2021年度の国内ビル管理市場規模を前年度比100.9%の4兆2,724億円と予測
~業務効率化や省人化などDXの進行による変革への積極的な取り組みが期待される~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のビル管理市場を調査し、建物使途別や業務別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
ビル管理市場規模推移・予測
1.市場概況
2020年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は4兆2,337億円、前年度比99.0%と減少を見込む。宿泊施設関連や商業施設関連等の稼働状況の低下が、市場規模縮小の要因と考える。
2.注目トピック
建物使途別で最もシェアが高いのは、「事務所ビル」
2020年度の建物使途別のビル管理市場規模(見込値)を建物使途別に推計すると、住宅が約1,536億円(建物使途別シェア3.6%、前年度比101.4%)、非住宅が約4兆801億円(同96.4%、同98.9%)となる。非住宅の内訳を見ると、最もシェアが高いのは事務所ビルであり、その市場規模は約9,194億円(同21.7%、同98.5%)と、ビル管理市場のおよそ5分の1程度を占めている。次いで、店舗・商業施設:約7,722億円(同18.2%、同98.6%)、医療・福祉施設:約4,241億円(同10.0%、同100.1%)、学校施設:約4,119億円(同9.7%、同97.1%)、工場・作業所:約4,010億円(同9.5%、同98.0%)と続く。
3.将来展望
2021年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は、前年度比100.9%の4兆2,724億円と予測する。2021年度は、新型コロナウイルス感染拡大などの影響による先行きへの不透明感が残り、宿泊施設関連や商業施設関連などにおいては人流抑制による稼働状況の停滞が当面の懸念材料になるものと考える。
一方で、新しい生活様式が定着し、テレワークの推進によって働く環境が変化する中で、再開発案件の竣工など、オフィスビルをはじめとする施設の新築供給は続いており、ビル管理事業を行うフィールドは広がっている。社会経済を止めることなくウィズコロナの時代を創りあげていくために、ビル管理事業は多様な施設の運営を下支えするインフラとしての役割を果たしている。
また、SDGsへの取り組みを明確に打ち出す企業が出てくるなど、持続可能な社会創出へ向けて企業側が働き手の意識を高めていくことで日常業務の品質向上につなげている。業界を問わず進行するDXに対する意識も高まっており、業務効率化、省人化など変革への積極的な取り組みが期待される。
調査要綱
1.調査期間: 2021年7月~9月 2.調査対象: 全国の有力ビル管理事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話アンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<ビル管理市場とは> 本調査におけるビル管理市場とは、ビルの清掃、設備管理、警備業務等の受託サービスを対象として、元請金額ベースで市場規模を算出した。ビル管理事業者が請け負う修繕工事、改修工事、リニューアル工事等の周辺業務を含むが、当該事業者の異業種における売上高は含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 衛生管理業務、設備管理業務、警備保障業務、その他業務(建物修繕等) |
出典資料について
資料名 | 2021年版 ビル管理市場の実態と展望 |
発刊日 | 2021年09月28日 |
体裁 | A4 405ページ |
定価 | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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