コロナ禍では人の動きが大きく変わったことから、流通チャネルによってその影響度合いに差が出る
~2020年度の和洋菓子・デザート類市場は前年度比7.6%減を予測~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の和洋菓子、デザート類市場を調査し、製品セグメント別の動向、チャネル別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
和洋菓子・デザート類市場規模推移・予測
2019年度の和洋菓子・デザート類市場の流通チャネル別構成比
1.市場概況
和菓子、洋菓子、デザート類(ヨーグルト、プリン、ゼリー、その他チルドデザート類)、アイス類(アイスクリーム類、氷菓)を合計した2019年度の和洋菓子・デザート類市場規模(メーカー出荷金額ベース)はほぼ前年度並みで推移し、2兆2,833億円と推計した。国内外の観光客需要が比較的好調だったほか、バスク風チーズケーキやスフレチーズケーキなどのヒット商品に恵まれたことがプラスとなった。
しかし、2020年度は年度当初からコロナ禍一色となり、人の動きが制限されたことで、巣ごもり需要に繋がるカテゴリ・流通チャネルは好調に推移したものの、手土産需要が減少し、全体的に縮小を余儀なくされた。特に駅・空港などの交通拠点チャネルは営業自粛など売場閉鎖にも見舞われた。流通系和・洋菓子やデザート類は堅調に推移したものの、製造小売系の和菓子・洋菓子市場が特に大きなダメージを受けている。
2.注目トピック
新型コロナウイルス感染拡大の影響
コロナ禍では、人の動きが大きく変わったことから、流通チャネルによってその影響度合いに差が出た。スーパー・量販店や生協など、日常的な買い物を行うチャネルではプラスの影響となり、流通系の和菓子・洋菓子は、概ね好調に推移する傾向がみられる。
一方、コンビニエンスストア(CVS)は、都市部を中心に、リモートワークが広がる中で来店客数が減少しており、マイナスの影響がみられるケースもある。製造小売系の和菓子・洋菓子は、地元ケーキ店など一部好調に推移するチャネルもあるが、全体的にはギフトの売上構成比率が高く、冠婚葬祭や会合など対面機会の減少に伴う手土産需要の縮小で、マイナス影響が目立っている。
3.将来展望
2020年度の和洋菓子・デザート類市場(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比7.6%減の2兆1,099億円と予測する。コロナ禍に伴う外出自粛で、国内外の観光土産需要が激減したほか、冠婚葬祭や会合などの対面機会の減少で手土産需要が減少し、特に製造小売系の和・洋菓子市場が縮小している。
一方、スーパーやCVSなどの一般流通チャネルで販売される、流通系の和・洋菓子市場は巣ごもり需要の増加に伴い、拡大基調となっている。また、デザート類に含まれるヨーグルトは、健康意識の高まりから、需要の高止まりが続いている。アイス類は、業務用はマイナス影響を受けているが、市販用が好調に推移している。
調査要綱
1.調査期間: 2020年11月~2021年3月 2.調査対象: 和菓子・洋菓子・デザート・アイス類のメーカー、卸売業、小売業、その他関連団体等 3.調査方法: 当社専門研究員における直接面接取材及び、電話取材、アンケート調査、文献調査併用 |
<和洋菓子・デザート類市場とは> 本調査における和洋菓子・デザート類市場とは、和菓子(どら焼きや大福などの生菓子や半生菓子、干菓子、焼菓子等)、洋菓子(ケーキやシュークリームなどの生菓子や半生菓子、焼菓子等)、デザート類(ヨーグルトやプリン、ゼリー、その他カップデザート類等)、アイス類(アイスクリームや氷菓等)の4分野を対象とし、メーカー出荷金額ベースで市場規模を算出した。 なお、2019年度までのアイス類市場規模は、一般社団法人日本アイスクリーム協会より引用している。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 和菓子(製造小売系 / 流通系)、洋菓子(製造小売系 / 流通系)、ヨーグルト(ソフト / プレーン / ハード / ドリンク)、デザート(プリン / ゼリー / その他チルドデザート)、アイス類(パーソナル / マルチパック / プレミアム / 業務用) |
出典資料について
資料名 | 2021年版 菓子産業年鑑 ~和・洋菓子、デザート編~ |
発刊日 | 2021年03月26日 |
体裁 | A4 675ページ |
定価 | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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