注目のオークション情報から、NFTのトピックまで。先週1週間にアートマーケットを賑わせた話題を振り返ります。(1ドル=122円、1ポンド=161円、1ユーロ=134円で換算)
オークション
▍アンディ・ウォーホルの「マリリン」がオークションへ。史上最高の見積額 約244億円 クリスティーズは5月のニューヨークセールで、アンディ・ウォーホルによるマリリンのシルクスクリーンを競売にかけることを発表した。1964年の作品 ≪Shot Sage Blue Marilyn≫ の落札予想価格は2億ドル (約244億円) で、オークションにおける美術品の見積もりとしては史上最高額となる。作品は色の異なるマリリンを描いた5枚の絵のシリーズの1つ。これまでのウォーホルのオークション記録は、2013年にサザビーズで落札された ≪Silver car crash (Double disaster) (in 2 parts)≫ の1億500万ドル (約128億円) だ。なおANDARTでは、アンディ・ウォーホルによるポートレート作品 ≪Liz≫ を取り扱っている。(artnet news)
▍バンクシーのシルクスクリーン、ウクライナの小児病院への寄付のためにオークションへ バンクシーの作品が、ウクライナの小児病院への寄付を集めるためにオークションにかけられることになった。匿名の寄付者によるもの。出品される2005年の作品 ≪CND Soldiers≫ は、2人の兵士が壁に核軍縮キャンペーン (CND) のシンボルの落書きをする様子を描いている作品。入札が殺到したため、オークション会社は入札額を当初の2倍である4万ポンド(約644万円)以上に引き上げて対応している。なおANDARTでは、バンクシーによる反暴力・反戦を訴えた作品 ≪Pulp Fiction≫ を販売している。(BBC)
▍イヴ・クラインの「目に見えないアート作品」の領収書がオークションへ。約6,700万円で販売の可能性 サザビーズは4月6日、パリでイヴ・クラインの「見えないアート作品」の所有権を認める領収書を競売にかける。見積もりは30万ユーロから50万ユーロ(約4,020万円〜6,700万円)。出品される≪Zone de sensibilité picturale immatérielle (非物質的な絵画的感性の領域)≫ は、領収書という形で何もない空間 (非物質的ゾーン) の所有権を示す書類を金と引き換えで販売したもの。買い手が要望する場合、領収書を燃やし、クラインが金の半分をセーヌ川に投げ入れるというパフォーマンスで完成する作品だった。このため、領収書はごくわずかしか存在していないという。(artnet news)
オークション結果
▍上位をバンクシーが独占!【3/1〜3/15クリスティーズオークション】 2022年3月1日〜15日にかけて、クリスティーズのオンラインオークション「Laugh now but one day we’ll be in charge: Banksy and 21st Century Editions」が開催された。オークション名にもなっている《Laugh Now》を始めとするバンクシー20点を中心に、現代アートのエディション作品が出品され、上位5作品をバンクシーが独占した。
バンクシーによる《Napalm》(サインなし、500エディション)も約752万円 (69,390ポンド)で落札された。ANDARTでは、《Napalm》のさらに貴重なサイン入りエディション(150エディション)を取り扱っている。
▍デイヴィッド・ホックニーがダントツの1位に【3/17フォーラムオークション】 2022年3月17日、フォーラムオークション「Editions and Works on Paper 1500 – 2021」がロンドンで開催。ルネサンスの時代から現代まで、幅広いアーティストの作品193点が出品された。落札額の1位となったのは、デイヴィッド・ホックニーによる色鉛筆で描かれた作品で、約2,275万円 (14.95万ポンド)で落札された。
ANDARTでは、人気のデイヴィッド・ホックニー作品の中でも、代表的なモチーフであるスイミングプールを描いた作品≪Pool Made with Paper and Blue Ink for Book, from Paper Pools (M.C.A.T. 234)≫を取り扱っている。
NFT
▍フランスがついにNFTに対応。法整備が進められる 2021年には国際的な大手美術品オークション運営会社が、NFTの採用に踏み切った。一方、オークションでのNFTの売上は、93%が米国、6%が中国と販売国が偏っている。フランスで活動するオークションハウスは、無形財の販売に関する法的枠組みがなかったため、事実上NFTのオークションは禁止されていた。こうしたなか、2022年3月1日に無形動産の競売がフランスの法律に明記され、3月10日にはフランスで初めてNFTに特化したオークション「The Burnt Auction」が開催された。暗号資産に関する法整備は現在も進められている。(artprice.com)
アーティスト
▍ダミアン・ハーストの18メートルの悪魔の彫刻がロンドンへ? ロンドンのグリニッジ半島テムズ川沿いにあるケーブルカーのそばに、ダミアン・ハーストの高さ18mのブロンズ彫刻≪Demon with Bowl≫を設置する予定で不動産開発会社が計画許可申請をしていることが報じられている。ハーストの「難破船アンビリーバル号の宝物」シリーズの一部で、2017年版ヴェネツィア・ビエンナーレの期間中にパラッツォ・グラッシの中庭で初公開された作品。(FAD magazine)
▍タイで初となる杉本博司のパブリックアート & 新素材研究所デザインの前庭が実現 「大林組」のグループ会社である「タイ大林」は、タイ・バンコクに大型オフィスビル「O-NES TOWER」を開業した。同ビルには、杉本博司によるタイにおける初めてのパブリックアートとして、エントランスロビーに彫刻作品 ≪数理模型021 超球面:負の定曲率回転面≫ が設置された。また、前庭のデザインは、杉本博司と榊田倫之が共同代表を務める「新素材研究所」が監修し、V字型を平面的に展開させたデザインによってビル構造体のV型柱と調和した外部空間を構成している。(大林組)
▍杉本博司 初の自叙伝『杉本博司自伝 影老日記』を刊行 杉本博司による初の自叙伝『杉本博司自伝 影老日記』が、2022年3月24日、新潮社から刊行された。日本経済新聞に連載された「私の履歴書」を大幅増補したもの。単身渡ったアメリカで、放浪しながらゲリラ撮影、日本の古美術を売り、「海景」で世界的アーティストへとなっていく半生を、美麗な作品図版とともに辿っている。(新潮社)
ANDARTでは杉本博司の代表的な「海景」シリーズの作品 ≪日本海 隠岐 V≫ を取り扱っている。
展覧会
画像出典:プレスリリース
▍銀座 蔦屋書店 開店5周年記念 、アートやカルチャーに触れる・体感するイベントを全館で開催 銀座 蔦屋書店は、2022年4月20日に開店5周年を迎える。これを記念し、展覧会やアーティスト、建築家によるイベント、5周年限定の作品・オリジナル商品の発売などの企画を全館で展開する。4月16日~4月30日には、名和晃平による個展「Fountain」展を開催し、未公開品を含む多数の作品を展示する。(銀座 蔦屋書店)
4月1日~5月8日には、杉本博司のヴィンテージポスター展を開催。「海景」シリーズをはじめとしたヴィンテージポスターは、会場で販売も行われる。また、4月9日には『杉本博司自伝 影老日記』の刊行を記念したミニトークイベントのオンライン配信も行われる。(銀座 蔦屋書店)
▍エスパス ルイ・ヴィトン大阪、ゲルハルト・リヒター個展「Abstrakt」の会期を延長 エスパス ルイ・ヴィトン大阪は、開催中のゲルハルト・リヒター個展「Abstrakt」の会期を延長することを発表した。4月17日(日)を最終日としていたが、5月15日(日)まで延長される。展覧会では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品からリヒターの18点の抽象作品が展示され、そのうちの2作品、《940-4 Abstraktes Bild(アブストラクト・ペインティング) 》と《941-7 Abstraktes Bild (アブストラクト・ペインティング) 》は、今回が初公開となる。(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)
コラボレーション
▍KAWS、NIGOのニューアルバム「I Know NIGO」のカバーアートを手がける NIGOの約18年ぶりのニューアルバム「I KNOW NIGO」がリリースされ、このカバーアートをKAWSが手がけている。ビクター・ワールドワイドの犬のエンブレムをKAWSがアレンジし、その目をビクターの象徴であるXXのモチーフに置き換えたデザイン。また、同デザインをあしらったTシャツも、3月25日にHUMAN MADEから発売された。(HYPEBEAST)
ANDARTに会員登録すると、オークション情報や話題の展覧会情報など、今が旬のアートニュースをお届けします。メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できるので、ぜひご検討ください。
文:ANDART編集部