2019年度の化粧品受託製造市場は前年度比103.1%の3,352億円
~インバウンド需要減速や大手化粧品ブランドメーカーの国内生産強化、化粧品受託企業の供給過多への懸念に加え、新型コロナウイルスの影響による需要落ち込みから、市場は減少トレンドに転じる~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の化粧品受託製造市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
国内化粧品受託製造の市場規模推移・予測
1.市場概況
2019年度の国内化粧品受託製造市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比103.1%の3,352億円と引き続き拡大したものの、2010年度より過去10年間で2番目の低い伸長率にとどまった。
これまでの市場拡大要因として、①改正薬事法施行による国内受託市場の活性化、②インバウンド(訪日外国人客)による日本製化粧品消費の増加、③海外現地消費者向けの日本製化粧品販売ビジネス=アウトバウンド(越境EC含)需要拡大が挙げられる。
しかしながら2019年度に入ると、①中国EC(電子商務)法施行を主要因としたインバウンド需要減速の顕在化、②大手化粧品ブランドメーカーの国内生産強化、③化粧品受託企業の生産能力底上げによる供給過多への懸念に加え、新型コロナウイルスの影響により国内外での化粧品需要が落ち込んでおり、化粧品受託製造市場は減少トレンドに転じている。
2.注目トピック
新型コロナウイルスの影響
2020年3月には日本国内においても新型コロナウイルス(COVID-19)による感染拡大に見舞われるとともに、世界中で人への感染が拡大した。
そのため、経済活動の停滞や外出自粛等による一般消費の落ち込み、国内外渡航制限による輸出入の遅延などサプライチェーンへの影響が発生しており、国内の化粧品産業、化粧品受託製造市場に打撃を与えている。
3.将来展望
2020年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)は、2019年後半からの減少トレンドに加え、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大による一般消費や企業活動の自粛、停滞による影響もあり、前年度比90.7%の3,041億円に減少すると予測する。
しかし、2021年度以降についてはコロナ禍の収束が進むことで、国内外の移動制限緩和による消費の回復を見込み、化粧品需要が回復することで2024年度の化粧品受託製造市場は2019年度比107.4%の3,600億円になる見通しである。
調査要綱
1.調査期間: 2020年4月~6月 2.調査対象: 化粧品受託製造・容器・原料参入企業、化粧品メーカーその他関連企業・関連団体等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接、電話等によるヒアリング、郵送アンケート調査ならびに文献調査併用 |
<化粧品受託製造市場とは> 本調査における化粧品受託製造市場とは、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、その他化粧品について、化粧品ブランドメーカー(本舗メーカー)や異業種参入企業から委託され、製造する市場を指す。 当該市場は、主に受託製造市場(受託製造企業)、化粧品容器市場(容器メーカー・ディーラー)、化粧品原料市場(原料メーカー・商社)から構成される。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 化粧品(スキンケア・メイクアップ・ヘアケア・その他)、化粧品容器、化粧品原料 |
出典資料について
資料名 | 2020年版 化粧品受託製造・容器・原料市場の展望と戦略 |
発刊日 | 2020年07月10日 |
体裁 | A4 644ページ |
定価 | 120,000円(税別) |
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