの税目にも中間申告の制度が存在する。対象となる法人は、法人税の中間申告の義務を負う法人だ。地方税の中間申告の仕組みは、法人税の中間申告制度とほぼ同じである。予定申告と仮決算の2つの仕組みからなっており、中間申告の対象となる期間は、事業年度開始の日以後6ヵ月の期間となる。

消費税

法人については、前事業年度(前課税期間)の消費税(国税部分のみ)の年税額が48万円を超えている場合、中間申告の義務が発生する。ただし、法人税のように半期に1回というシンプルなものではない。「直前の課税期間の確定消費税額がいくらなのか」によって、次のように回数と1回あたりの納付税額が変わる。

  • 48万円以下:原則として中間申告不要
  • 48万円超400万円以下:年1回、前期消費税額の12分の6
  • 400万円超4,800万円以下:年3回、前期消費税額の12分の3
  • 4,800万円超:年12回、前期消費税額の12分の1

ちなみに申告・納付期限は、それぞれの中間申告の対象となる期間の末日から2ヵ月以内となっている。また業績悪化などにより前期消費税額を基準とした中間納付額を納めるのが難しい場合は、仮決算で低めに中間申告額を抑えることが可能だ。ただし法人税と異なり、還付は受けられない。中間申告は、期末決算に伴う税務申告に比べて意識されにくい。

設立したばかりの法人なら前事業年度が存在しないため、中間申告の義務がなく設立して数年間はなかなか利益が出ずに中間申告の義務も生じないからだ。しかしいったん利益が出るようになると納付の義務が毎年発生するようになる。うっかりしていると追徴課税で大事な運転資金を使うことになりかねないので、意識のどこかに留めておくようにしていただきたい。

文・鈴木まゆ子(税理士)