2020年7月、THEOWNERに事業承継・M&Aに取り組む地方銀行の銀行マン（バンカー）の取り組みや成功事例を取り上げるブランドチャネル「BANKERS」が新たに誕生した。
BANKERSは株式会社日本M&Aセンターの地域金融部が中心となり立ち上げた地方銀行のM&A担当者とのコミュニティづくりの一貫であり。 その発足には同社の代表取締役 三宅卓社長の地方創生にかける思いが根底にあった。
THEOWNER編集部ではBANKERS発足のきっかけと思いについてインタビューした。
全国の地方銀行と連携を進めている日本M&Aセンター
日本M&Aセンターでは毎年地方銀行のM&A実績・取組みを表彰する「M＆Aバンクオブザイヤー」を実施――地方銀行とM&Aセンターとの関係は？
日本M＆Aセンターは2007年12月に東証一部へ上場して以来、売上、営業利益、成約件数など順調に伸ばしています。
そんな、成長し続けられる土台の1つに我々が持つネットワーク力があると考えています。
日本M&Aセンターは全国の地方銀行の9割、信用金庫の8割、880もの会計事務所とは当社と提携関係にあり、文字通り全国にネットワークを構築、全国で事業承継のお相手探しができるようになっているのです。
また、全国の地方銀行から出向者を弊社に受け入れ、M&Aコンサルタントとしてのスキルを実地で身に着けてもらう。 そういった取り組みもM&A関連の会社では日本M&Aセンターが唯一行っていることです。
ただ、情報提供するだけではなく、地方の企業を残していくために、多くの地方銀行自身もM&Aの部署を立ち上げ、事業承継・M&A業務に取り組んでいらっしゃいます。
――三宅社長が考える地方銀行を取り巻く課題とは何でしょうか？
私は、日本の地方銀行を取り巻く状況には3つの問題・課題があると考えています。
1つ目は日本の少子高齢化問題です。少子高齢化問題は深刻です。中小企業の社長の「平均引退年齢」と実際の平均年齢は、近づきつつあります。このようなお客様を放っておくと、廃業となることも考えられます。 つまり、今後は地方銀行のお客様の中で事業承継問題がますます顕在化していくということです。
2つ目は、地方銀行の顧客の廃業問題です。跡継ぎがいないお客様を放っておくと廃業となることも考えられます。廃業になれば、その時点で融資が返済されるか、融資が返済されない場合は地方銀行が引当をするかのどちらかになります。 他の金融機関に肩代わりされるなどして融資を完済できる取引先はまだ、救われますが、そうでないところは地方銀行が引当を実施するという選択肢しか残されていません。 いづれにしても地方銀行の既存取引はすべてなくなってしまいます。
最後に、地方銀行の地盤である地域社会の問題です。引先企業の廃業や雇用の減少により地域経済が活気を失い、地域の中心街であってもシャッター街となっている地域があります。また、地元の若い人の多くが都市部の企業に就職してしまい、地元から若者がいなくなり、中小企業の人で部足や空き家の増加など多くの問題が生じています。
地域社会が疲弊してしまえば地域との共生・共存を掲げている地方銀行自体の存続問題に直結します。具体的には、取引先企業の休廃業の増加に伴い、既存の取引先数が返照し、貸出金の残高が低下することにより、金利収入が低下していくことが考えられます。
また、地方銀行自身の雇用問題に発展することも大いに考えられます。 収益の悪化に伴い、賃金が低下することによって、地元の地方銀行に学生が 就職したがらない状況となれば、地域で行員を採用することが難しくなります。そうなると大都市圏の銀行やメガバンクには全国から優秀な学生が集まりますが、それ以外の地方銀行では雇用が確保できない状況になってくることが想定されます。
――三宅社長が考える「BANKERS」の使命とはなんでしょうか？
“バンクオブザイヤー”受賞式で登壇する三宅社長これまでも、地方銀行とタッグを組みセミナーや相談会などを開催し、後継者不在の経営者と向き合ってまいりましたが、コロナウィルスが日本経済に与えたダメージは大きく、「事業承継に悩んでいる」「今後の経営は 1 人では不安、傘下に入りたい」「得も言われぬ経営不安、先行き不安を感じる」そんな不安を抱える経営者は今後ますます増加すると考えられ、全国の地方銀行にも相談が寄せられることが予想されます。こういった状況でも、地方を守っていくことが、BANKERSの使命です。
地域社会の今後の発展のため、事業承継・M&A業務の普及に強め、地域社会においてより身近なものにすることで、地方銀行とそのお客様がより幸せになれる環境をともにつくりあげていきたいとわれわれは考えています。
そんな全国のバンカーたちが一丸となって銀行マン（バンカー）へ有益な情報を共有し、より強固なネットワークを全国に展開するため、ビジネスメディア「THEOWNER」内に情報発信を行うチャネル「BANKERS」を開設しました。
各金融機関のM&A担当者の想いや、取り組みを、日本M&Aセンターで独自取材し、読者の皆様へ有益な情報をお届けしていきたいと考えています。
