味の素冷凍食品は2020~2022年度の中計において、2020年度中に工場フリーザーの脱フロン化を完了し、次の2年は成長に向けた投資を増やす考えを示した。国内外の生産体制の再構築も中計の大きなテーマとする。生産本部長を務める福元哲郎取締役専務執行役員がこのほど開催した中計説明会で生産関連の事業方針について説明した。
〈焼き餃子、カップ米飯ラインに設備投資、原材料の国産化推進〉 2019年度の生産とそれに関連する物流、原材料の取り組み・成果について。
生産について、 第1に原価低減・安全・品質・環境といった生産基盤の強化を推進 第2に主力領域と新領域への集中投資、第3にアセットライト推進による生産性の向上 ――を挙げた。 このうち主な設備投資として2019年度は、新たな製法を導入した焼き餃子ラインの立ち上げと、カップ米飯ラインの増設を行った。
物流については、第1にバリューチェーンの連携強化や販売予測精度の向上による大幅な在庫低減を実現した。第2に冷食の他メーカーや得意先との協業による物流の効率化。共同配送では共同するメーカー数とエリア、それぞれ拡大を進めている。
原材料については、 第1に国産化推進に伴う新規の国内調達先の開拓 第2に安定供給に向けた直接取引の拡大 第3に資源循環スキームの推進 ――を挙げた。
原材料の国産化についてどこまで進めるかについては明確にしていないが、サプライチェーンの見直しの議論は進めているとした。資源循環については工場で発生する食品残渣を飼料化、肥料化への取り組みを段階的に進めている。
〈3年で国内150億円投資〉 2020~2022年度の中期計画では、脱フロン化については2020年度内にフリーザー3基を更新することで、当初計画通り、国内工場のフリーザーのフロン全廃を完遂する目途が立っている。これは業界に先駆けた取り組みとなる。
「脱フロン化は01年度にスタートし20年かけて進めた。この間、生産量は伸び、フリーザー数は47基から27基に減った。工場再編やライン集約による稼働率の向上のほか、さまざまな能力増強策で生産性を上げて資産を抑制する、アセットライトの具現化といえる」とした。
味の素グループでは冷凍冷蔵庫についても30年度までにフロンを全廃する基本方針だ。
環境面では原料・食品廃棄の削減、原料資源の有効活用、プラスチック廃棄物の削減にも並行して取り組む。
生産体制の再構築について、大きく2つの取り組みを挙げた。
1つは中長期の販売政策に対応した生産再編。国内の設備投資額は3年で総額150億円を予定する(なお、グローバル冷食事業を含めた、3カ年の設備投資は約390億円と過去最大級となる)。具体的には、主力領域(餃子・米飯・焼売)のライン増設・能力増強を行う。脱フロン化が20年度で完了することから、特に2021、2022年度には成長投資を増やす
人手不足が依然深刻なことから、工程の合理化、独自設備の開発、ICT活用など合理化投資も積極化する。
一部生産能力が不足するカテゴリーについては、国内外のパートナー企業を活用することでアセットライトにつなげる。
大きい2つ目のテーマとして、将来を見据えた国内外生産体制の再構築を掲げた。「国内では2018年度に、老朽化した四国第一工場を建て替え、第二工場に集約した。しかし、国内には複数工場で老朽化の課題が残っている。今中計内に将来の成長を見据えた最適生産体制を検討する」。
またタイ・中国の海外工場については「今後の国内外の販売戦略を踏まえ、両国での再編を今中計内に実施する」とした。
新組織の「生産統括室」については 〈1〉生産体制の再構築、特に国内7工場の再編検討 〈2〉生産におけるDX推進 〈3〉海外法人へ生産・開発技術の支援体制の整備・強化 ――を担うとした。
〈冷食日報2020年7月3日付〉