山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントの記念撮影

山梨県は、スタートアップやものづくりといった枠組みにとらわれず、幅広い分野での新事業の創出や成長・飛躍を支援する新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」を9月25日から始動した。同日には、アミューズヴィレッジ(富士河口湖町)で新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」のキックオフイベントを開催した。また、同イベントに合わせて、山梨県内新事業メディアツアーが行われ、東京・渋谷から山梨へ移転したアミューズの本社施設「アミューズヴィレッジ」を見学した他、西湖にオープンした新たな食体験ができる複合型レストラン「Restaurant SAI」、山梨を拠点にドローンを活用した新スマート物流「SkyHub」を展開するNEXT DELIVERYを視察した。

新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」は、新たな事業が次々と生まれる「挑戦に近い山梨」の地位を確固たるものにするため、スタートアップやものづくりといった枠組みにとらわれず、幅広い分野での新事業の創出や成長・飛躍を支援する新たな仕組み。県が実施する支援策はもとより、外部のさまざまな支援機関とも有機的に連携し、 山梨県・支援機関・金融機関が持つ支援リソースを持ち寄り、組織の枠を超えて支援を行う場として、同プラットフォームを始動するという。各機関の個々の支援にとどまらず、組織の枠を超えて新たな事業が成長できるように伴走支援を行っていく。また、同プラットフォームの推進とその取り組みについての情報発信を積極的に行うことで、あらゆる挑戦者と支援者がつながり、新たな価値を生み出し続けるイノベーション・エコシステムの形成を目指す。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
山梨県知事の長崎幸太郎氏

9月25日に開催されたキックオフイベントには、山梨県知事の長崎幸太郎氏が出席。イベント開会の挨拶では、「これまで山梨県では、県内外の挑戦者による数多くの実証実験を誘致し、手厚い支援を通じて、県内各地で意欲的な新事業が展開してきた」と実証実験サポート事業を紹介した上で、「この取り組みをさらに進化させ、スタートアップや『ものづくり』といった枠組みにとらわれず、山梨県を支えるあらゆる挑戦を支援する」と、新事業共創プラットフォーム「TRY! YAMANASHI!」のキックオフを宣言。「このプラットフォームを通じて挑戦者と支援者がつながることで、山梨から新たな価値を生み出し続けるイノベーション・エコシステムの構築を目指していく」と今後の目標を語った。

続いて、 山梨県忍野村でレストラン「notori」を運営するシェフの堀内浩平氏、兄でソムリエの堀内茂一郎氏と、障害のある人が共に働き価値を生み出せる社会を目指し県内でさまざまな事業を展開するKEIPE 代表取締役の赤池侑馬氏を招き、ピッチとトークセッションを行った。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
KEIPE 代表取締役の赤池侑馬氏

山梨県で新たな事業にチャレンジした理由について、赤池氏は、「大自然に囲まれた故郷の山梨県に貢献したいという思いから挑戦した。山梨県には若者のチャレンジを応援する文化があり、新事業を始めやすい環境が整っている。そして、山梨県でしかできない事業が多くあり、都会とは異なる事業開発が可能だから」と語った。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
左から:「notori」ソムリエの堀内茂一郎氏、シェフの堀内浩平氏

堀内浩平氏は、2021年に料理人コンテスト「RED U-35 2021」でグランプリ(RED EGG)を受賞し、国内外の有名レストランで活躍したのち、現在は忍野村でレストラン「notori」を運営している。山梨県でレストランをオープンした理由について、「料理を始めた当初は都会で店舗を展開しようと考えていたが、自分らしい料理を作りたいと思ったときに、地元である山梨県の食材を使って料理を表現したいと思ったのがきっかけ」と語り、山梨県での事業展開をサポートする魅力を強調していた。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
左から:KEIPE 代表取締役の赤池侑馬氏、「notori」シェフの堀内浩平氏、ソムリエの堀内茂一郎氏

今後、 山梨県でチャレンジする人を増やしていくためには、地域企業や地域住民の協力が不可欠となる。その中で、赤池氏は山梨県の地域企業や地域住民とどのように連携していきたいかという展望について、「山梨県で多種多様な人々がチャレンジできる環境を大切にし、病気や障害があるから挑戦できないのではなく、その中でできることを組織、地域、企業が連携してサポートすることが大切。そして、『連携する』という言葉をキーワードに、地域全体で支える環境を作ることが重要だと思う」との考えを示した。また、堀内氏は「今後、新しい店舗を展開して地域の雇用を増やしていきたいと考えている。まずは自分たちの周りから還元し、それを広げていくことが理想。その挑戦を企業の人々にサポートしてもらうことが大切だと思う」と話していた。

そして、「TRY! YAMANASHI!」のキックオフイベントに合わせて行われたメディアツアーでは、今回のイベント会場としても使われた「アミューズヴィレッジ」の施設を見学した。2021年にアミューズが東京・渋谷から山梨・西湖に本社移転し、新たな拠点として創設したのが「アミューズヴィレッジ」とのこと。開放的な「レイクオフィス」は、都心では実現できない広々とした余白のある家具配置と、関係を問わず自然な コミュニケーションが醸成される動線をつくり、さまざまな人が交錯し、アイデアが生まれるきっかけとなる場所を提供している。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
ネオンアート

「レイクオフィス」の1階にはギャラリーも併設。ネオン・アーティストのWAKU氏による象徴的な「It's coming soon」のネオンアートを始め、感性を刺激するアートを鑑賞することができる。ギャラリーは、光をコントロールした吹き抜けの空間によって没入感と時間を感じられる空間となっている。WAKU氏の他には、植竹雄二郎氏、中西伶氏といった若いアーティストの個性あふれる作品も展示されていた。

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撮影スタジオ

所属アーティストのインスピレーションを形にし、モノづくりを促進する環境施設としては、写真・動画・配信系SNS撮影が可能な「撮影スタジオ」を用意。幅6.6m、奥行6mの白ホリゾント空間とグリーンバックスペースを有し、LEDライトやストロボ、各種スタンド、レフ板などの常設機材も完備した機能性の高いスタジオとなっている。さらに、メイクルームも備えている。「レッスンルーム」は、ダンスや舞台稽古、トレーニングなどさまざまな用途に使うことができる。床の素材にもこだわり、膝にやさしいクッション性を有している。調光調色が可能な照明システムを採用し、レッスン中の動画撮影など多様な演出にも対応できるという。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
「TAI-IKU-KAN」

また、もともと体育館として使われていた建物をリノベーションした「TAI-IKU-KAN」を設置。高い天井を活かした開放的なラウンジ空間となっており、室内には、リメイクした家具や象徴的な暖炉、キッチン、シアターブースなどが置かれ、 コミュニケーションを促進すると共に快適に仕事ができる環境を実現している。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
コンビネーション遊具

この他に、富士山麓の大自然と広大な敷地を活かした屋外施設として、キノコの世界をモチーフにしたコンビネーション遊具を設置している。高さ10m、述べ約450m2の3段のフロアーには巨大チューブ滑り台、ネット遊具、クライミングウォール、吊り橋、ブランコなどの遊びのアイテムが数多く配置されている。地元の子どもたちの遊び場としてだけでなく、エンターテインメントの場、社員やアーティストのアイデア創出の場など、今までにない新しい形の屋外施設となっている。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
「Restaurant SAI」

次に訪れたのは、今年6月に 山梨県西湖にオープンした複合型レストラン「Restaurant SAI」。シェフであり猟師でもある豊島雅也氏が料理長を務め、「奥・山梨料理」をコンセプトにした新ジャンルのガストロミーを提供している。調理の基本は「薪火」とのこと。さまざまな火力を操りながら、富士北麓のジビエ、キノコ、山菜、高原野菜、淡水魚などの食材の深い味わいを引き出す。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
コースランチの一品

焚付けとなる樹木にも富士山に自生する植物や樹皮を香りによって使い分け、スープのブイヨンやスパイスにも天然の葉や芽を使うなど、「生きとし生けるものをすべていただく」発想で挑んでいるという。ペアリングには、 山梨ワインだけでなく、県産の日本酒やクラフトジン、クラフトビールなど多彩な組み合わせを用意している。通常はディナーのみのオープンとなるが、メディアツアーでは特別メニューとしてコースランチを堪能することができた。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
ドローンによる配送の様子

最後に、山梨を拠点とし、既存のトラック配送にドローン配送を組み合わせた新スマート物流「SkyHub」を全国展開しているNEXT DELIVERYを視察した。「SkyHub」は、物流各社が地域内に持ち込む荷物(主に宅配便)を配送拠点「ドローンデポ」に集約し、配送密度の高い市街地をトラックで、密度の低い過疎地をドローンで配送するハイブリッド運送モデルとなっている。NEXT DELIVERYでは、空き家をリノベーションした施設を活用し、山梨から全国10ヵ所のドローン配送を遠隔運航しているという。

山梨県、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」キックオフイベントを開催、県内新事業のメディアツアーも実施
ドローンを遠隔監視・運航する様子

ドローンには、日本発の物流専用ドローン「AirTruck」を採用。荷物の上入れ下置きの機構を搭載し、機体の理想重心付近への荷物の最適配置によって荷室の安定化を実現している。また、機体前傾時も荷室は水平に維持されるという。メディアツアーでは、実際に自動航行ドローンが荷物を置いて離発着する様子を見学した他、全国各地のドローン運航をスタッフがリモートパイロットとして遠隔監視・運航している様子が公開された。

今回の「TRY! YAMANASHI!」キックオフイベントおよびメディアツアーを通じて、 山梨県には挑戦しやすい土壌が整っていることを世の中に示した。今後も山梨県では、挑戦者と支援者がつながることで山梨から新たな価値を生み出し続けるイノベーション・エコシステムの構築を目指していく考え。

山梨県=https://www.pref.yamanashi.jp/
やまなし未来創造インフォメーションサイト=https://www.pref.yamanashi.jp/try_yamanashi/support/dai7kijisshoujikken.html
山梨県スタートアップ支援サイト「STARTUP YAMANASHI」=https://startup-yamanashi.com/
山梨県公式ブランド情報発信サイト「ハイクオリティやまなし」=https://hq.pref.yamanashi.jp/