会社売却の事例
最後に、会社売却の事例をいくつかご紹介します。
コンピューター周辺機器の仕入・販売をするフォースメディアが、エレコムに売却
2021年5月20日にフォースメディアは全株式をエレコムに売却し、エレコムの完全子会社になりました。
エレコムはマウスやUSBなどのパソコン周辺機器を扱い、多くの分野で高いシェアを誇る大手企業です。BtoCからBtoBに経営方針を変え、アジア方面への海外展開もさかんに行っています。一方、フォースメディアは海外製品の輸入・販売を手がける商社です。ネットワーク製品やパソコンの周辺機器などを主に扱っています。さらに、輸入した高品質な海外製品のサポート体制も充実しています。
エレコムはBtoBビジネスをさらに加速させるため、フォースメディアの販売網や海外製品に関する専門性の取り込みを狙って買収しました。フォースメディアの海外製品の製品ノウハウやサポート体制を引き継ぐことで、売上の拡大を見込んでいます。
医療・介護分野の人材紹介業などを展開するプロトメディカルケアが、ベネッセホールディングスに売却
2021年5月10日、ベネッセホールディングスは、医療・介護分野の人材紹介業などを展開するプロトメディカルケア※を買収しました。
プロトメディカルケアは、中古車や生活情報サービスを手がけるプロトコーポレーションの子会社で、介護サービスのガイドブック「ハートページ」を発行している会社です。また、介護・医療系の求人サイト「介護求人ナビ」も運営しています。そのほかにも、福祉用具の貸与や販売事業も手がけ、売上を伸ばしています。このように、介護事業に大きな強みをもつ会社です。
一方ベネッセホールディングスは、介護業界大手のベネッセスタイルケアを傘下にしています。プロトメディカルケアを買収することで、介護業界により大きな強みをもちました。今後も拡大していくと予想される介護業界で、シェアを拡大していくことが期待できます。
※プロトメディカルケアは、2021年12月にハートメディカルケアに社名変更
アドベンチャー傘下でファッションレンタルサイトを運営するEDISTが、ダスキンに売却
2021年5月31日、アドベンチャー傘下でファッションレンタルサイトを運営するEDISTがダスキンに売却されました。 EDISTは衣料品のレンタル業を手がける企業で、仕事・育児・家事に忙しい女性向けにファッションレンタルサイト「EDIST.CLOSET」を運営しています。
一方ダスキンは、生活衛生関連用具のマットやモップなどのレンタルサービス、掃除・家事代行サービスなどを手がける大手企業です。また、ドーナツ専門店の「ミスタードーナツ」も全国展開しています。
EDISTを買収するダスキンの狙いは、生活衛生関連サービスの事業拡大です。ダスキンが扱っている生活支援のためのレンタル事業と、ファッションレンタル事業を融合させることで、家事や育児と仕事を両立させるためのサービスを強化できると判断しました。
デジタルピッキングシステムで国内大手のアイオイ・システムが、凸版印刷に売却
2021年6月、デジタルピッキングシステム大手のアイオイ・システムが凸版印刷に売却されました。 アイオイ・システムは、国内と海外72ヵ国にEC倉庫や配送センターを保有し、組み立て工場などにデジタルピッキングシステムを納入しています。物流業界や製造業界の効率化に役立つ、システム構築に関する技術力やノウハウに強みがある企業です。
凸版印刷は、印刷テクノロジーをベースに情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野およびエレクトロニクス事業分野の事業を展開しています。 新型コロナの影響もあり、物流へのニーズは急拡大しています。しかしその一方で、深刻な人手不足も加速しており、需要に対して供給が追いついていないのが実情です。
凸版印刷は、これを新たなビジネスの機会と捉え、両社の持つ技術・ノウハウを組み合わせ、物流業界におけるDX市場に参入しました。