矢野経済研究所
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フレッシュペットフード・ペットサプリメント市場規模(合算値)は引き続き2桁成長、2024年度は199億8,000万円、6年間のCAGR(年平均成長率)は20.8%の見込

~コンパニオンアニマル化によるペットへの健康意識の高まりから、新たなペットビジネスが活発化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の新たなペットビジネス市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業別動向、将来展望を明らかにした。ここではフレッシュペットフード、ペットサプリメント、ペットオンライン相談・診療について取り上げる。

フレッシュペットフードとペットサプリメント市場規模推移(合算値)

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1.市場概況

近年のペットを家族のような存在として捉えるコンパニオンアニマル化や、ペットオーナー(飼育者)のペットに対する健康意識の高まりから、従来にはなかった商品・サービスである新ペットビジネス市場が拡大している。ここではフレッシュペットフード、ペットサプリメント、ペットオンライン相談・診療について取り上げる。

フレッシュペットフードとペットサプリメントを合算した市場規模(事業者売上高ベース)は、2024年度は199億8,000万円となることが見込まれ、2027年度には370億7,800万円になると予測する。2021年度から2027年度までの6年間のCAGR(年平均成長率)は、20.8%と大きく伸長するものとみる。特に、フレッシュペットフード市場は前年度比で毎年2桁成長をしており、フレッシュペットフードとペットサプリメントの市場全体に大きく貢献している。

一方で、フレッシュペットフードでは、自動給餌器の利用者が多いことから猫用商品の投入が後発となっている。また、添加物不使用のため冷凍保存とする商品が多く、解凍の手間や冷凍庫のスペース、不在時の置き配ができないなどの取扱いの自由度の低さや高価格も課題である。ペットサプリメントでは効果効能を謳うことができないため購入につながりにくいことが課題として挙げられる。

2.注目トピック

ペットオンライン診療に関するガイドライン策定により、拡大が見込まれるペットオンライン相談・診療市場

ペットオーナー(飼育者)のペットに対する家族意識や健康維持・管理への高まりを受け、ペットオンライン相談・診療市場は、近年急速に成長している。これまでは、2022年6月に公益社団法人日本獣医師会によって定められた「愛玩動物における遠隔医療の適切な実施に関する指針」に基づき、関連事業者によるペットオンライン診療サービスの提供や検討が進められてきたが、2024年12月に農林水産省により「愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」が策定され、2025年度以降のペットオンライン相談・診療の拡大が期待されている。これにより、動物病院における相談の収益化や業務平準化、多くの新規ペットのかかりつけ獣医師としての地位獲得等といった経営課題解決とペットオーナーの通院に関わるストレスの軽減にもつながるものとみており、ペットオンライン相談・診療は獣医療サービス全体にも好影響を与えるものと考える。

3.将来展望

コンパニオンアニマル化に伴うペットオーナー(飼育者)のペットに対する健康意識の高まりから、新たなペットビジネスが上市されてはいるものの、ペットオーナー全体に浸透していない商品・サービスも多く、各分野における市場はまだ小規模である。ペット関連サービス事業者はペットオーナーのニーズを踏まえ、利活用しやすい商品・サービス開発やこうした商品・サービスの訴求活動をすることで、新ペットビジネス全体の拡大につながるものとみる。

フレッシュペットフードでは、これまで後発となっていた猫用フードや常温商品の開発、また実店舗展開を進め、ペットオーナーの多様化するニーズに対応することで、利用者の拡大が見込まれる。

また、ペットサプリメントでは、ペットオーナーが重視する獣医師によるサプリメントの推奨のほか、ペットショップでの情報提供、ペットオーナー同士の口コミなどを通じたサプリメントの有用性に対する認知拡大が進むことで、今後も緩やかな市場拡大が見込まれる。

ペットオンライン相談・診療では、2025年度の法改正により、対象項目やその範囲が明らかになることで、ペットオーナー、動物病院双方にとって理解が深まり、認知拡大が見込まれることから、動物病院におけるサービス普及とペットオーナーの利活用が期待される。

調査要綱

1.調査期間: 2024年10月~12月
2.調査対象: フレッシュペットフードメーカー、サプリメントメーカー、ペットテック事業者、遺伝子検査サービス事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<新ペットビジネスとは>
本調査における新ペットビジネスとは、フレッシュペットフード、ペットサプリメント、ペットサブスクリプションサービス(犬猫用の洋服や玩具などが定期的に送られるサービス)、ペットオンライン相談・診療、ペットのバイタルデータを管理する健康管理用IoT機器、ペット検査サービス、ペット関連商品を取り扱うECサイト、ペット同伴可の娯楽・レジャー、建材メーカー・住宅メーカーによるペット共生住宅など、従来にはなかった商品・サービスを対象とする。ここではフレッシュペットフード、ペットサプリメント、ペットオンライン相談・診療について取り上げる。

フレッシュペットフード:本調査におけるフレッシュペットフードとは、ペットフードのうち、人間と同等基準の国産食材、無添加、低温加熱調理したフードをさす。
ペットサプリメント:本調査におけるペットサプリメントとは錠剤、カプセル、粉末、スポイト状の液体など、通常の食事・フードとは別に、直接的、または食事・フードに混ぜるなどしてペットに与える、健康維持・増進が期待される食品を狭義のサプリメントとする。また、広義としておやつ形状(ジャーキー、ガム、ビスケット等)に機能性成分を添加したものも対象とする。一方、総合栄養食などの通常のフードに機能性成分を添加したものは対象外とする。
ペットオンライン相談・診療:​本調査におけるペットオンライン相談・診療とは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを用いて、遠隔地にいながら医師の診察・診断や薬の処方を行うことをオンライン診療、また医学的な情報提供や受診を勧めるといったアドバイスのみを行うことをオンライン相談といい、ペットにおけるオンライン相談・診療のことをさす。
<市場に含まれる商品・サービス>
フレッシュペットフード、ペットサプリメント、ペットサブスクリプションサービス、ペットテック・デバイス、ペット検査サービス、ペット住宅関連商材、ペット同伴可の娯楽・レジャー

出典資料について

資料名コンパニオンアニマル化で注目されるペットビジネスの新潮流
発刊日2024年12月27日
体裁A4 192ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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