豚肉の末端消費は年末年始の出費の反動で冷え込み、2022年1月初めの段階からこの2週間で上物は100円程度値下がりしている。
当初、このままいけば下旬には400円割れの展開もあるかと想定されていたが、ここにきて豚価は横ばいで下げ止まり、19日には関東3市場で税抜き441円(前市比15円高)と急騰した。新型コロナウイルス感染症のオミクロン変異株の感染急拡大を受けて、政府は19日、1都12県に「まん延防止等重点措置」を適用する運びとなった。適用期間は21日から2月13日まで。
こうした最近のコロナに関する動向を受けて、一部の購買者は巣ごもり需要が高まる公算が高いとして、買いが入ったとみられている。しかも、2月は量販店の決算期でもある。依然として輸入チルドポーク、チルドビーフの供給が不安定にあるなか、流通各社の決算セールも国産豚を中心に仕掛ける可能性が高い。このため、月末にかけて豚価は多少緩んだとしても、400円を割ることはなさそうで、今後の寒波など増体成績次第では2月は相場高の懸念も出ている。飼料高の影響を受けている生産者にとってはプラスだが、中間流通にとっては相場高・パーツ安の展開も心配されるなど悩ましいところ。輸入チルドも賞味期限の関係でチルドフローズン(冷蔵の生で流通している商品を冷凍処理したもの)や投げ玉が増える可能性もある。
1月上旬の末端需要は、年末年始の補充買いなどもあり、ソコソコの動きが見られたが、それが一巡すると荷動きは鈍り、豚価も急落続きとなった。現状、売れ筋はバラが中心で、ウデ・モモも動いているものの、単価の高いロース、カタロース、ヒレの動きは低迷し、凍結に回さず、価格対応でしのいでいる。また、ひき材の動きも弱く、冷凍在庫が増えているようだ。前述のように輸入チルドの供給が不安定にあるため、まだ国産物が動いている方だが、通常の供給状態であれば、荷動きはもっと弱く、豚価の下げ圧力が高まっていたといえる。
2月の需給動向は、輸入ビーフが豪州・北米ともにコスト高となり買付数量も限定的で、輸入ポークと同様に入船遅れなど供給も不安定な状況にある。鶏肉も鳥インフルエンザ発生による供給不安がある。このため末端では、玉薄・相場高の輸入ビーフは引続き販促を打ち難いため、決算セールは、相場が安定している国産豚肉にシフトしてくるとみられる。問屋筋からも「特売商材は豚肉しかないため、2月に入れば末端の引合いは徐々に強まってくる」と見る向きもある。産地によっては頭数が安定しておらず、上物率が低下しているケースがあるが、増体率(家畜の体重増加率)は比較的順調にあるもよう。気象庁の季節予報によると、2月前半は西日本では平年より気温が低い日が多いとされており、増体成績が低下する可能性もある。そうした状況下で、末端の販促が強まれば枝肉相場は一気に上昇に転じる可能性もあり、問屋筋では売れ行き好転は歓迎しつつ、「枝肉高・パーツ安」への警戒を強めている。
〈畜産日報2022年1月20日付〉