ベトナムのICTリーディングカンパニーであり、Preferred NVIDIA Cloud Partner(以下、NCP)であるFPTコーポレーション(以下、FPT)は、日本における次世代GPUクラウドソリューション「FPT AI Factory」(以下、AI Factory)の立ち上げを正式に発表し、11月13日から順次販売を開始した。11月12日に行われた記者発表会では、「AI Factory」の概要および日本市場での事業戦略について説明した。
「当社は、中長期的な戦略的強化分野として、グリーントランスフォーメーション(GX)、自動車、デジタルトランスフォーメーション(DX)、AI(人工知能)、半導体の5つを挙げている。特にAIは、成長の中心的なエンジンであり、当社が最も力を入れている分野となる」と、FPTジャパンホールディングス CEOのド・ヴァン・カック氏が挨拶。「日本企業にとってAIは、レガシーシステムのモダナイゼーションや信頼性の高いIT部門、新しいビジネスモデルの創造、そして顧客体験の向上に貢献できると考えている。当社は今年4月にNVIDIAと包括的な戦略的パートナーシップを締結しているが、これはAI分野に対する強いコミットを示すものだ。今回、このコミットメントを日本市場に拡大することを正式に発表した。今後、日本企業がNVIDIAの先進GPUテクノロジーを活用できるように支援し、AIトランスフォーメーションの取り組みを一緒に推進していく」と、日本市場で本格的にAI事業を展開していく方針を示した。
続いて、FPTコンサルティングジャパン CEOのグエン・フウ・ロン氏が、AI市場の現状と日本での事業展開について説明した。「世界のGPU市場は、生成AIや機械学習などの採用によって急激に拡大している。昨年の市場規模は565億米ドルとなり、2032年までに7877億米ドルに達すると予測されている。一方、日本のGPU市場規模は、昨年は7億7000万米ドルにとどまっているが、日本を含むアジア太平洋地域は世界で最も急成長している市場であると見られている。特に日本市場は、今後大幅な成長が期待されている。そこで今回、日本におけるさらなるAIの普及拡大を支援するべく、『AI Factory』のサービス提供を開始する」と、日本市場で「AI Factory」を立ち上げる背景を語る。「当社のAIファースト戦略では、グローバルなAI人材とAI専用インフラに加え、各企業との戦略パートナーシップによって、最先端のAI技術を提供している。そして、『AI Factory』を通じて、NVIDIAのGPUテクノロジーをクラウドで提供すると共に、そのインフラ上でアプリケーション開発サービスやソリューション、コンサルまでフルスタックのAIサービスを展開していく」と、日本でのAI事業拡大に意欲を見せた。
「AI Factory」のソリューション概要については、FPTスマートクラウド CEOのレ・ホン・ヴィェト氏が紹介した。「『AI Factory』は、各企業のデータ、知識、文化を活かして自社だけの専門的AIを実現するための次世代GPUクラウドソリューションとなっている。NVIDIA認定の高性能インフラ、プラットフォーム、AIアプリケーションを包括的に備えており、数千基のNVIDIA Hopper GPUと次世代GPUを搭載し、最新のNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームで強化されている」とのこと。「『AI Factory』は、NVIDIAのGPUテクノロジーを活用した『AIインフラストラクチャ』と、その上でAIモデルの構築や推論を行う『AIプラットフォーム』、そしてAIエージェントの構築を行う『AIエージェント』の3つのレイヤーで構成される。これによって、自社の問題を解決する独自AIを簡単に構築し、AIのパワーを容易に活用できるようになる」と、AI製品ライフサイクル全体をサポートする包括的なソリューションなのだと力説する。
「『AIインフラストラクチャ』では、最高のパフォーマンス、柔軟性、スケーラビリティを備えたエンタープライズグレードのGPUクラウドサービスによって、AIモデルの開発デプロイを加速する。また、『AIプラットフォーム』では、『AIスタジオ』と『AIインファレンス』の2つのプラットフォームを用意している。『AIスタジオ』は、AIモデルの構築、事前トレーニング、微調整のための一連のスマートツールとサービスを提供する。『AIインファレンス』は、デプロイとスケーリングのための高性能モデルの幅広いコレクションを備えている。『AIエージェント』では、ビジネス知識、データ、文化に基づいた多言語対応のAIエージェントを作成・運用可能な最新鋭のプラットフォームを提供する」と、各レイヤーの機能やサービスを詳しく教えてくれた。
「『AI Factory』を日本で提供するにあたっては、データのプライバシーやセキュリティを考慮して、日本国内にデータセンターを構築した。また、セキュリティに関する標準的な資格も習得し、日本の顧客に安心して使ってもらえるようにしている。さらに、日本市場における開発・運営に向けて、さまざまな企業と戦略的パートナーシップを締結している」と、日本企業が懸念するセキュリティ対策についても万全であると強調する。「『AI Factory』の日本での運用開始は、来年2月15日を予定しているが、今回の発表にともない先行予約注文を開始している。予約注文では、特別料金で『AI Factory』を活用することができ、クラウドクレジットでAI製品およびクラウドサービスの全ラインアップにアクセスすることができる」と、先行予約でいち早く「AI Factory」を体験してほしいとアピールした。
最後に、パートナー企業を代表して、SCSKの小峰正樹氏が挨拶した。「当社は、日本国内に高いセキュリティを有したデータセンターを複数所有している。今回、重要なパートナーであるFPTが日本国内で『AI Factory』をローンチするにあたり、当社のデータセンターを活用することとなった。当社のデータセンターは、NVIDIAのGPUサーバーを稼働するための高い冷却能力を備えていることに加え、FPTが目指すソブリンAIクラウドをセキュリティ面で支援できると考えている。『AI Factory』でのコラボレーションを通じて、今後、FPTと共に新たなITサービスや事業の開発に取り組んでいきたい」と、日本で展開される「AI Factory」への期待を述べた。
FPTジャパンホールディングス=https://fptsoftware.jp/
SCSK=https://www.scsk.jp/