矢野経済研究所
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ブランドオーナーの継続的な設備投資が続く中、新型コロナウイルスで飲料受託製造企業(パッカー)市場はさらなる苦境に直面

~市場の流れをつかみ、自社の強みを前面に出した明確な訴求が必要不可欠に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の清涼飲料の受託製造市場を調査し、エリア別、製品カテゴリー別の動向、参入企業動向、将来展望等を明らかにした。

飲料受託製造市場規模推移

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1.市場概況

飲料受託製造市場規模は受託製造事業者売上高ベースで、2018年度が前年度比102.0%の5,870億円と拡大し、2019年度は同97.3%の5,710億円と縮小した。

2018年度は記録的な猛暑で飲料市場自体が拡大したこともあり、飲料受託製造企業(以下、パッカー)の受託売上も拡大したが、パッカーも工場がフル稼働していたため、飲料メーカー(ブランドオーナー)からの追加要請に応えられない部分もあった。反対に2019年度は飲料市場が5年振りに縮小したことが影響した。
飲料市場の増減の調整弁的な役割を強いられる受託製造市場は、飲料市場が横ばい又は縮小した際には縮小する可能性が高く、飲料市場の拡大・縮小はパッカー自体の売上げに大きく影響してくるのが実情である。2020年度は新型コロナウイルス感染症による外出自粛や行動制限で、実際に飲料市場の平均以上の売上落ち込みを見せているパッカーが多く存在する。

2.注目トピック

新型コロナウイルスによる飲料受託製造市場への影響

新型コロナウイルス感染症が拡大し、飲料市場が低迷していることで受託製造市場への影響も大きい。感染が拡大し2020年4月に緊急事態宣言が発出されたことで、ブランドオーナーからの受託がキャンセルされるなどし、生産が計画から大幅に落ち込み、中には生産ラインを一時休止したパッカーも見られた。6月から7月前半は受注が回復してきたもの、冷夏の影響や感染者の再拡大などで再び生産調整なども入り、本来であればフル稼働状態となる夏場のラインに一部空きが生じるなどパッカーへの影響は大きかった。8月以降は猛暑で若干の回復傾向を示したものの、依然として状況は厳しい。

コロナ禍でプロモーションが十分にできない為、新商品の販売効果が薄いと判断したブランドオーナーが、例年以上に内製化率の高い基幹ブランドへの注力度合いを高めることで販売を確保しようとする動きの中で、パッカーへのしわ寄せが大きくなるという、飲料受託製造市場の弱点が如実に表れる結果となった。

3.将来展望

中長期的な飲料市場の縮小が見込まれる中で、飲料受託製造市場を取り巻く環境は厳しく、市場の継続的な拡大は難しいものと予測する。ブランドオーナー各社が内製化の動きを強め、各社の主力商品や炭酸飲料、茶系飲料、ミネラルウォーターといった数量が期待できるものについては、自社で製造する割合が増えている。その為、パッカーへの総受託数量も中長期的には減少していき、パッカー各社に委託される商品は、製造に手間がかかるものや小ロットのものがより多くなっていく見込みである。

しかしながら、ブランドオーナーによる内製化にも限界があることから、ここ数年である程度は下げ止まってくるものと思われる。また、小売業各社を中心にPB(プライベートブランド)商品が増えていることは、パッカーにとってプラス材料となっている。CVSや大手量販店のPBは、大手飲料メーカーが製造を請け負うケースが多いが、中小規模の小売業や地方の小売業、ドラッグストアなどはパッカーに製造委託するケースも多く、受注のチャンスも広がっている。

調査要綱

1.調査期間: 2020年7~9月
2.調査対象: 飲料受託製造企業(パッカー)、飲料メーカー(ブランドオーナー)等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
<飲料受託製造市場とは>
本調査における飲料受託製造市場とは、飲料メーカー(ブランドオーナー)から委託された受託製造企業(パッカー)の飲料生産を対象とし、パッカーの自社ブランド生産分を除く。
<市場に含まれる商品・サービス>
炭酸飲料、果実飲料等、茶系飲料、コーヒー飲料等、ミネラルウォーター類、豆乳類、野菜飲料、スポーツ・機能性飲料、乳性飲料、その他清涼飲料

出典資料について

資料名2020年版 飲料受託製造企業(パッカー)マーケティング総覧
発刊日2020年09月29日
体裁A4 482ページ
定価140,000円(税別)

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