数あるビジネスフレームワークの中でも、3C分析は手軽に取り組める分析手法だ。3C分析はさまざまな場面に活用できるため、経営者や起業家はぜひその使い方を学んでおきたい。自信のない方は、事例と合わせて3C分析のポイントやコツを確認していこう。

目次

  1. 3C分析とは?目的や進め方をわかりやすく解説
  2. ほかの分析方法とは何が違う?SWOT分析との関係性
  3. まずは身近な例でイメージをつかもう!恋愛をテーマにした3C分析
  4. 【事例その1】ZOZOTOWNの3C分析
  5. 【事例その2】スターバックスの3C分析
  6. 【事例その3】任天堂の3C分析
  7. 【事例その4】星野リゾートの3C分析
  8. 【事例その5】ロッテリアの3C分析
  9. 【事例その6】ニトリの3C分析
  10. 3C分析は何が難しい?事前に注意しておきたいポイント
    1. 1.正しい情報を十分に収集する必要がある
    2. 2.時間がかかり過ぎると、市場が変化してしまう恐れも
  11. 最後にチェック!3C分析で意識したい3つのコツ
    1. 1.無視できない情報に絞って収集をする
    2. 2.希望的な観測はしっかりと排除する
    3. 3.それぞれのCを意識しながら分析する
  12. 3C分析やフレームワークに関するQ&A
    1. Q1.そもそも3C分析とは?
    2. Q2.3C分析のやり方・書き方は?
    3. Q3.3C分析はなぜ必要?
    4. Q4.3C分析を行うメリットは?
    5. Q5.3C分析はいつ使う?デメリットはある?
    6. Q6.PEST分析とは? いつ使うもの?
    7. Q7.4P分析とは? いつ使うもの?
  13. ポイントやコツを押さえて、さっそく3C分析を実践してみよう
  14. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
3C分析
(画像=PIXTA)

3C分析とは?目的や進め方をわかりやすく解説

3C分析とは、企業の戦略マーケティングを考える際によく使われるフレームワークだ。その名称の通り、このフレームワークでは以下の「3つのC」から自社や事業を分析していく。

○3C分析で意識する3つの観点
・Customer…市場規模やターゲット層など、「市場」と「顧客」を分析する
・Competitor…シェアが1位の競合など、「競合他社」について分析する
・Company…強みや弱みなど、「自社の特徴」について分析する

戦略マーケティングに活用できるフレームワークには、ほかにもSWOT分析やPEST分析などがある。その中で3C分析が特に優れている点は、手っ取り早く自社の課題(成功要因)を発見できること。

3C分析では、3つのCを以下のように掘り下げることで、ビジネスの成功要因をわかりやすく把握できる。

3C分析とは

上記を見てわかる通り、3C分析で掘り下げるべき内容はそれほど専門的ではない。ひとつずつ丁寧に掘り下げれば、自社ビジネスの特徴を客観的に判断できるため、「これから何に取り組むべきなのか?」が明確になってくる。

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ほかの分析方法とは何が違う?SWOT分析との関係性

3C分析のほかにも、経営分析に役立つフレームワークは多く存在する。

3C分析とは

商品のブームや価格帯、競合他社が流動的な業界では、3C分析による判断が時代遅れになってしまう恐れがある。そのため、基本的には複数のフレームワークを組み合わせることが望ましい。

中でもSWOT分析は、3Cの各要素を深掘りしながら施策をブラッシュアップできる。時間に余裕がある場合は、そのほかのフレームワークも積極的に活用してみよう。

まずは身近な例でイメージをつかもう!恋愛をテーマにした3C分析

3C分析のイメージをつかむために、まずは恋愛をテーマにして実際に分析を進めてみよう。たとえば、現在公務員として働いているAが、以下のような状況にあったと仮定する。

・男性であるAは、魅力的な女性Cに恋をしている
・フリーターとしてアパレルショップで働く男性Bも、女性Cに恋をしている
・女性Cは一般的なOLとして働いており、オシャレな人が好きであるものの、結婚に対しては安定志向が強い
・女性Cは今すぐではなく、数年後に結婚相手を探したいと考えている

上記のデータをもとに分析をすると、3つのCは以下のように掘り下げられる。

3C分析とは

このように分析すると、男性Aが女性Cと交際をするために今後とるべき行動は、「焦って動かないこと」「少しずつ関係を深めること」のように見極められる。たとえば、女性Cに対して今すぐに告白をすると断られてしまうが、女性Cが結婚を意識し始めた頃に交際を申し込めば、成就する可能性が高いといえるだろう。

【事例その1】ZOZOTOWNの3C分析

ここからは、ビジネスの話に絞って3C分析の事例を学んでいこう。まずはひとつ目の事例として、ファッション通販サイトのZOZOTOWNを運営している「株式会社ZOZO」の3C分析を見ていく。

ZOZOTOWNのサービスとしての特徴を考えると、3つのCは以下のように分析できるだろう。

3C分析とは

ZOZOTOWNの競合ECサイトは、顧客の年齢層が低い傾向にある。そのため、若い女性向けのデザインやブランドを充実させることで、特定のターゲット層からの購買につなげている。

その一方で、ZOZOTOWNは幅広い年齢層に対応するために、さまざまなブランドやアイテムを取り扱っている。この戦略が功を奏し、ZOZOTOWNの平成29年3月期の売上高は、なんと763億円と圧倒的だ。

ほかのアパレルECと比べて平均年齢がやや高い点は弱点といえるかもしれないが、実はZOZOTOWNはサービス面を充実させることで、若年層ユーザーの流入を狙っている。支払い期限を最大2ヶ月後まで伸ばせる「ツケ払い」は、まさに若年層向けのサービスといえるだろう。

【事例その2】スターバックスの3C分析

次は飲食店の事例として、スターバックスの3C分析を見ていこう。

3C分析とは

スターバックスは競合他社に比べると、庶民的な店舗とはいえない。それでも、喫茶店・カフェの中では圧倒的な売上高を誇っており、2017年の売上高合計は1,700億円にものぼる。

これにはさまざまな要因があるものと考えられるが、その中でも「新作の提供」は非常に大きなファクターだろう。スターバックスは新製品の開発に力を入れており、過去には30代の大人向けの新作を提供することで、購買層の偏りを改善しようとしている。

このような取り組みによって注目を集めれば、「庶民的ではない」という欠点も補える可能性があるだろう。

【事例その3】任天堂の3C分析

ゲーム業界で有名な「任天堂」も、3C分析をすると効果的に差別化を図っていることが分かる。

3C分析とは

スマホやタブレットの台頭によってゲーム業界は大きく変化したが、現在でも任天堂はトップクラスのシェアを誇っている。中でも業績に大きく貢献したのは、2017年発売のNintendo Switchや人気キャラクター関連の商品だ。

任天堂は持ち前の開発力やブランド力を活かし、多角的な事業を展開している。注力分野はあるが、幅広い層に向けてさまざまな商品・サービスを提供しているため、今後も国内では業界トップクラスを維持すると予想される。

【事例その4】星野リゾートの3C分析

次は、日本全国に宿泊施設を展開する「星野リゾート」の3C分析を見ていこう。

3C分析とは

星野リゾートの特徴と言えば、周辺環境も含めた徹底したコンセプト設計である。景観を活かした雰囲気づくりに力を入れており、量産型のホテルや老舗旅館にはないムードを醸し出すことで差別化を図っている。

また、現場に裁量権を与えることで、各従業員による細やかなサービスを提供している点も星野リゾートの魅力だ。ほかの施設とは別方向の戦略を実践し、見事にコロナ禍を乗り切っている。

【事例その5】ロッテリアの3C分析

ハンバーガーチェーンの「ロッテリア」も、ほかの競合とは異なる経営戦略で長らく成功を収めている。

3C分析とは

ロッテリアは国内トップの企業ではないが、個性的な商品・サービスの提供によって業界3位のシェアを獲得している。中でも新商品は幅広い層から注目されており、「変わったメニューが食べたい」「斬新な味に興味がある」などのニーズに応えている。

また、駅構内の店舗ではテーブル設計を工夫することで、1人でも入りやすい雰囲気が演出されている。ニッチなニーズを拾い上げる点は、中小企業でも参考にできるポイントだろう。

【事例その6】ニトリの3C分析

次は、大手インテリアメーカーである「ニトリ」の3C分析を紹介する。

3C分析とは

ニトリが成功を収めている理由は、徹底したコストカットにある。同社は製造拠点を海外に移しており、さらに多くの商品をプライベートブランド化することで、中間マージンを大幅に削減した。

その結果、ニトリは「お、ねだん以上。」のコンセプト通り、高品質な製品を低価格で提供している。競合他社がよほど優れたビジネスモデルを構築しない限り、今後も業界トップを独走するだろう。

ESG
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3C分析は何が難しい?事前に注意しておきたいポイント

3C分析は比較的シンプルなフレームワークだが、実は効果的に活用することはそれなりに難しい。3C分析が失敗に終わるケースも珍しくないので、分析をする際には3C分析のポイントやコツをしっかりと押さえておくことが重要だ。

そこで以下では、特に注意しておきたいポイントをまとめた。

1.正しい情報を十分に収集する必要がある

3C分析では、少なくとも「市場(顧客)・競合・自社」の3つの情報を収集しなくてはならない。いずれの情報も分析に欠かせない要素であるため、まずは情報収集に力を入れるところから始める必要がある。

また、仮に収集した情報が間違っていると、その分析結果はあてにならない。ビジネスを成功に導くには、「正しい情報を十分に収集」したうえで、3C分析に取り組むことがポイントだ。

特に市場や競合など、外部のデータを収集する場合には、情報の信ぴょう性に注意しながら作業を進めていきたい。

2.時間がかかり過ぎると、市場が変化してしまう恐れも

戦略マーケティングはビジネスの今後を左右するため、「できるだけ分析に時間をかけたい」と考えている経営者は多いはず。しかし、3C分析にあまりにも長い時間をかけると、その間に市場状況が変化してしまうので要注意だ。

市場が変化すると、顧客のニーズや悩み、流行などはもちろん変わってくる。つまり、古い情報をもとに3C分析をすることになるため、効果的な戦略を立てることは難しい。

したがって、3C分析に取り組む際にはスムーズに行動を始めて、できるだけ早く分析結果と戦略を導き出す必要がある。

最後にチェック!3C分析で意識したい3つのコツ

ここまでの内容を踏まえて、3C分析で意識しておきたい3つのコツを見ていこう。

1.無視できない情報に絞って収集をする

正しいデータが必要だからといって情報収集に力を入れ過ぎると、分析に多くの時間がかかってしまう。すべての情報を追うことは不可能に近いため、基本的には「無視できない情報」に絞って収集を行うことが大切だ。

たとえば、業種によっては非常に多くの競合他社が存在するが、すべての競合のデータを集める必要はない。前述の事例でいえば、スターバックスにとってドトールやタリーズは重要な競合相手だが、街中にある小さなカフェや喫茶店などは脅威になる可能性が低いため、最初から除外しても構わないだろう。つまり、自社にとって重要なポジションにいる競合のデータのみ、効率的に集めていくことが求められる。

市場や顧客、自社のデータに関しても、すべての情報を集めきる必要はないので、取捨選択をしながらスムーズに情報収集を進めていこう。

2.希望的な観測はしっかりと排除する

3つのCの中でも「自社」を分析する際には、希望的な観測をしっかりと排除するべきだ。特に、業界内での自社の相対的なポジションを判断するときには、「ここが強みだったらいい」「決定的な弱みはないはず」などの希望的な観測が入りがちであるため、注意しておきたい。

前述の事例でいえば、たとえばスターバックスが「購買層の偏り」を自社の弱みと認識できなかった場合、「新作によって購買層を拡大する」といった策は生まれなかった可能性がある。自社分析に希望的な観測が入ると、どうしても効果的な戦略を立てづらくなってしまうのだ。

したがって、3C分析の中でも「自社分析」に取り組む際には、特に客観的な分析を意識する必要がある。

3.それぞれのCを意識しながら分析する

3C分析において、それぞれのCを切り離して分析することは基本的にNGだ。たとえば、自社の強み・弱みは、市場や競合他社とのバランスから明らかになってくる要素なので、ほかのCを切り離して分析することはできない。

つまり、3C分析ではそれぞれのCを意識しながら分析を進め、最終的には結果に「一貫性」を持たせる必要がある。うまく進まないときには分析をする順番を変えるなど、工夫をとりいれながら一貫性のある分析結果を目指していこう。

3C分析やフレームワークに関するQ&A

フレームワークを活用すると、内部環境・外部環境の客観的な分析によって、効果的な経営戦略を立てやすくなる。ただし、使い方を誤ると戦略の方向性がズレてしまうため、フレームワークは基礎から理解することが重要だ。

ここからは、3C分析やフレームワークの基礎知識をQ&A形式で紹介する。

Q1.そもそも3C分析とは?

3C分析は、企業のマーケティング環境を分析するためのフレームワークである。「Customer(市場、顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3要素を整理し、自社の強みや弱み、直面しているリスク、効果的な戦略などを見極めていく。

Q2.3C分析のやり方・書き方は?

3C分析では、最初に「Customer(市場、顧客)」の状態をマクロ的かつミクロ的な視点で整理する。次に市場分析などの結果をもとに、「Competitor(競合)」「Company(自社)」の強みや弱み、業界内でのポジションを明確にする。3つの要素を整理したら、最後に全体の分析結果をまとめて、自社がとるべきマーケティング戦略を打ち出していく。

Q3.3C分析はなぜ必要?

マーケティング戦略は、自社分析や市場分析の結果を踏まえて慎重に組み立てる必要がある。しかし、企業にはさまざまな内部要因・外部要因があるので、単に考えるだけでは効果的な戦略を打ち出すことは難しい。

その点、3C分析では整理するポイントを明確にできるため、客観的な判断が容易になる。ほかのフレームワークと組み合わせれば、さらに高精度なマーケティング戦略を立てられる。

Q4.3C分析を行うメリットは?

3C分析のメリットは、自社の強みや弱み、顧客層のニーズを把握できる点である。これらの内部要因・外部要因は、マーケティング戦略の策定において欠かせない情報と言われている。

効果的なマーケティングを策定できれば、経営資源が限られた中小企業でも他社との差別化を図りやすくなる。

Q5.3C分析はいつ使う?デメリットはある?

3C分析は、主にマーケティング戦略を策定する場合や、事業の方向性を調整したい場合に使用する。どのような業種でも有効なフレームワークであり、分析結果は経営の軸となるケースが多い。

ただし、主観的な判断が入りやすいため、分析をする者によって結果が変わるリスクがある。

Q6.PEST分析とは? いつ使うもの?

PEST分析は、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4要素を分析するフレームワークである。分析する点はいずれも外部要因であり、各要素が自社に及ぼす影響を把握・予測するために活用する。

なお、PEST分析に含まれない外部要因も存在するため、基本的には別のフレームワークと組み合わせることが望ましい。

Q7.4P分析とは? いつ使うもの?

4P分析は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(広告宣伝)」の4要素を分析するフレームワークである。自社製品やサービスの特性を見極め、効果的なマーケティング戦略を策定するために活用されている。

ポイントやコツを押さえて、さっそく3C分析を実践してみよう

3C分析は自社に足りない要素や、ビジネスの成功要因を手っ取り早く見極められるフレームワークだ。ただし、分析結果から効果的な戦略を導き出すには、本記事で解説したポイントやコツをしっかりと押さえる必要がある。

今後の戦略で悩んでいる経営者は、特に「客観性」や「一貫性」の部分を強く意識しながら、さっそく3C分析に取りかかってみよう。

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文・THE OWNER編集部

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