「くら寿司」既存店売上高が7か月ぶり100%超、「鬼滅の刃」コラボが前回に続く奏功、コロナ対策の好影響も
(画像=「くら寿司」店舗に掲げられた「鬼滅の刃」キャンペーンのぼり)

回転寿司チェーン「くら寿司」の2020年9月の既存店売上高が、2月以来、7か月ぶりに前年同月比100%を超えた。

10月2日に発表された速報値で判明したもの。9月4日から開始した、人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンが大きく寄与した。くら寿司では今年6月にも、プレキャンペーンという位置づけで「鬼滅の刃」コラボを実施し、初日から平日として過去最高の全店売上を達成している。今回は、プレキャンペーンに続き「鬼滅の刃」が大きな成果をもたらした格好だ。

くら寿司の既存店売上は2020年に入って以降、1~2月は好調に推移していたが、3月は前年同月比84.5%、4月は51.9%、5月は80.0%と、新型コロナ感染症拡大による外出自粛の影響を大きく受けた。6月には「鬼滅の刃」プレキャンペーンの奏功もあって97.4%と、“100%まであとひと押し”というところまで持ち直したが、7月は92.3%、8月は94.6%と、“ひと押し”が足りない状況が続いていた。

その中で始まった2回目の「鬼滅の刃」キャンペーンは、6月のプレキャンペーンと比べて大幅に内容拡充。クリアファイルの配布枚数・配布回数を大きく増やし、さらに「鬼滅の刃 3種盛り」などコラボメニューの提供や、5皿に1回挑戦できるゲームで当たりが出ると景品がもらえる「びっくらポン」への「鬼滅の刃」グッズ投入、一部店舗のスタッフによる「鬼滅の刃」キャラクター風の法被(はっぴ)着用など、盛りだくさんな内容で大々的に展開してきた。

その結果として、9月の既存店売上高は速報値で107.9%と、余裕を持って7か月ぶりの100%超えを果たした。

「くら寿司」既存店売上高が7か月ぶり100%超、「鬼滅の刃」コラボが前回に続く奏功、コロナ対策の好影響も
(画像=くら寿司「鬼滅の刃」コラボメニュー)

くら寿司の広報は今回の結果について食品産業新聞社の取材に、「やはり『鬼滅の刃』効果が大きかった」とした一方、8月の時点で同業他社と比べても既存店売上高の状況が良かったことを踏まえ、「感染症対策の徹底が周知できていたことから、今回のキャンペーンでも安心して来店していただけたのではないか」などと述べた。

確かに「鬼滅の刃」ブームの昨今、くら寿司以外の飲食チェーンでもコラボキャンペーンは開催されているが、それらと比べてもくら寿司のキャンペーンは目立った成果を上げており、「鬼滅の刃」の人気だけではない要因がありそうだ。

実は6月の「鬼滅の刃」プレキャンペーンの際、くら寿司の広報は当社の取材に、「『鬼滅の刃』が人気作品だとは知っていたが、“平日最高売上”は想定外だった」と明かしている。しかし、今回のキャンペーン成果は“想定通り”だったようだ。

なお、くら寿司の「鬼滅の刃」キャンペーンは10月いっぱいの開催を予定しており、10月2日からはクリアファイル第3弾を配布開始。10月9日からはクリアファイル第4弾を投入すると同時に、コラボメニューのシートやカップを新デザインに切り替え予定。そして「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公開日である10月16日からは、プレゼント第5弾としてオリジナル下敷きを配布する予定だ。

「くら寿司」既存店売上高が7か月ぶり100%超、「鬼滅の刃」コラボが前回に続く奏功、コロナ対策の好影響も
(画像=くら寿司「鬼滅の刃」コラボクリアファイル第3弾デザイン一例)

くら寿司では現在、「Go To Eatキャンペーン」のポイント付与の準備も進めているという。飲食店にとって、いまだに厳しい事業環境が続いているのは事実だが、くら寿司は“新しい時代”の中、各種施策によって前向きに歩みを進めていく。