養豚場(イメージ)
(画像=養豚場(イメージ))

〈月平均で税抜き580~590円、600円絡みの可能性も〉
6月は梅雨の本格化と経済不安定による節約志向が相まって、末端需要は徐々に落ち着きはじめた。とはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要は底堅く推移している。

供給面では関東圏のPED(豚流行性下痢)の影響など出荷頭数が伸び悩んだことに加え、輸入チルドポークの供給不安など、不透明感が漂っていた。6月最終日となる30日には税抜き648円を付けるなど相場は急騰。結果、6月の豚枝肉相場は上物税抜きで578円(東京市場、前年同月比33円高)と高値推移した。

各パーツでは、月間を通してウデやモモなどのスソ物、大貫正肉など安価な部位の引合いが強く、枝肉高・部分肉安の流れに。このまま末端需要が冷え込めば、中間流通段階では枝相場高・部分肉安の逆ザヤがさらに広がることが懸念される。

しかし、7月は出荷頭数の落ち込みや輸入品との兼ね合いなどから相場の下げ要因は少なく、7月の月間平均相場は税抜き580~590円(税込み626~637円)と、前年7月の同520円を大きく上回って推移するものとみられる。

〈供給動向〉
農水省が6月24日に発表した肉豚生産出荷予測によると、7月の出荷頭数は129万頭と前年同月比で5%の減少を予測している。これは、2019年7月が例年以上に梅雨明けが遅れ、梅雨寒で豚の成育状態も良く例年よりも出荷が多かった反動によるもの。平年比(過去5年平均)では100%と予測するが、今年は夏にかけて平年並みか高い気温となることが予想され、増体の悪化や上物率の低下につながる可能性もある。

農畜産業振興機構の需給予測によると、7月のチルド輸入は前年同月比16.9%減の2万9,900tと前年割れを予測している。新型コロナの感染拡大に伴う、北米の現地工場の稼働停止などによる生産減から減少を見込むが、徐々に回復傾向にあることから3万t弱の輸入量を維持するものとみられる。一方で、フローズンは同19.3%減の3万9,800tと4万tを割るボリュームにとどまると予想される。

〈需要見通し〉
5月の連休明け以降、活発だった量販店の動きは一服感がみられたものの、ここにきて、新型コロナ以前の通常ベースに戻してきている。外食業態や学校給食の再開など、小売業態以外での動きも出てきた。

7月は天候に左右される面が大きく、梅雨入りで末端需要は決して盛り上がっているわけではないが、量販店では輸入チルドの供給不足から特売の回数が減り、国産を多く品揃えするケースなどがみられる。一部、ロースなど国産へシフトする動きがあるものの、荷動きの中心は小間切れ、切り落としといったスソ物中心の展開に。

通常であれば、20日以降は夏休み入りで学校給食も止まるが、今年は学校によって「夏休み返上」の話が上がるなど、需要動向は読み難い。さらに、輸入チルドについても、昨対減のボリュームを見込むが、予想よりも早いペースで回復傾向にあることから、輸入チルドの動向も注視される。

〈価格見通し〉
5月は月間平均で上物税抜き583円(前年同月比22円高)、6月は同578円(33円高)と前年を上回って推移するなか、7月の枝肉相場も引続き高値推移することが予想される。1日の東京市場は同614円を付けた。前市から34円下げたものの、600円台を維持している。

7月は農水省の出荷予測からも出荷頭数は少なく、さらに、猛暑や天候不順による増体不良など供給面での期待は薄い。それに加え、輸入チルドの供給減などを考えると相場の下げ要因は見当たらず。このため、7月の枝肉相場は上物税抜きで580~590円(税込み626~637円)と予想する。4週目には「海の日」と「スポーツの日」を含む4連休を控えており、それに向けた手当て買いの動きから600円絡みの展開になる可能性もある。