ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介
デモンストレーションを披露するドーモ プレジデントジャパンカントリーマネージャー 川崎友和氏

クラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモは10月9日、日米合同の事業戦略発表会を開催した。発表会では、Domo創業者兼CEOのJosh James(ジャシュ ジェイムズ)氏がグローバル戦略を発表した他、ドーモ プレジデント ジャパンカントリーマネージャー 川崎友和氏が、日本企業の全社データ活用推進に向けた新たな事業戦略「パートナーエコシステムの強化」や全社データ活用推進に向けた施策の強化「Domo.AI」「人材育成プログラム」および「新たな価格帯の効果」などDomo Japanの今後の事業戦略方針について語った。また、「Domo」の活用事例発表として、島津製作所が実践する、DX人材育成法と全社データ活用の成功法や、コアビズボードによるデータ活用人材育成プロジェクトについて発表した。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介
Domo創業者兼CEOのJosh James(ジャシュ ジェイムズ)氏

「当社は、日本のリソースへの投資やマネジメントチームの活躍によって、多くの引き合いがあり、ビジネスは好調に推移している」と、ジェイムズ氏が挨拶。「グローバルにおいては、プロダクト主導の成長として自律的にできるものを提供していく」と、ユーザー数に対して課金するサービスではなく、利用した分だけ課金されるサービスの構築によって、多くのユーザーの満足度向上に務めていると力説する。「当社では、戦略的イニシアチブとして、『プロダクト主導の成長』、『エコシステムの1年』、『AI』を掲げている。プロダクト主導の成長については、無料でユーザー数無制限とし、機能の発見のしやすさとセルフサービスをキーと捉えている。また価値に見合ったコストを設定している。エコシステムの1年については、新たなビジネスチャンスへのアクセスと共に、自由で柔軟なパートナーシップの形成を図っていく。また、ビジネスを効率的に拡大していく。AIにおいては、AIを活用したデータとの会話や誰でも使えるユニバーサルモデルの提供、自由なAIモデル選択を推し進めていく」と、同社のビジネス戦略について紹介した。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介
ドーモ プレジデントジャパンカントリーマネージャー 川崎友和氏

次に、川崎氏がDomo Japanの事業戦略方針について発表した。「昨年はデータの解放から進化する組織へ変貌をとげ、今年はデータ+AIを駆使して進化した組織の旅をテーマとして掲げている」と、同社のビジネスモットーについて語る。「今年のテーマの実現には、全社データ活用の徹底的な推進と、組織、人、オペレーションの変革が鍵となる。そこで当社では、全社員がビジネスの今を知るデータの活用や人材の育成サポートを行うことで、クライアントの組織の権限委譲や戦略的人事のオペレーションを可能にしていく」と、組織、人、オペレーションが変革することでビジネス成長につながるのだと訴える。

「調査によると、DXを推進する人材が充足していると回答した日本企業は10.9%であるものの、DXへの取り組みで成長が出ていると回答した企業は58%と意外と高い。しかし、世界における日本企業のデジタル競争力は64ヵ国中63位と低い」と、世界の中で日本は取り残されている状況だと嘆く。「これには、点在したデータの管理や利用ユーザー数の拡張、データ人材不足、定着までのプロセスといった課題が挙げられる。そこで、当社では、『DOMO.AI』によって、パートナーエコシステム、コンサンプションプライシング、人材育成プログラム、アダプションフレームワークの4つの事業戦略についてデータ活用を強力に推進していく」と力説する。「まず、ユーザーが使いやすいセキュアなAIを提供することで、機械学習から外部、独自のLLM(大規模言語モデル)含めそれらを適切に管理し、機能させて、AIの価値を最大化する」とのこと。

「パートナーエコシステムにおいては、データガバナンスを維持し、コスト最適化されたインフラ構成の提供を可能とする」と、各種クラウド基盤とのプラットフォーム連携を図るという。「コンサンプションプライシングでは、ユーザー数無制限の利用料ベースの課金モデルを構築。コンサンプション切替後のユーザー増加率は128%を記録した」と、多くのユーザーから支持を得ていると説明する。「人材育成プログラムにおいては、企業のデータ活用を失敗させない新たな役職『データアンバサダー』を提案。レベルに応じた研修設計や人材育成の目標を設定したトレーニングを行っている」と、毎朝のデータアンバサダートレーニングは公開後2日で満席になり、席数を倍にしてもなお満席になる人気ぶりだと紹介。「アダプションフレームワークでは、全社展開のフレームワークを活用した支援を行う」と、効率的な全社展開とデータ活用の人材の定着化を確実に実現させていくと訴えた。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介
島津製作所 DX・IT戦略統括部DX戦略ユニットの山川大幾氏

「Domo」の活用事例として、島津製作所 DX・IT戦略統括部DX戦略ユニットの山川大幾氏が、同社が推進するデータ活用と人材育成について発表した。「当社は、Domoを2019年から導入。導入理由はデータに基づいた製造を行いたかったからで、棚卸在庫の削減などに寄与し、利用者も拡大した。しかし2022年10月にビジュアルはきれいなものの使われなくなり、ダッシュボードも多数で成果につながっていないことがわかった。そこで、人材育成を行うことで利用者を拡大させることにした」と、Domoの導入から今日までについて紹介する。「人材を育成するために、マネージャーの勘や経験、度胸に依存したものから、データ活用で業務改善を解決するべく、SCM担当者とDX、Domoとの三位一体で課題解決に向けた活動を実施した」と、SCM担当者を手本とした人材育成プログラムの開発に着手したとのこと。「その結果、月間の業務工数を51時間削減し、全社改善大会で大賞を受賞した」とのこと。「この背景には、SCM担当者が業務に向き合うことでデータ活用が加速。このSCM担当者の役割をビジネスアナリストと命名することで研修を企画した」と、SCM担当者をモデルに人材育成の研修プログラムを確立したという。「研修では、データ活用の在り方を設計し、運用業務高度化を狙い、ビジネスアナリスト研修を実施。業務設計の品質を担保するためのデータ可視化に関する理論的な知識の習得とケーススタディを実施し、その後実践編へとレベルアップさせた」と、即座に実践アウトプットすることで内容の定着化を図ったと説明する。「研修参加者が終了後も活動継続しているかをトラッキングすることでフォローアップを検討するなど、常に改善を図っている」と、会社の方針と合わせた人材要件定義や研修、相談会などの支援を整備し、仕組み化。これをモニタリング、チェックシート、アンケートで改善していると教えてくれた。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介
コアビズボード 代表取締役でドーモのコンサルタントを務める八木幹雄氏

コアビズボード 代表取締役でドーモのコンサルタントを務める八木幹雄氏が、Data Ambassador Training Projectについて説明した。「デジタル人材不足を補うためのSaaSやガイドライン文書は整備されてきたが、それを自社に適合させる社内展開の領域は未だ情報が少ない」と、日本企業のデジタル人材育成に関する課題を提示する。「経営層は、勝ち筋が見えないものには本気になれない。勝ち筋を見せるためには関係者を巻き込み、“経営層の視点でロードマップ”を示さなくてはならないが、それを主導する人がいない」と、社内展開に関する課題も浮き彫りにする。「データアンバサダーとは、組織横断的に橋渡しの役を担い、“データの民主化を推進し、企業文化として根付かせる人”と定義する」と、データアンバサダーの必要性を説く。「島津製作所との取り組みでは、特定の1人に向き合い、成功体験を獲得し、横展開の効率化を図る一般的なアプローチを着実に遂行した」とのこと。「島津製作所では、DX担当者および他社で同じ役割を担った人の活動に関するベストプラクティスを体系化。中期経営計画との連携、ロードマップのサンプル共有から、案件管理、保守運用、研修設計、統制強化、監視、啓蒙活動などを含めた活動推進方法までを、1日のクラスルーム型研修で提供した」と、データアンバサダー養成講座を実施していると紹介する。「島津製作所、およびその他トライアル企業で提供しているデータアンバサダー研修も提供を開始。関連書籍も10月9日に発刊した」と書籍も販売するという。「人材育成における重要なポイントは、ロール定義と構成比と考える。Domoは製品だけでなく、人材育成にも積極的に関与し、ユーザーのデータジャーニーに伴走していく」と、Domoの先進的な機能と社内ノウハウを掛け合わせることで人材育成に関与していくと述べていた。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介

ドーモは、DX推進を成功に導く人材を育成する「データアンバサダー養成講座」を含む包括的な人材育成プログラムの提供を開始したことを発表した。これまでドーモは、顧客企業のデータ活用人材の育成に取り組んできたが、顧客企業のDX推進における課題やニーズを踏まえ、データ活用人材育成に必要なノウハウやスキルを整理・体系化したという。

具体的には、企業の全社データ活用を展開していくための推進力となる人材を育成するために顧客企業に向けて「データアンバサダー養成講座」を実施。この講座では、データアンバサダーの役割について理解を深めるとともに、実例を踏まえた戦略・戦術の基本を学ぶ。また、中期経営計画との連携、ロードマップのサンプル共有、案件管理、保守運用、研修設計、統制強化、監視、啓蒙活動などを含めた活動推進方法を1日のクラスルーム型研修で実施している。

ドーモ、データ活用プラットフォーム「Domo」による全社データ活用を促すパートナー戦略や人材育成プロジェクトなど紹介

ドーモでは、このデータアンバサダー養成講座を含め、包括的なデジタル人材育成プログラムを提供。プログラムでは、データ人材を育成するまでのステップや目標のレベルにたどり着けるまでの所要期間、そして、各ロールの定義からその構成比率を検討していく。さらに、顧客企業はDomoを活用して従業員の受講状況や学習効果の分析をすることができるとのこと。従業員の成長過程を把握して、誰も躓くことなく、自走できるまで伴走する仕組みを作り上げているという。

ドーモ=https://www.domo.com/jp