矢野経済研究所
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2023年度の飲料市場は3年度連続の拡大で5兆円台を回復

~人流回復、記録的猛暑といったプラス要素が値上げによる数量減少の影響を最小限に抑える~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の飲料市場を調査し、飲料カテゴリー別の動向、流通ルート別の動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

飲料市場規模推移・予測

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1.市場概況

2023年度の飲料市場規模(牛乳・乳飲料を含む)は、メーカー出荷金額ベースで前年度比104.5%の5兆1,600億円と3年度連続での拡大となり、2019年度(コロナ禍以前)の5兆円規模への回復を果した。
但し、市場規模の拡大は商品価格改定に因る部分が大きく、販売数量ではほぼ横ばいでの着地となる。メーカー各社が原材料やエネルギー高騰により複数回にわたり価格改定を行ったこともあり、食料品をはじめとしてあらゆるものが値上がりして消費者心理が冷え込んだ。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行し、人流の回復やインバウンド(訪日外国人客)の増加、夏場の記録的猛暑といった要素はプラスに働いた。そうしたプラス要素が値上げによる物量減少の影響を最小限に留めて、価格改定分が上乗せされたのが2023年度の飲料市場となる。

2.注目トピック

ミネラルウォーターが好調を維持

2023年度の飲料市場をカテゴリー別にみると、勢いが目立ったカテゴリーの一つがミネラルウォーターで金額ベースだけでなく販売数量も大きく拡大した。
国産ミネラルウォーターを中心に販売は好調で、NB(ナショナルブランド)商品だけでなくPB(プライベートブランド)商品も人気を集めた。ミネラルウォーターはコストパフォーマンスの高さが消費者から評価され、物価高が続く中で他飲料カテゴリーからの流入も見られた。また、猛暑による止渇需要に加え、生活水や備蓄水としての需要も獲得出来ていることも、好調な要因となる。

3.将来展望

飲料市場は、物価高から消費者の節約志向が強まり、購買意欲は低下傾向にある。2024年度も同様の傾向が続いており、PB商品などよりコストメリットの高いアイテムに注目が集まっている。2024年に入ってもメーカー各社からは値上げの発表が続いていることで、2024年度の飲料市場の動きは前年度と似たような傾向を辿るものと推測できるが、景況感はやや悪化していることから2024年度の飲料市場規模は前年度比102.1%の5兆2,700億円と前年度よりは小幅な上昇になると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2024年5月~8月
2.調査対象: 飲料メーカー、販売企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話取材、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<飲料市場とは>
飲料とは、アルコール度数1%未満の飲料で、PETボトルや缶、紙容器などに入り、そのまま飲用できるものをさす。
本調査における飲料市場とは、炭酸飲料やコーヒー飲料、ミネラルウォーター、果汁入り飲料、各種茶系(日本茶、紅茶、ウーロン茶等)飲料、スポーツ・機能性飲料、栄養飲料(エナジードリンク含む)、飲用牛乳類、色物乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、豆乳などを対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
炭酸飲料、果汁・野菜飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、健康系飲料、乳系飲料 ※飲料市場対象外カテゴリー;レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、手入れ紅茶

出典資料について

資料名2024年版 飲料市場の現状と展望
発刊日2024年08月30日
体裁A4 496ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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