コロナのお金110番 会社と個人のお金、コロナからこうやって守れ!
(画像=AdobeStock)

(本記事は、八木 宏之氏の著書『コロナのお金110番 会社と個人のお金、コロナからこうやって守れ!』=アスコム、2020年5月23日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

税金は申請すれば1年間、納税猶予がある

コロナの影響で、所得税・相続税・消費税などの「国税」を一時(いっとき)に納付することが難しいときは、税務署に申請すれば原則として1年間、納税猶予が認められます

支払い期限が一時的に延長されるだけですが、当面のお金の心配が少しは減ります。

次の4項目すべてに当てはまる人は認められます(国税徴収法第151条の2など)。

①国税を一時(いっとき)に納付すると、事業継続や生活維持が困難になるおそれがある。
②誠実に納税する意思がある。
③猶予を受けようとする国税以外に、国税の滞納がない。
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書を提出(2019年分確定申告の納期限は20年4月16日以降に延長中で、提出日が納期限です。遅れて出す人は、申告書の右上余白に1行「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と書いてください)。

帳簿や売り上げが振り込まれる口座の通帳を税務署に見せれば、①納税にあてるお金がないことがわかりますし、②~④は言わずもがなです。次の「個別の事情」がある人は、損失額や出費がわかる資料を示して申し出れば、なお話が早くなります(国税通則法第46条2)。

【ケース1】 災害により財産に損失が出た。たとえば、コロナ患者が発生した施設で消毒作業がおこなわれ、備品や棚卸し資産を廃棄した。
【ケース2】納税者本人や生計を同じにする家族が病気にかかり、医療費などがかかった。
【ケース3】やむをえず事業を廃止または休止し、損失や費用が発生した。
【ケース4】利益の減少などで、事業に著しい損失をこうむった。
【ケース5】1~4のいずれかに該当する事実に類する(似たような)事実があった。

当てはまる人は、もよりの税務署に電話をして、必要な資料などを確認。その後に通帳などを持って税務署に出向き、その場で猶予申請書を書いて提出すればよいのです。

猶予中の延滞税は軽減または免除され、財産の差し押さえや換価(売却)も猶予されます。

税金を延滞するときはふつうは担保の提供が必要ですが、今回は担保不要です。事情によって、さらに1年の猶予が認められる場合があります。税務署で相談してください

住民税・固定資産税・自動車税などの「地方税」 は、次の措置がとられる予定です。

❶ 徴収の猶予制度の特例

収入が大幅に(前年同期比おおむね20%以上)減少した場合は、納付期限が20年2月~21年1月末の地方税の徴収を無担保、延滞金なしで1年間猶予。

❷ 固定資産税などの軽減

中小事業者などが所有する償却資産や事業用家屋にかかる固定資産税・都市計画税の課税標準を、20年2月~10月までの任意の連続する3か月の売り上げが前年同期比30~50%未満減った場合は「2分の1」、同じく50%以上減った場合は「ゼロ」とします。21年度課税の1年分に限ります。

「中小事業者などが、21年3月末までに生産性向上特別措置法に規定する認定先端設備などを取得したときにかかる固定資産税の課税標準を、最初の3年度分に限り、2分の1以下に」という特例措置の適用対象に事業用家屋などを追加するとともに、21年3月末までとなっている適用期限を2年延長しました。

❸ 自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長

自動車を購入したときに、税率を1%分軽減する特例措置の適用期限を6か月延長し、21年3月末までとします。以上、①~③の措置による減収額は、全額が国費で補塡(ほてん)されます。

コロナ110番 会社と個人のお金、コロナからこうやって守れ!
八木 宏之 (やぎ・ひろゆき)
企業再生コンサルタント 株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。 1959年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社に就職。債権回収業務で辣腕を振るい、社内2位の業績で表彰される。あらゆる手段を駆使して成績を上げたが、借金に苦しむ人々と接するなかで、回収業務に疑問を抱き退社。 1996年、借金などの債務に苦しむ経営者の立場にたった事業再生のコンサルティング、株式会社セントラル総合研究所を設立。自ら習得した回収業務のノウハウを逆手にとって金融機関と交渉し、合法的借金帳消し・企業再生を図る独自のシステムを構築。 2003年に上梓した著書『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスコム刊)は、シリーズ56万部を突破。自殺、夜逃げ、自己破産をせず、借金を帳消しにできる合法的裏ワザは話題になり、反響が殺到。「日経スペシャル ガイアの夜明け」(テレビ東京系)をはじめ、多数のメディアで取り上げられる。 現在も、「経営者と共に歩む」ことを使命に、中小企業再生のエキスパートとして活動している。今まで応えてきた相談件数は1万社以上。42歳で人口透析患者となる。2014年、腎臓移植手術を受け、免疫抑制剤が手放せなくなる。一刻も早いコロナの終焉を願っている。

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