矢野経済研究所
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調理の簡便化や時短化ニーズが高まることで、国内加工食品市場は堅調に推移

~コロナ禍で好調なカテゴリーがあるものの、業務用食品の需要減など2020年度の市場は微減を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の加工食品市場を調査し、市場規模推移・予測や各カテゴリー別・品目別の動向、将来展望を明らかにした。

国内加工食品市場規模推移

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国内加工食品市場規模予測

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1.市場概況

2019年度の国内加工食品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比100.1%の29兆6,553億円であった。2015年度以降、年々成長率は鈍化傾向にあるが、加工食品市場は女性の社会進出の拡大や高齢化および高齢世帯の増加を背景として、調理の簡便化や時短化ニーズが高まることで、堅調に推移している。

2.注目トピック

近年の成長品目と成長要因<健康>

加工食品市場の成長要因としては、「健康」、「備蓄」、「家飲み」がキーワードとなっている。近年、ますます「健康」を意識する消費者が増えており、健康に良いとされる食品の需要が伸長している。特に、加工海苔や納豆など、テレビ番組で健康効果が取り上げられることで需要が伸びる動きもみられる。

品目別でみていくと、飲料では豆乳や日本茶飲料、野菜飲料、ドリンクヨーグルトなど、“健康” を消費者がイメージしやすい商品の拡大が続く。
また、近年タンパク質の摂取が健康や美容にいいこともあり、「赤身肉」、「バーベキュー」など肉ブームとなり、現在では定着しつつある。そのため、肉を食べる際に使用されるたれ類、特に主力となる焼肉のたれ市場が好調に推移している。
油脂類では、ごま油をはじめ、健康オイルであるアマニ油、エゴマ油、こめ油等が伸長しており、参入企業も健康面での訴求に活発に取り組んでいる。
低カロリー甘味料は、糖質制限による健康管理やダイエット効果の認知度の高まりを受けて、糖質オフ・ゼロがトレンドとなっており、好調が続いている。

成分・機能面でみていくと、健康や美容、身体づくり、また、高齢者が陥りやすいフレイル(加齢により心身が老い衰えた虚弱状態)・サルコペニア(加齢や疾患により筋肉量が減少することによる身体機能の低下)対策としてタンパク質を摂取する動きが活発となっている。また、ヨーグルトやヨーグルトドリンク、納豆など、腸内環境をよくする食材も動きが良い。

3.将来展望

2020年度については、コロナ禍により好調なカテゴリーもあるものの、市場全体で見ると経済面の不安もあり、微減で推移するとみられる。特に、外出自粛により外食産業向けの業務用食品は需要が大きく落ち込んでいる。また、在宅勤務が進みオフィスワーカーの行動が変わったことで、コンビニエンスストアは苦戦を強いられており、コンビニエンスストアにおける販売がメインの商材(ポケット菓子、ガム、錠菓など)は不調になる等の動きがある。

中長期的にみれば、高齢化社会の進行や少人数世帯の増加により、健康食品市場や高齢者対応食品市場が拡大、個食タイプの商品群が伸長し、調理の簡便化志向が強まる中で調理食品市場などが堅調に推移する見通しである。2024年度の国内加工食品市場は、メーカー出荷金額ベースで30兆1,653億円になると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~8月
2.調査対象: 食品メーカー、食品卸売業者、食品小売事業者など食品市場に関わる有力企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話やeメールによる取材、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<加工食品市場とは>
本調査における加工食品とは、酒類や飲料、乳製品、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、パン・麺類、小麦粉類・粉製品、調味料類、油脂加工品、砂糖・甘味料類、冷凍食品、インスタント・レトルト食品他、菓子類、健康食品の15カテゴリ176品目を対象とした。

また、本調査における加工食品市場規模は、市販(家庭)用を中心として一部業務用途を含み、上記15カテゴリーに加えてその他食品を含め、メーカー出荷金額ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
酒類、飲料、乳製品、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、パン・麺類、小麦粉類・粉製品、調味料類、油脂加工品、砂糖・甘味料類、冷凍食品、インスタント・レトルト食品他、菓子類、健康食品、その他食品

出典資料について

資料名22020年版 食品産業年鑑 品目別動向編
発刊日2020年09月10日
体裁A4 329ページ
定価120,000円(税別)

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