【NFTの火付け役】クリスティーズがNFT部門を閉鎖

世界的なオークションハウスのクリスティーズが、NFT専門の部門を閉鎖し、デジタルアートの取り扱いを縮小する方針であることがわかりました。NFTは今後も販売対象として残りますが、独立した部門ではなく別部門の一部に統合される形となります。

同社は2021年にデジタルアーティストBeeple氏の作品を約6930万ドルで落札させ、NFT市場の拡大に大きな影響を与えました。その後も専用オークションプラットフォームの立ち上げやWeb3関連事業に積極的に関与してきましたが、足元の市場環境を踏まえて方針を大きく修正する決断に至ったとみられます。

今回の措置にあわせ、デジタルアートを担当する幹部を含む人員整理も行われています。一方で、デジタルアートスペシャリストとして勤務するセバスチャン・サンチェス氏はXで「クリスティーズのデジタルアート部門閉鎖という残念な知らせの後、多くのサポートに感謝している。私は引き続き同社に残り、過去3年間で築き上げてきたものを誇りに思う」と投稿し、今後も活動を続ける意向を示しました。

市場関係者の間では、今回の動きを「時代の変化に合わせた必然的な判断」と受け止める一方、「NFTがアートの正当な地位を失いつつある兆候」とみる見方もあります。コレクターの一部からは「従来の手数料体系が時代遅れになっている」との指摘があり、オンライン競合が手数料ゼロで展開するなかで、既存モデルの持続可能性に疑問を投げかけています。

NFT市場は直近で時価総額が回復基調にあるものの、クリスティーズの撤退はアート業界におけるNFTの存在感低下を象徴する出来事といえるでしょう。