食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

農林水産省はこのほど、「有機農業等の取組に関する意識・意向調査結果」を公表した。2021年8~9月、農業者2,647人・流通加工業者1,201事業所から回答を得たもの。

〈1.現状〉
◆農業者
有機農業に取り組んでいる品目で最も多いのは「水稲」(44.0%)で、野菜、果樹、大豆、麦類(2.8%)と続く。

取組年数は「10年以上」が7割超を占め、次いで「5~6年」「7~9年」。

取り組む理由は「よりよい農産物を提供したい」(69.2%)、「農薬・肥料などのコスト低減」(35.5%)のほか、「農作業を行う上での自身の健康のため」(32.9%)という回答も3位にランクインした。

◆流通加工業者
有機食品を取り扱っている流通加工業者は2割に留まる。

〈2.認証〉
◆農業者
有機認証の状況を訊くと、「認証は取得していないが栽培期間中は化学肥料・化学農薬不使用」(25.9%)が最も多く、4位の「認証は取得していないが、有機JAS水準の取組」(14.3%)から考えても、まだまだ認証取得が一般的ではないことが分かる。

このほか、持続農業法からみどり新法に制度を移行する「エコファーマー」(18.7%)は2位、「特別栽培農産物」(17.1%)は3位、「有機JAS認証」(11.3%)は5位となった。

◆流通加工業者
取り扱っている有機農産物の認証状況は、「有機栽培と聞いているがどのように取り組んでいるかはわからない」が5割超だ。3割の事業者が「化学肥料・化学農薬不使用栽培」、2割が「有機JAS取得」とも答えたが、相対取引とはいえ具体的な裏付けがないまま使用している現状が浮き彫りになった。

〈3.今後〉
◆農業者
今後の取組面積は「現状維持」が7割超で、「縮小」(10.1%)よりは「拡大」(14.2%)がやや多い。

「縮小or 現状維持」の理由は、「人手不足」「栽培管理が手間」「資材コストが高い」「収量が上がらない」「消費者に意義が伝わらない」と続く。

有機農産物の販路は「JA」が5割近く、「消費者と相対取引」(31.8%)、「直売所」(26.2%)の一方、「スーパーなど」(9.0%)、「レストラン」「オンラインショップ」(各4.4%)は低水準。

◆流通加工業者
既に取り扱っている事業者のうち、「取扱を増やしたい」のは6割超で、「現状維持」も4割近い。増やしたい理由は「品質がいい」(58.4%)のほか、「国内農業支持をアピールできる」(47.4%)、「環境への配慮をアピールできる」(46.7%)も高い割合だ。

一方、取り扱っていない事業者に今後の意向を訊くと、「取り扱いたい」は3割程度に留まった。取り扱わない理由は「割高」が5割近く、「既存の取引先には取り扱いがない」(35.0%)、「消費者の有機食品などに関する制度の理解が不十分」(14.5%)、「周年で安定的な量の確保」(12.9%)などが続くほか、「品質が安定しにくい」(10.4%)といった声も。

〈米麦日報2022年7月13日付〉