BANKERS
企業サポート部 ソリューション支援課 課長の八木澤 昭氏

全国金融M&A研究会が主催する「2020年M&Aバンクオブザイヤー」の受賞行を取り上げる企画の第三弾。 日本全国の地域金融機関でM&Aや事業承継を担当されている行員(BANKER)に各行の取り組みや銀行のカラー、地域の事業承継事情など他行への参考になる情報をインタビュー。

今回は、最も多くのM&A新規協働受託件数があった提携銀行に授与される「情報開発大賞」を受賞した青森銀行の企業サポート部 ソリューション支援課 課長の八木澤 昭氏にインタビューした。

青森県のM&A事情

――バンクオブザイヤー受賞おめでとうございます。M&A新規協働受託件数が評価されての受賞ですが成功のポイントは何であるとお考えでしょうか?

八木澤:そうですね、多分、それくらい潜在的なニーズがあったということなのだと思います。

私は青森銀行初で日本M&Aセンターさんに出向しましたが、出向したことによって銀行に在籍していただけでは知り得ない多くのM&A事情を学びました。

出向が終わり、青森県内の各支店を回っていたころ、各支店の支店長とお客様との信頼関係が非常に強いなと感じたことがあります。「青森県のために」と日ごろから思っている支店長がとても多いのです。

今回のバンクオブザイヤーにつながったM&A新規協働受託件数も、お客様からだけではなく、各支店長からもニーズを発掘できたからだと思っています。

お客様がなかなか切り出し辛い話についても、支店長を通じてお客様に寄り添いお話しすることによって、お客様の芯のニーズに刺さったのかなと思います。

今後の展望

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――M&Aと事業承継以外の将来設計やパートナー戦略などについては、どのようにお考えですか?

八木澤:そうですね、お客様に理解していただけるようであれば、そういったお話もさせていただきたいと思いますね。ただ、こちらからお話を持ちかけても、お客様の理解が進んでいかなければ、なかなか話も進まないということがありますので、御社のセミナーなども活用してそのような啓蒙活動も必要になってくるかと思います。

一方、銀行を辞めて経営者となった私の知り合いの中には、まだまだ現役世代ではありますが、すでに事業承継を見据えて動いています。そういった動きもあるので、将来的には事業承継を目的としたM&A以外にも展開は今後考えられると思っています。

――お客様に対してお話をする中で、心掛けていることは何でしょうか?

八木澤:まず、銀行内での“意識共有”でしょうね。まず銀行員が意識を共有し、理解できていないと、お客様にお話ができません。お客様の悩みに対して、素直に耳を傾けることを行員皆で意識しております。

M&A・事業承継というトピックはお客様から話を切り出しづらいことだと思いますが、やっぱり直接対面してお悩みを聞くことで、本音が聞きだせるものだと実感しております。

日本M&Aセンターのサテライトオフィス展開について

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――現在日本M&Aセンターでは、サテライトオフィスを全国につくっています。それに対してご感想をいただけますか?

八木澤:サテライトオフィス(現地事務所)を全国につくって、M&Aコンサルタントを全国に駐在させようという動きですね。ありがたいことだと思っています。

お客様からしてみたら、「青森にも事務所があるんだ」という感じは、プラスに響くと思います。 ただ、それは場合によっては異なった見方をされる方もいらっしゃると思います。コンサルタントが青森から来たほうがいいというお客様と、東京から来ましたと言ったほうが安心されるお客様がいます。

やはりサテライトオフィスがあるという点で地元の住民の信頼を得ながらも、東京のコンサルティング会社としての立ち位置で担当者の話をできるなど、両方の拠点担当者に対応してもらえているようにお客様に感じていただけるのではと思います。

コンサルを頼んでいると思えば、東京の大きな会社から来たコンサルタントのほうがいいのでしょうね。 一方で、地元に根差している比較的年齢層の高い経営者であれば、やはり「青森から来ました」「青森県内に住んでいます」と言ったほうが、心に刺さると思います。

――日本M&Aセンターに希望されることがあれば教えてください

八木澤:まず、これからも日本でナンバーワンのM&A仲介会社であってほしいと思います。

青森県内は事業承継に困っている会社が多く存在しています。青森県の金融機関として一社でも多く存続発展のお手伝いを続けていければと思います。

一方で、事業承継を希望されるお客様には「県内企業に売却するのはいやだ」という方が少なくありません。昨年のM&A案件でも、実際に日本M&Aセンターと協力して青森県内の企業を県外の企業へ譲渡した案件が数多くあり、全国でもトップクラスのネットワークを構築している強みをそういった場面でも感じます。

また、青森銀行の特徴として堅く、M&A業務に対しても保守的な一面があります。そのため、M&Aに対する経験値がまだまだ全体としても浅く、日本M&Aセンターへ出向し、知識と経験値を積むことができるのは提携するうえでのかけがいのないメリットです。サテライトオフィスが各地にもでき、気軽にお打ち合わせできるようになったこともありますので、最新の事例やノウハウの共有も積極的にお願いしたいと思います。