愛知県油脂卸協同組合・佐橋徳洋理事長
(画像=愛知県油脂卸協同組合・佐橋徳洋理事長)

愛知県油脂卸協同組合は1月29日、名古屋市のホテルで創立70周年記念式典と新年会を開催し、47人が参集した。

冒頭、能登半島地震の被災者への哀悼の意を表し、黙祷を捧げた。各氏あいさつでは、事業環境が厳しい中、力を合わせて油の価値を高めることが強調された。開宴後は、中日ドラゴンズのオフィシャルパフォーマンスチーム「チアドラゴンズ」がパフォーマンスを披露し、華やかに盛り上げた。

佐橋徳洋理事長(徳万商事社長)はあいさつで、同組合の歴史を紐解いたうえで、「諸先輩が組合を創立されたときの熱き情熱、築き育ててこられた苦労を忘れることなく、協同組合法第1条の相互扶助の精神を念頭に置き健全な市場を形成すること、油脂の適正価格の維持、市場の活性化に向けた取り組みに傾注していく必要があると考える。当組合は全油販連(全国油脂販売業者連合会)と一致団結し、国民の命と健康を守る植物油脂を安全安心、安定的に供給するという強い使命感のもとにその役割を果たす覚悟だ。今後は、油脂メーカーとともに油の価値を的確に理解し伝える力、油の新しい価値を作り出せる力、新たなニーズに対応した油脂の提案普及に努め、従来以上に価値ある存在になっていくこと、メーカーと卸が車の両輪のごとく一体となって絆を一層深め、製販協力体制を進化させていくことを目指す」と強調した。

最後に、「今年の干支は『ドラゴン』であり、龍が現れるとめでたいことが起こると伝えられている。本日は龍の代わりにチアドラゴンズが登場する」と述べた。

〈適正価格の実現でデフレ脱却に向けた正念場の年、油脂の位置づけ大きく変化〉
来賓あいさつで日本植物油協会の新妻一彦会長(昭和産業会長)は、「油脂販売における愛知県を代表する団体として、メーカーと連携しながら油脂流通の円滑化と市場の開拓に積極的に取り組まれ、油脂の適正価格、安定供給、消費拡大に大きく貢献してこられた」と敬意を表した。

日本植物油協会・新妻一彦会長
(画像=日本植物油協会・新妻一彦会長)

続けて、日油協が発表した2023年10大ニュースの1位「穀物相場が昨年の高騰から低下も高水準、加えて円安の進行によりコスト重く、価値に見合った価格の浸透へ努力を継続」を紹介し、「現在、歴史的な価格水準を記録した植物油の価格はひとまず沈静化しているが、過去に比べると依然高値で推移している。世界的な異常気象や地政学的リスクが顕著化する中で、植物油を巡る環境はエネルギーコストの高止まり、円安の進行など厳しい局面が続いている。また、物流の2024年問題により物が運べなくなることも懸念されており、食品業界も厳しい試練とリスクに直面している」と述べた。

「環境が大きく変化する中、当協会は流通を預かる皆様と情報を共有し、方向性を一つにし、時代の変化を踏まえた製販一体化を実現していくことがますます重要だ」と強調した。

また、物価上昇の背景などをわかりやすく紹介している消費者庁のYouTube動画に触れ、「賃金アップと緩やかな物価上昇により経済を回すことで、好循環につなげたいという政府からのメッセージだと経営者の一人として受け止めた」とし、「油脂製品の適正価格の実現により、皆様と一緒に、今年はデフレ脱却に向けて、正念場の年として積極的に取り組んでいきたい」と述べた。

館野洋一郎・全油販連会長(タテノコーポレーション社長)は「全油販連も貴組合と同様に70周年を迎えた。関西からの波を受け、全国へ広がっていった『油脂未来セミナー』は、コロナ禍で中断していたが、油の新しい価値をつくりだそうと活動を再開している。この10年間、特にこの5年間で需要と供給の両面におけるパラダイムシフトの中で、油脂の国民生活における将来も含めた位置づけが大きく変化している。国に対する働きかけなどを、貴組合の協力を得ながら行っていきたい。貴組合は経営懇談会を実施しており、そのような研さんの場を引き続き設けていただき、全油連の活動に結びつけてほしい」とあいさつした。

乾杯の発声は、正野崎圭一郎・日清オイリオグループ東海北陸支店長が行い、「原料環境が大変厳しいという見通しはあるが、組合の皆様のご協力をもって課題を解決しながら油の新しい価値を広めていきたい」と述べた。

〈大豆油糧日報2024年1月31日付〉