固定資産税
(画像=PIXTA)

固定資産税は、土地や建物、償却資産にかかる税金である。土地と建物については、課税明細書のとおりに毎年納税していても、税額がどのように計算されているか、よくわからない人も多いだろう。償却資産については、評価額が150万円以上になった場合は、自分で税額を計算し申告しなければならない。この記事では、土地と建物、償却資産の固定資産税の計算方法を徹底的に解説する。

目次

  1. そもそも固定資産税とは?
  2. 固定資産税の基本の計算方法
  3. 土地の固定資産税の計算方法
    1. 1. 固定資産税評価額を求める
    2. 2. 固定資産税評価額から本則課税標準額を求める
    3. 3. 負担調整措置を行って課税標準額を求める
    4. 4. 相当税額を求める
  4. 建物の固定資産税の計算方法
  5. 償却資産の固定資産税の計算方法
    1. 前年中に取得した資産の評価額の算出方法
    2. 前年より前に取得した資産の評価額の算出方法
    3. 償却資産の固定資産税の計算例
  6. 償却資産の例
  7. 固定資産税はしっかりと計算しよう

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金だ。東京23区は東京都が、それ以外の地域は市町村が課税している。固定資産には、土地、建物、償却資産があり、それぞれの具体例は以下のとおりだ。

土地田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
建物住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
償却資産構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産

出典: 東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』

自動車は自動車税の対象となるため、固定資産税の対象となる償却資産には含まれない。

固定資産税の納税義務者は、1月1日現在において土地や建物、償却資産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている者だ。納付は、6月、9月、12月および2月の年4回である。

固定資産税の基本の計算方法

固定資産税の計算方法は、土地、建物および償却資産に共通し、基本的には以下のように行う。

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率1.4%

税率の1.4%は、地方税法により定められる「標準税率」である。ただし、財政危機に陥っているなどの理由がある一部の市町村では、標準税率より高い税率が適用されるところもある。

課税標準額は、土地と建物、および償却資産のそれぞれについて算出方法が決められている。したがって、「固定資産税の計算方法」とは「課税標準額の算出方法」であるとも言える。土地、建物および償却資産のそれぞれについて、課税標準額の算出方法と固定資産税の計算方法を見ていこう。

固定資産税
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土地の固定資産税の計算方法

土地の固定資産税の計算方法を見ていこう。土地の固定資産税の計算は、

  1. 固定資産税評価額を求める
  2. 固定資産税評価額から本則課税標準額を求める
  3. 負担調整措置を行って課税標準額を求める
  4. 相当税額を求める

の4ステップで行われる。ここでは、具体例として、

固定資産税評価額4,500万円
前年度課税標準額675万円

である場合について見ていこう。

1. 固定資産税評価額を求める

固定資産税評価額は、「固定資産税の路線価」から求められる。固定資産税の路線価は、東京都なら東京都主税局のホームページで確認できる。路線価には、この固定資産税の路線価と、それとは別に国税庁が公開する「相続税の路線価」があるので注意したい。

下の図は、固定資産税の路線価図の具体例だ。

THE OWNER編集部

出典:東京都主税局『路線価公開(23区)』

このような道路に面している道路に面している土地の固定資産税評価額は、「1㎡あたり67万2,000円」である。土地の面積が100㎡であれば、

67万2,000円/㎡ × 100㎡ = 6,720万円

となる。

相続税の路線価は毎年変更されるが、固定資産税の路線価は原則として3年に1回変更される。

ただし、固定資産税評価額がそのまま課税標準額となるわけではない。住宅地の場合は「特例措置」により、固定資産税評価額から大幅に減額された「本則課税標準額」が算出される。さらに、固定資産税評価額の変動に応じた「負担調整措置」が本則課税標準額に対して行われ、課税標準額が算出される。

2. 固定資産税評価額から本則課税標準額を求める

住宅用地の場合は、税負担の軽減を目的として設けられた特例措置により、固定資産税評価額を大幅に減額した「本則課税標準額」を基にして固定資産税を計算する。住宅用地の特例措置は以下のとおりだ。

区分本則課税標準額
小規模住宅用地住宅用地で住戸1戸につき200㎡までの部分評価額 × 1/6
一般住宅用地小規模住宅用地以外の住宅用地評価額 × 1/3

出典:東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』

「住宅用地」の定義は以下のとおりだ。

  1. 専用住宅(居住のために用いられている建物)の敷地として利用されている土地で、その面積が建物の総床面積の10倍までのもの

  2. 併用住宅(その一部を居住のために用いている建物で、建物の床面積に対する居住部分の割合が4分の1以上あるもの)の敷地として利用されている土地のうち、その面積に下表の「率」を乗じた面積に相当する土地

建物の種類居住部分の割合
下で示す建物以外1/4以上1/2未満0.5
1/2以上1
地上5階以上の耐火建築物1/4以上1/2未満0.5
1/2以上3/4未満0.75
3/4以上1.0

出典:東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』

住宅用地とは、一戸建て住宅やアパートの敷地、またその敷地と一体となっている庭や専用駐車場などである。

住宅用地以外の土地とは、店舗や事務所、工場、倉庫、旅館などの敷地や資材置き場、空き地、住宅建設予定地、住宅建設中の土地などだ。

今回の例が「小規模住宅用地」に当てはまるとすれば、本則課税標準額は「固定資産税評価額 × 1/6」となる。したがって、

4,500万円(固定資産税評価額)× 1/6

で計算され、結果は「750万円」となる。

3. 負担調整措置を行って課税標準額を求める

次に、「負担調整措置」を行って課税標準額を求める。負担調整措置とは、土地の価格が値上がりしているとき、課税標準額を値上がりした分値上げするのではなく、税負担を考慮して徐々に値上げするものだ。

負担調整措置は、「負担水準」により決められている。負担水準は、以下の計算式で求める。

負担水準(%)= 前年度課税標準額 / 本則課税標準額または固定資産税評価額× 100

分母の「本年度課税標準額」は、住宅用地の場合は上の式で計算された本則課税標準額を用いる。商業用地の場合は、特例措置による減額は行われないため、固定資産税評価額そのものを用いる。

負担水準とは、今年度の課税標準額(固定資産税評価額)に対し、前年度の課税標準額が「どれだけ安いか」を示すものだ。負担水準が100%を超える場合は、土地が値下がりしていることを、負担水準が100%未満の場合は値上がりしていることを意味する。そのため、

・負担水準が大きい場合 …価格を引き下げる、あるいは据え置く
・負担水準が小さい場合 …課税標準額を徐々に引き上げる

という負担調整措置が取られる。住宅用地と商業用地との負担調整措置は、以下のようになる。

【住宅用地の場合の負担調整措置】
・負担水準が100%以上の場合:
本則課税標準額をそのまま用いる(値下がりしているから調整は行わない)

・負担水準が100%未満の場合:
前年度課税標準額に本則課税標準額の5%を加えたものを本年度課税標準額とする(値上がりしているため徐々に引き上げる)

【商業用地の場合の負担調整措置】
・負担水準が70%超の場合:
課税標準額の法定上限(固定資産税評価額の70%)まで引き下げ(値下がり、あるいはそれに近い状態であるため法定上限の範囲に収める)

・負担水準が60%以上70%以下の場合:
前年度課税標準額に据え置き(やや値上がりしている状態であるため前年度のままに据え置いて影響を抑える)

・負担水準が60%未満の場合:
前年度課税標準額に、固定資産税評価額の5%を加えたものを本年度課税標準額とする(大きく値上がりしているため徐々に引き上げる)

今回の例では、

固定資産税評価額4,500万円
前年度課税標準額675万円
本則課税標準額750万円

だった。

負担水準は、

負担水準(%) = 前年度課税標準額 / 本則課税標準額 × 100
=675万円/ 750万円 × 100

で計算され、「90%」となる。住宅用地で負担水準が100%未満の場合、本年度課税標準額は、

本年度課税標準額 = 前年度課税標準額 + 本則課税標準額 × 5%

で求められることになるから、

675万円(前年度課税標準額)+ 750万円(本則課税標準額)× 5%
= 675万円 + 37万5,000円

となり、本年度課税標準額は「712万5,000円」になる。

4. 相当税額を求める

ここまでで、固定資産税の税額を求める準備が整った。固定資産税の税額は前述のとおり、

固定資産税額 = 本年度課税標準額 ×税率1.4

で計算される。本年度課税標準額は「712万5,000円」なので、固定資産税額は、

712万5,000円 × 1.4

で「9万9,750円」となる。ただし、1円未満の端数が出た場合は切り捨てる。

建物の固定資産税の計算方法

建物の固定資産税も、計算方法は、

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率1.4%

である。建物の場合は、固定資産課税台帳に登録されている価格が、そのまま固定資産税の課税標準額になる。

新築あるいは増改築された建物については、固定資産課税台帳に新たに価格を登録する必要があるため、担当職員が建物の調査を行う。調査では、建築確認申請書や見積書、請負契約書、竣工図などの建築資料をもとにして、どのような資材が実際にどれだけ使用されているか、また内装および建築設備などの施工状況が確認される。

建物の課税標準額は、3年に1度見直される。ただし一度調査を行った建物については、建築物価の変動や経過年数による減点補正によって数値的に行われるため、改めて調査は行われない。

固定資産税
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償却資産の固定資産税の計算方法

償却資産の固定資産税の計算方法も、これまで見てきた土地や建物と同様に、

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率1.4

である。この場合の課税標準額は、「償却資産の一点ごとに算出される『評価額』を合計したもの」として算出される。償却資産の評価額は、前年中に取得した資産と前年より前に取得した資産とで計算方法が異なる。

前年中に取得した資産の評価額の算出方法

前年中に取得した資産の評価額は、取得した月に関わらず「半年分」を償却することになる。計算式は以下のとおりだ。

評価額 = 取得価額 × ( 1 - 減価率 / 2 )

「減価率」は、「減価残存率表」に記載されている。

参考:東京都主税局『減価残存率表』

上の式の「減価率 / 2」の部分は、減価残存率表で「前年中取得のものA」と表記されている数値である。

前年より前に取得した資産の評価額の算出方法

前年より前に取得した資産については、すべての年で1年分を償却する。その際の計算式は、

評価額 = 前年度評価額 × ( 1 - 減価率 )

となる。「1 - 減価率」の部分は、減価残存率表で「前年前取得のものB」と表記されている数値である。

算出した評価額が資産の取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%が評価額となる。また、償却資産の評価額を合計した課税標準額が「150万円未満」の場合は、課税されない。

償却資産の固定資産税には、各種特例がある。特例が適用される資産については、上の計算式で算出される評価額に特例率をかけたものが評価額になる。

なお課税標準額においては、1,000円未満は切り捨て、税額においては100円未満は切り捨てる。

償却資産の固定資産税の計算例

償却資産の固定資産税を、具体的な例を用いて計算してみよう。償却資産は、2020年現在において以下のとおりとする。

資産取得年月取得価額耐用年数減価率
舗装路面 (コンクリート敷)2019年9月270万円15年0.142
ルームエアコン2018年11月50万円6年0.319
看板 (ネオンサイン)2018年2月165万5,300円3年0.536

表中の「耐用年数」は、品目ごとに細かく定められている。また表中の「減価率」は、上の「減価残存率表」で耐用年数ごとに指定されている。

参考:減価償却資産の耐用年数

・舗装道路(コンクリート敷)の評価額
舗装道路は、前年に取得したものだ。したがって評価額の計算式は、

評価額 = 取得価額 × ( 1 - 減価率 / 2 )

となるから、舗装道路の評価額は、

評価額 = 270万円(取得価額) × ( 1 - 0.142(減価率) / 2 )

で「250万8,300円」となる。

・ルームエアコンの評価額
ルームエアコンは、2年前に取得したものだ。まず前年度評価額を計算すると、

評価額 = 取得価額 × ( 1 - 減価率 / 2 )
=50万円 × ( 1 - 0.319 / 2 )

で計算され「42万円」となる。したがって、本年度の評価額は、

評価額 = 前年度評価額 × ( 1 - 減価率 )
= 42万円 × ( 1 - 0.319 )

で計算され「28万6,020円」となる。

・看板(ネオンサイン)の評価額
看板も2年前に取得されたものである。まず前年度評価額を計算すると、

評価額 = 取得価額 × ( 1 - 減価率 / 2 )
=165万5,300円 × ( 1 - 0.536 / 2 )

で計算され「121万1,679円」となる。したがって本年度の評価額は、

評価額 = 前年度評価額 × ( 1 - 減価率 )
= 165万5,300円 × ( 1 - 0.536 )

で計算され「56万2,219円」となる。

・固定資産税額の計算
固定資産税額は、

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率1.4

で計算される。課税標準額は、償却資産すべての評価額を合計したものなので、

課税標準額 = 250万8,300円(道路)+ 28万6,020円(エアコン)+ 56万2,219円(看板)

と計算され「355万6,539円」となる。1,000円未満を切り捨てて計算すると、

固定資産税 = 3,356,000円 × 1.4

となり、「4万6,984円」。100円未満を切り捨てて、「4万6,900円」となる。

参考:東京都主税局『固定資産税(償却資産)』

償却資産の例

償却資産を業種ごとに例示すると、以下の表のようになる。

業種償却資産の例
共通パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、内装・内部造作等(賃借人(テナント)が取り付けた場合)、看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)、LAN設備等
製造業金属製品製造設備、食料品製造設備、旋盤、ボール盤、梱包機等
印刷業各種製版機及び印刷機、断裁機等
建設業ブルドーザー・パワーショベル・フォークリフト等の土木建設車両(軽自動車税(種別割)の課税対象となるべきものを除く。)、大型特殊自動車等
娯楽業パチンコ器、パチンコ器取付台(島工事)、ゲーム機、両替機、カラオケ機器、ボウリング場用設備等
料理飲食店業テーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器等
小売業陳列棚・陳列ケース(冷凍機又は冷蔵機付きも含む。)等
理容・美容業理容・美容椅子、理容・美容用洗面設備、消毒殺菌器、サインポール等
医(歯)業医療機器(レントゲン装置、手術機器、歯科診療ユニット、ファイバースコープ等)等
クリーニング業洗濯機、脱水機、乾燥機、プレス機、ボイラー、ビニール包装設備等
不動産貸付業受変電設備、発電機設備、蓄電池設備、中央監視設備、門・塀・緑化施設等の外構工事、駐車場等の舗装等

出典:東京都主税局『固定資産税(償却資産)』

固定資産税はしっかりと計算しよう

土地と建物については、課税明細書が送られてくるために、固定資産税を自分で計算する必要はない。しかし償却資産については、評価額の合計が150万円以上の場合は、自分で申告する必要がある。

償却資産の固定資産税の計算は、やや複雑だが難しいわけではない。計算方法をしっかり理解し、固定資産税を正しく申告しよう。

文・THE OWNER編集部

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