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創業からこれまでの事業変遷と貴社の強み
ーー創業からこれまでの事業の変遷、そして現在の強みについてお話しいただけますか?
カトープレジャーグループ 代表取締役グループ代表・加藤 友康氏(以下、社名・氏名略) 弊社は、私の父が昭和37年に創業し、今年で62年目を迎えます。父が62歳で急逝したことで、私は大学を卒業したばかりの22歳で会社を継ぐことになりました。
私が引き継いだ当時、会社の年商は3億円程度で、しかも債務超過の状態でした。小さな組織でしたが、「このままでは終わりたくない」という思いから、まずは借金を整理し、事業の基盤を立て直すことに尽力しました。当時の目標は「年商30億円」。論理的な根拠はありませんでしたが、「10倍を目指そう」という強い思いを持っていました。
ーーそこからどのように事業を拡大されたのですか?
加藤 24歳の時に「つるとんたん」の1号店を大阪・宗右衛門町に開業しました。父が香川県出身で、生前から「香川の美味しいうどんを多くのお客様に届けたい」と話していたことがルーツです。当時のうどん業界では、腰の強い麺やしっかりとした出汁の提供は珍しく、これを大阪の飲食文化と融合させたことで、大きな成功を収めました。
さらに事業を拡大する際に、「加藤商事」という社名では限界があると感じ、新たなブランドイメージを確立するために「カトープレジャーグループ」へと名称を変更しました。
これにより、「日本のレジャーをもっと楽しく!」をテーマとし、ホテル、リゾート、レストラン、エンターテインメント、リバークルーズなど、多岐に亘る事業の開発や運営を手掛ける企業としての方向性を明確に打ち出しました。
ーー「つるとんたん」の成功は、うどんという素材を超えてブランドとしての確立に繋がった印象を受けます。その背景を詳しく教えてください。
加藤 つるとんたんは単なる「うどん屋」ではなく、「お客様にとって新しい体験の場」を作ることを目指しています。そのため、店のデザインから内装、音響、提供する器に至るまで徹底的にこだわりました。一例として、六本木の店舗では通常の飲食店では考えられない設計をしています。こうした設備には数億円単位の投資が必要ですが、それがブランドの差別化と持続可能性を支えています。
さらに、私たちは「店舗数のスケール化」を慎重に管理しています。つるとんたんの店舗数は13店舗を上限とし、それ以上拡大しないという決断をしました。高単価での安定した運営を維持するため、適切な規模感を保つことが重要だからです。
ーー近年ではリゾート事業の展開も目覚ましいですね。「ふふ」をはじめとする高級リゾートの開発における哲学について教えてください。
加藤 リゾート事業において重要視しているのは、「地の力」を活かしたストーリーの構築です。例えば、河口湖にある「ふふ」は、全室から富士山を眺められる特別な設計にしています。また、客室と自然との融合を図るため、地元で採れる石や木をインテリアに取り入れ、地域性を反映させています。
同様に、日光の「ふふ」では、田母沢御用邸記念公園に隣接し、歴史と文化を感じる空間作りを活かし、和洋折衷の美を現代に蘇らせるデザインを採用しました。これらの要素が一つになり、宿泊者に「唯一無二の体験」を提供できるのです。
ーー貴社のビジネスモデルには、加藤代表自身のプロデュース力が深く関わっているように感じます。
加藤 私たちは単なる受託型ではなく、「リスクを負いながら責任を全うするプロデュース型経営」を貫いています。これは、依頼主に収益保証を約束する代わりに、我々自身がそのプロジェクトにコミットし、成功に導くスタイルです。この姿勢が信用を築き、新たな事業機会を生み出しています。
さらに、私たちの強みは、単なるビジネスモデルではなく、「お客様の喜び、感動するものを提供する」という原点にあると考えています。そのために、地域の特性を深く掘り下げ、全プロジェクトで異なるデザインやコンセプトを追求することが欠かせません。
これまでぶつかってきた課題や変革秘話
—— これまでに直面してきた課題や変革の秘話についてお伺いしたいと思います。
加藤 そうですね。私たちはこれまで、バブル崩壊や阪神淡路大震災、リーマンショックなど、さまざまな困難に直面してきました。特に、東日本大震災の時には東京への出店を進めていた時期で、非常に大変な状況でした。しかし、経営者として常にリスクを意識し、有事にどう対処するかが重要だと考えています。
私たちの会社はオーナー企業であり、私はほとんどの株を所有しています。そのため、権利とともに義務もあると考えています。関西の財務部門に連絡し、個人資産を含めてどのくらい持ちこたえられるかを確認しました。家族にも協力をお願いし、家を売る覚悟で臨みました。家族の支えがあったからこそ乗り越えられたと思っています。
—— コロナ禍は特に大きな試練だったのではないでしょうか。
加藤 コロナはこれまで経験した中で最大のピンチでした。父親から受け継いだカトープレジャーグループの強みは現金商売にありますが、コロナではそれが通用しませんでした。しかし、これも素晴らしい教訓となりました。 社内外で「命を懸けてやる」と宣言し、雇用調整助成金の支援や金融緩和の背景もあり、なんとか雇用を守り乗り越えることができました。
—— 新規事業についても止めたくないという思いがあったのですね。
加藤 はい、新規事業も継続したかったです。素晴らしいパートナーの方々に恵まれ、「止める必要はない」と言っていただけたことも大きかったです。命を懸けてやることと、雇用を守ることを宣言したことが、結果的に大きな価値を生んだと思います。
—— そのような信頼関係を築くことができた秘訣は何でしょうか。
加藤 私は「裏切らない、逃げない」という信念を貫いてきました。すべての事業において整合性を保ち、信頼を築くことが重要だと考えています。
今後の事業展開や新規投資領域
ーー今後の事業展開や新規投資領域について教えてください。
加藤 まず、息子たちには、カトープレジャーグループはオーナー企業であることを理解させ、権利と義務を継承させるつもりだと伝え続けておりました。
特に長男は小学4年生の頃から、「お父さんと同じ仕事がしたい」と経営に対する意欲を示していたため、大学を卒業してからいくつかのプロジェクトで経験を積んでもらいました。うまくプロジェクトはこなせていましたが、勝利することが重要であるということを理解しているとは思えませんでした。
そこで、コロナ禍が良い転機と捉え、困難を乗り越える力を養うために、彼を社長に任命しました。彼は、それ以降新規事業を止めずに、組織改革を進め、単年度で黒字化することも目標にしています。
特に新規事業として、ブランデッドアセットセールスプロジェクトがあります。これは、ホテルを大口投資家に買ってもらうビジネスや、共有持ち分でホテルコンドタイプのものを持ってもらうビジネスです。また、伊豆「赤沢温泉郷」の事業権の取得も行いました。これからは、物販流通も事業領域として展開していく予定です。
彼が続けられる限り、百年の企業になると信じています。今後も、新しいビジネスモデルに取り組んだり、地方創生にも取り組んでいく予定です。
メディアユーザーへ一言
—— 経営者やメディアユーザーの方々に向けて、一言いただけますでしょうか?
加藤 メディアをご覧になっている方々の中には、多くの富裕層の方がいらっしゃると思います。カトープレジャーグループが運営する施設には延べ780万人ほどのお客様に来ていただいていますが、特に富裕層の方々には今後の新規事業に関するアセットを持っていただき、別の形でも当グループを楽しんでいただければと思います。
また、経営の観点から色々な業界、業態の中でヒット作を出していくためにはオリジナリティが必要となり、特にオーナー企業は今日本の課題となっている国際競争力を牽引する強さを持っていると思っております。
ぜひ一緒に日本を盛り上げていきましょう。
- 氏名
- 加藤 友康(かとう ともやす)
- 社名
- カトープレジャーグループ
- 役職
- 代表取締役グループ代表