注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間でアートマーケットを賑わせた話題を振り返ります。(1ドル=115円、1ユーロ130円で換算)

目次

  1. オークション
  2. NFT
  3. アーティスト
  4. コラボレーション

オークション

▍ウォーホルの遺作となった「自画像」がオークションへ。落札価格は100億円超の予想

ニューヨークのオークションに出品される前にロンドンのサザビーズで展示されているアンディ・ウォーホルの≪Self-Portrait≫(左)とウィレム・デ・クーニングの≪Untitled≫(右
(画像=ニューヨークのオークションに出品される前にロンドンのサザビーズで展示されているアンディ・ウォーホルの≪Self-Portrait≫(左)とウィレム・デ・クーニングの≪Untitled≫(右)

画像出典:https://www.bloomberg.com/

離婚した富豪夫婦のコレクション「マックロウ・コレクション」を売却するオークションが、2022年5月に再度開催される。2021年11月に行われた第一弾のセールでは、35点の作品で記録的な6億7610万ドル (当時 約770億円)を記録し、単独オーナーによるオークションで最高額のセールスを記録した。2022年5月の第二弾では、30点の作品が出品される。

この中で最も注目作品を集める作品は、アンディ・ウォーホルの最後の作品群ひとつである≪Self-Portrait≫だ。1995年に一度だけ公開された作品で、最大2,000万ドル (約115億円) で落札されると予想されている。このほか、ゲルハルト・リヒターの≪Seascape≫、マーク・ロスコの≪Untitled.≫なども注目されている。(Bloomberg)

▍マン・レイの≪Le Violon d’Ingres≫がオークションへ。史上最も高価な写真となる可能性

2022年5月のクリスティーズオークションに、マン・レイの最も有名な作品のひとつとして知られる≪Le Violon d’Ingres≫のオリジナルプリントが出品されることが発表された。500万〜700万ドル (約5.8億〜8.1億円)の値がつくと予想されている。クリスティーズによれば、これは1枚の写真としては、オークション史上最高額の見積りになるとのことだ。(CNN style)

▍奈良美智から五木田智央まで。フィリップスが「マイ・カワイイ・バレンタイン」オークションを開始

フィリップスは、2022年2月14日から2月22日まで、バレンタインデーをテーマにしたオークションを行っている。日本の「カワイイ文化」にインスパイアされたというセールで、「カワイイ」「仲間」「自己肯定感」「セクシュアリティ」をテーマにした作品が集められた。奈良美智、五木田智央のほか、日本のピクセルアーティストのNFT作品や、バーチャルインフルエンサーのMonoCが制作した初のNFTアート作品も出品されている。(PHILLIPS)

▍2022年3月の「アートフェア東京」にあわせ、「コンテンポラリーアートオークション」を初の同時期開催

SBIアートオークションは、2022年3月12日に東京国際フォーラムにおいて、コンテンポラリーアートオークションを開催することを発表した。日本最大級の国際アートフェアである「アートフェア東京」の同時期開催は、初の試み。注目作品としては、奈良美智や草間彌生のほか、ジュリアン・オピーの《New York Couples》などがある。(プレスリリース)

NFT

▍ウィーンの美術館がクリムトの≪接吻≫を1万分割のNFTにして販売

世界最大のグスタフ・クリムトの絵画コレクションを有するウィーンのベルヴェデーレ美術館は、投資ファンドartèQと共同で、クリムトの代表作≪接吻≫をモチーフにしたNFTを発売した。作品画像を100✕100の1万ピースに分割し、発行されるNFT証明書には、どのパーツを購入したかが正確に示されるという。1ピースは1,850ユーロ (約24万円) だが、現時点では8割以上が売れ残っているという。(COINTELEGRAPH)

関連記事:美術館のNFT販売に隠された2つの狙いとは?コミュニティの拡大に貢献する戦略

▍「ヴェネツィア・ビエンナーレ」で初のNFT展を開催

2年に1度ヴェネツィアで開催される現代美術の国際展示「ヴェネチア・ビエンナーレ」において、2022年、初のNFT作品展が行われることが発表された。カメルーン初の国家パビリオンの一部で行われるもので、NFTアートのコーナーでは、中国、ドイツ、アメリカなどの20人以上のアーティストが登場するという。ファインアートの世界でもNFTが正式に存在感を示すこととなりそうだ。(artnet news)

▍「Rakuten NFT」、現代アーティストが手掛けるNFTアート作品の発売に向けてアートパワーズジャパンと合意

2022年2月25日より、NFTのマーケットプレイス「Rakuten NFT」のサービス開始を予定する楽天グループは、一般社団法人アートパワーズジャパンとNFTアートの販売を行っていくことを合意した。第一弾として、アーティスト三沢 厚彦、中村 ケンゴ、山口 典子らによる「PRIME」、期待の若手アーティストの作品を扱う「EMERGING」、障がいのある方々による「CHALLENGED ART」、日本が誇る工芸の新たな視点を追求する「KOGEI」の4つのカテゴリーで作品を展開する予定だという。(プレスリリース)

▍前澤友作やKAWSらも所有するアーティスト花井祐介、初のNFT1000個が即完売。 オークションでは15倍に価格が高騰

花井祐介による、KAWS、ジェイ・チョウ、JJ・リン、SK Lam、前澤友作の為のスペシャル・アバター
(画像=花井祐介による、KAWS、ジェイ・チョウ、JJ・リン、SK Lam、前澤友作の為のスペシャル・アバター)

画像出典:プレスリリース

1月22日に 発表された日本人アーティスト花井祐介による初のNFTコレクション1,000点 (1点あたり約3,127ドル (約36万円) )が即時に完売したことが発表された。2月14日からは、セカンダリーマーケップレイスの「OpenSea」で取引が始まり、一時、価格は15倍まで上昇。総落札総額は1,800万ドル (約20.7億円) を超える予定だという。前澤友作、KAWS、ジェイ・チョウ、JJ リンら著名⼈が花井の手掛けた⾃⾝のアバターを公開したことで、ソーシャルメディア上で「花井旋風」が巻き起こっている。(プレスリリース)

アーティスト

▍ゲルハルト・リヒター、2017年にペインティングからの引退を発表してから売上が2倍以上に

2021年10月14日のサザビーズオークションで競売に掛けられた3点のゲルハルト・リヒター作品
(画像=2021年10月14日のサザビーズオークションで競売に掛けられた3点のゲルハルト・リヒター作品)

画像出典:https://news.artnet.com/

2021年、リヒターの市場は活気づき、総売上高は2億4730万ドル (約284億円) と、2019年比で89%、2020年比で140%増加した。リヒターは、2021年の戦後部門において、アンディ・ウォーホルに次いで2番目に売れた人物であり、オークション全体では6番目に売れた人物でもある。

リヒターは2017年にペインティングからの引退を発表し、以降はドローイングに専念しており、供給の制限によってその価値が上昇していると考えられている。今年は彼の90歳の誕生日を記念して数々の展覧会が開催され、さらに市場価格を押し上げていく可能性もあるという。(HEAD TOPIC UNITED STATES)

▍ガゴシアン新ギャラリーのこけら落とし展で、ダミアン・ハースト過去15年間の未発表作品群を発表

ダミアン・ハーストによる油彩画≪Warhol and Basquiat≫ (2021)
(画像=ダミアン・ハーストによる油彩画≪Warhol and Basquiat≫ (2021)© Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved. All rights reserved, DACS 2022)

画像出典:https://fadmagazine.com/

アメリカのメガギャラリー「ガゴシアン」は、スイス・グシュタードの新しいギャラリーのオープンを記念して、ダミアン・ハーストのペインティングとドローイングの展覧会「神話、伝説、モンスター」を開催する。過去15年間に制作されたこれらの作品は、これまで展示されたことがないものだという。

ハーストの「ファクトペインティング」シリーズの進化形で、ジャン=ミシェル・バスキア、デビッド・ボウイ、シャロン・テート、アンディ・ウォーホルなど、芸術的、政治的、ポップカルチャー的に伝説的な人物を描いた単色の油彩画を描いたシリーズ。被写体はいずれも複雑な人物で、単純なヒーローや悪役ではなく、タイトルにある「神話、伝説、怪物」の3つの要素のすべてを兼ね備えた人物を選んでいるという。(FAD magazine)

▍奈良美智、バリー・マッギーら、国際芸術祭「あいち2022」の第二弾参加アーティストとして発表

2022年2月15日、2022年の夏に開催される国際芸術祭「あいち2022」の参加アーティスト(第二弾)55組が発表され、奈良美智、バリー・マッギーらが参加することが明らかとなった。すでに発表となっていた22組と合わせて、世界31の国と地域から、幅広い世代に渡る77組の参加が決まった。「あいち2022」は、2022年7月30日から愛知県名古屋市、一宮市、常滑市で開催される。(国際芸術祭 あいち2022)

コラボレーション

▍NBA®オールスターウィークエンドを祝し、ティファニーがダニエル・アーシャムとコラボした限定バスケットボールを発売

ティファニーとダニエル・アーシャムのコラボレーションしたバスケットボール
(画像=ティファニーとダニエル・アーシャムのコラボレーションしたバスケットボール)

画像出典:プレスリリース

ティファニーは、ダニエル・アーシャムとの第2弾コラボレーションを発表した。ダニエル・アーシャムがデザインし、スポーツ用品メーカー ウィルソン®とのパートナーシップにより制作された限定バスケットボールをポップアップストアにて発売する。ボールには、ダニエル・アーシャムによるティファニーとのコラボレーションロゴと「Wilson®」ロゴがあしらわれている。ティファニーは何十年にもわたり、NBAファイナルの優勝チームに贈られるラリー・オブライエン・トロフィーを制作してきている。(プレスリリース)

▍KAWS、The North Faceとコラボレーションした新コレクション「XX KAWS」を発表

KAWSとThe North Faceは、新たなコレクション「XX KAWS」のビジュアルを公開した。KAWSは「今回のコラボレーションコレクションの服は、真っ白なキャンバスのように扱いました。そして、新しい絵の具セットを作るように、彼らの幅広い色と素材のアーカイブを探ることを楽しみました」と述べている。「The North Face XX KAWS」コレクションは、2月17日より、海外の実店舗、「The North Face」のウェブサイト、および一部の小売店で販売されている。(HYPEBEAST)

ANDARTに会員登録すると、オークション情報や話題の展覧会情報など、今が旬のアートニュースをお届けします。メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できるので、ぜひご検討ください。

文:ANDART編集部